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NISAの埋め方で性格が出る?
一銭を笑うものは一銭に泣く
2024年はNISAが拡充されたこともあり、これまで投資に興味を持たなかった同年代からも、NISAをやった方が良いのか聞かれる機会が増えた。
ネット証券で口座開設をして、ノーロードかつ信託報酬が0.1%以下の、優良なインデックスファンドを無理のない範囲で愚直につみたて続けるのが、資産形成としては最適解だが、生涯投資枠の1,800万円をどう埋めるかで性格の違いが出る。
見出し画像は私のNISA口座の利用状況だが、執筆している12月中旬時点で、既につみたて投資枠120万円と、成長投資枠240万円が埋まっている状態だ。
とはいえ、これら全てを年初一括で埋めた訳ではなく、成長投資枠の240万円を年初一括、つみたて投資枠をクレカ積立でポイントを受け取りながら、上限の毎月10万円をコンスタントに積み立てて、2024年の非課税枠を埋め終えた。
数理上は毎月のつみたて投資よりも、年初一括投資の方がパフォーマンスが高いと、既に結論が出ており、心情としては360万円を年初一括で埋めたかったものの、クレカ積立のポイントに釣られて、非課税枠に応じて積み立てと年初一括を使い分けた次第である。
2024年から拡充されたNISAでは、生涯投資枠が1,800万円なのに対して、年間の利用可能額が、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円と上限がある。
つまり、どのみち2025〜28年は空箱に最大360万円を入れられる構造上、年内に360万円の枠を埋められる余剰資金がある超マイノリティなら、この枠を年内に利用しなければ、空いた部分が使えるのは事実上2029年以降となり、5年間非課税枠を持て余す状況となるため、もったいない。
これを世間では”金持ちの悩み”と言うのだろうが、一代で財を成した場合、少額の頃からどう運用するのがベストかを真剣に悩み続けたからこそ、正しく運用した複利効果で財を成して、今に至っている。
そう考えると若い時から、”一銭を笑うものは一銭に泣く”の精神で、たとえ少額でもお金に対する扱いを軽視しなかったパンピーとの差が、時間経過によって表出しているに過ぎず、リスク許容度や性格に応じて、どう運用するべきかを悩むのに早過ぎることはない。
NISAの性質上、バランスファンドは避けるべき?
とはいえ、どう運用するべきかを悩むこと自体は素晴らしいのだが、自身の価値観に合った金融商品と、NISAという箱が必ずしも相性が良いとは限らない。
私は日頃、図書館に置いてある雑誌を、世の中のパンピーがどのようなジャンルに関心を持っているのか。流行り廃りは何か。企業が流行らせたいものは何かを推し量り、投資のアイディアを見つけたり、自身の価値観が庶民感覚と大きくズレることなく俗世間と繋ぎ止めるためのツールとして、パラパラと読む傾向がある。
その中に、マネー雑誌ではないにも関わらず、金融教育のトピックでNISAをどう運用するのが最適解か、自称専門家?の意見が記されていたが、バランスファンドを推奨していて失笑してしまった。
バランスファンドとは、株式だけを組み込んだ投資信託では、値動きが激しいため、債券や不動産REITといった、株式と値動きの異なる資産クラスを半々などで組み込むことで、値動きをマイルドにしたファンドである。
勘の良い方はお気づきだと思うが、NISAとは少額投資非課税制度であり、通常、利益を確定すると、この利確分に対して20.315%の税金が召し上げられる理不尽な仕組みとなっているが、NISAの枠内で売買して得た利益は非課税となる。
つまり、NISAには長期目線で値上がりする期待値が高い資産クラスを組み込むことで、非課税の恩恵を最大限受けられる性質となっている。
このNISAという枠に、値動きがマイルドで、期待リターンが決して大きくはない債券を組み入れたバランスファンドを入れてしまうと、債券のお陰で大きくは減らないかも知れない反面、債券が足を引っ張って大して増えない展開となり、せっかくの非課税枠の恩恵が限定的となる可能性が高く、もったいない。
また、”混ぜるな危険”ではないが、水と油のような株式と債券をひとつのファンドに組み入れる場合、ファンド内でリバランスする手間が増える分、株式だけのファンドや、債券ファンドと比べて、運用手数料が割高に設定されている場合が圧倒多数だ。
投資においてリターンは不確実だが、コストは確実に出ていく都合上、運用手数料という名のコストは安いに越したことはなく、割高なコストは複利効果のブレーキにもなり得ることを鑑みたら、混ぜるな危険だと私は考える。
理想としては、非課税枠の恩恵が最大限受けられるよう、期待リターンが高い株式はNISAで、値動きがマイルドな債券は特定(課税)口座と、NISAの枠ではなく、自身のポートフォリオ全体でバランスを取ると、非課税枠の無駄がない。
新NISAの1,800万円もの非課税枠なんて、到底埋まるわけがないのだから、好きにさせてくれと反論されれば、身銭を切ってリスク資産に投資するのは、他の誰でもなくあなたですから、お好きにどうぞ。としか返しようがないが、NISAの埋め方ひとつ取っても個々人の性格が出るのが、資産運用・形成の面白い部分だと思う。
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