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”手取り14万?お前が終わってんだよ”な高卒鉄道員が1,000万円を貯めた軌跡


まえがき

 ”12年勤務して手取14万円「日本終わってますよね?」”
→”日本がおわってんじゃなくて「お前」がおわってんだよwww”

 これは2019年に堀江貴文氏ことホリエモンが炎上した、いわゆる底賃金職の煽りだ。上記に関して、これ以上は言及しないが、一般論として、日本は安くて高品質な社会インフラに定評があることから、インバウンド需要が旺盛な側面がある。

 しかしその裏で、それを支えるエッセンシャルワーカーは、社会を維持する上で必要不可欠な仕事の最前線である、インフラの現場を一手に担っているにも関わらず、誰にでもできる単純作業だからと、低賃金でこき使われている現状がある。

 私は工業高卒で、とある電鉄会社に就職したが、地域のネームバリューとは裏腹に薄給激務だった。これは後に国交相のパブリックコメントで、首都圏の赤い私鉄が”13連勤手取り14万電鉄”と揶揄されたことからも、鉄道業界全体、延いてはエッセンシャルワーカー全体に共通した構造となっている。

 ホラ吹きだと思われても癪なので、説得性を持たせるために給与明細の一部分を掲載するが、勤務日数が22日、休日9日、勤務時間が181.9時間とフルタイムで働いているのは明白だが、銀行振込額は13万円台。

(税引後)時給755円…

 当時、財形貯蓄に5,000円入れていたと記載されていたが、それを足しても14万円台と、まさに冒頭の、”手取り14万?お前が終わってんだよ”的な待遇だった。しかし、20代が終わりを迎えようとしている今、お金に困らない生活を営めている。不思議ではないだろうか。

 そこで、今回は”日本じゃなくて「お前」がおわってんだよ”と、かつてホリエモンから馬鹿にされる地位に属していた、いわゆる”底辺職”な私が、1,000万円を貯めるまでの過程をダイジェストで記していきたいと思う。

残業狂からノー残業教、そして転職

 当時、成人年齢引き下げ前だったこともあり、未成年(20歳未満)で社会に出たこともあって、最初はいわゆる”こどおじ”もとい実家暮らしだった。

 残業しなければ上記の手取り13万円みたいな、お前が終わってる状態だが、36協定の上限近くまで残業したとて、手取りは20万円超えたら御の字な程度。

過労死ラインギリギリの残業72.42時間

 ある時、75時間を約7万円で売っていると思ったら、途端にアホくさくなって、10代にして組織にとって都合の良いイエスマンから、残業を断るノーマンに転向し、否応にも人並み以下の手取りで、終わってる状態からどう蓄財するか、時間だけは確保したので、知恵を絞る格好となった。

仕  送:3万円
雑  費:2万円→▲1万円
食  費:2万円→1食減▲1万円
携  帯:0.5万円→格安SIM▲0.3万円
個人年金:1.5万円→解約▲1.5万円
小遣い銭:3万円→ラテマネー微減▲0.2万円
貯  蓄:1万円→5万円(+4万円)
合  計:13万円

 一応、正規雇用で当時ボーナスがあったため、これにより、毎月5万円×12で60万円、夏と冬のボーナスで20万円×2で40万円。合わせて100万円/年を「お前」が終わってる最下限の待遇で貯蓄できるよう整え、10年で1,000万円貯める土台を構築した。

 社会人1〜4年目の資産推移:¥889,720→¥2,238,011→¥3,486,600→¥5,280,265

 そうして社会人1年目から2年目までで223万円を蓄え、成人(当時20歳)となったタイミングでNISA口座を開設し、(早生まれのため)社会人3年目から資産運用を開始し、4年経過時に528万円と増やしたものの、収入に限界を感じて転職と同時に上京。

趣味=株式投資で確変

 収入のボトムが3万円程度、年収ベースで60〜100万円底上げされたものの、都内でひとり暮らしを始めたことで、出費も相応に増加した。

家   賃:4.7万円
食   費:1.5万円
水道光熱費:0.5万円(新電力・新ガス)
通 信 費:0.3万円
雑   費:0.5万円
貯   蓄:5万円+α
合   計:12.5万円+α

 とはいえ、この頃から趣味=株式投資みたいな状態となったため、毎月3万円確保していた小遣い銭は事実上、投資の種銭となり、消えたお小遣いを株主優待や配当金で賄っていたため、予算計上する必要がなくなり、トータルの固定費は削減できていた。

 その後、コロナ禍で半ば強制的に巣篭もりの時間が生み出されたことから、通信制大学での学び直しを決意し、年間20万円(1.67万円/月)の学費を補うために、風呂なしボロ物件に転居。

 事実上の東京都23区内、山手線の駅まで徒歩15分の立地で、生活上の固定費が月あたり6万円という、当時年収400万円前後でありながら、”年収90万円で東京ハッピーライフ”の著者である、大原扁理氏の生活水準よりも安価に抑えることに成功した。

家   賃:3万円(風呂なし物件)
食   費:1.5万円
水道光熱費:0.8万円(新電力・銭湯代)
通 信 費:0.2万円
雑   費:0.5万円
貯   蓄:5万円+α
合   計:11万円+α

  そのうえ、大学で簿記や経済を体系的に学んだことで、ファンダメンタルズ分析の精度が劇的に向上する形で確変して、以下の通りとなった。

 社会人5〜7年目の資産推移:¥7,094,026→¥9,940,038→¥12,312,384

 な…何を言ってるのか分からねーと思うが、俺もなんでこんなに増えたのか、ドーム型パスタ並みに分からなかった…胃袋頭がどうにかなりそうだった…(中略)もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

 資産運用の鉄則である長期・分散・積立はもとより、2019〜2024年(2022年除く)の株式市場全体が地合いの良い時期に、保有資産の大半をリスク資産であるS&P500や日本株に変えていたことで、本来であれば100万円の貯蓄を10年掛けて1,000万円にするつもりが、社会人7年目(25歳)にして1,000万円の大台に達した。

1円を笑う者は、100万円で100万回笑えて、腹筋崩壊間違いなし

 私が投資の世界に足を踏み入れた頃(2018年以前)は、eMAXIS Slimのような100円から買える優良ファンドもなく、最初はビビり散らかしながら、円建ての投信を3万円から始めた。

 当時、米ドル建てETFを買うにも、外貨両替はコスト面でSBI FXαでレバを掛けずに現引(=$10,000単位での両替)が最適解と、一回のドル転・円転で扱う額の大きさ故に、VTやVTI、AGGの購入を見送った経緯がある。

 とはいえ、チャイナショックの煽りで市場が低空飛行だったこともあって、思いのほか値動きが激しくないと思ったため、日本の高配当株、優待株、S&P 500を中心に30万円→300万円と徐々にリスク資産の割合を増やしていったことで、単純に貯めるだけなら1,000万円の大台に達するまで、10年掛かるところを3年ほど短縮した。

 最初は家計簿を付けて支出を把握するところから取り掛かり、消費性向が可視化されたら、無駄なコストを削減。慣れてくると入金力が頭打ちなのが気になるため、余剰資金の一部を自己投資に充ててキャリアアップ。収入が増えても生活レベルは上げず、余剰資金は全部運用に回す。

 ひとつひとつは地味で、やっても意味がないと無下にしがちだが、それらの合わせ技を愚直に継続することで、”手取り14万?お前が終わってんだよ”な高卒の鉄道員でも1,000万円を貯めるまで、時の運もあって7年しか掛からなかった。

 地方民あるあるだが、社会人1年目に中古車をキャッシュで買ったことが仇となり、貯蓄が100万円に届かなかったこともあって、年に100万円貯めることの大変さは、お金に困らなくなった今でも身に染みている。

 資産が8桁の大台に乗ると端数扱いしがちだが、1円を笑う者は、100万円で100万回笑えて、腹筋崩壊間違いなしなのだから、歴とした大金だ。

 これを年率4%で運用しても、得られる不労所得はたったの4万円と思うかも知れないが、この過程を10回ほど繰り返して、運用総額が1,000万円規模になると40万円に成長し、敵に回すと恐ろしい金利(複利)が、味方になる頼もしさはバカにできない。信じるか信じないかは、あなた次第。


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