現金を取り置く発想がない。
いくら現金があっても、不安は無くせない。
半年に1度到来する学費納入のお知らせが届いた。本学は通信制の性質もあり、国公立大学と比較してもリーズナブルな価格帯のため非常にありがたい。とはいえ、基礎生活費が6万円台の私からすれば、年間支出の中で2割程度の比重を占めるため、無視できない規模の出費ではある。
日本株の配当金で、学費が賄える位のキャッシュが6月と12月頃に入金されるため、2月と8月頃に納入する学費相当額は、証券口座の買付余力に反映されている。
仮に銀行預金の残高がカツカツでも、証券口座で出金申請をすれば、2営業日後には銀行預金の口座に着金するため、支払うだけのお金はあるが、もし金融危機で暴落したときに、キャッシュがあれば全力買いできることを考えて取り置いて、そのような事態になれば躊躇せず使ってしまう。
毎度のことながら、支払期日ギリギリまでキャッシュをプールしておく、もしくは運用して少しでも利子を貰ってから支払いたいと言う願望から、将来の出費に備えてこれ位は取っておくべきなどの、現金を心理的に色分けることはない。
何かの拍子にキャッシュが回らなくなるのではないか。と不安にならないとは言い切れないが、では逆に口座残高がいくらだったら安心できるかと問われると、具体的な数字も思い浮かばない。
たとえいくら現預金があっても、反対に溜め込み過ぎると、今度は昨今のような強盗事件に巻き込まれないか不安になるだろうから、現金の多寡によって不安は失くせないのが真理だろう。
そう考えると、向こう半年分位の生活費が賄える程度のキャッシュだけ銀行に預けておいて、それ以外は効率重視で運用に回してしまっても、問題がない思想のもと、ポートフォリオの現金比率が5%を割っていることがザラである。
根底にあるのは、資産運用によって投資元本が増加する過程で、今手元に現金がなくても、その気になれば、保有する金融商品を売却なり、取り崩して、ある程度まとまったキャッシュは捻出できることを経験則として知っているからだと思う。
平時に売りを考えるきっかけ作りに。
以前、値がさ株が買いだと思った際に、買い付け余力は30万円程度しかなかった。兼業投資家なのだから、地道に入金して50万円以上にするのが王道だろうが、この機を逃すまいと鳴かず飛ばずだった銘柄を売りに出す形で、値がさ株の注文が出せるだけのキャッシュを捻出した。
結果として売りに出した銘柄は、その後じわじわと株価が下落していき、そこで得たキャッシュを将来有望だと判断して買った値がさ株は、今後の株価がどうなるかわからないが、少なくとも現時点では含み益が出ており、配当も増加傾向にある。
頑なに生涯保有を貫こうとしたら、値がさ株の買い時を逃すだけでなく、鳴かず飛ばずだった微妙な銘柄の含み損を、いたずらに拡大させた可能性があった。
このことからも、まとまったキャッシュが必要になった時期に、保有している金融資産を継続保有するか見直す形で、現金を捻出するのもやり方としてはアリなのではないかと思う。
投資商品は買う時よりも、売るときの方が難しく、売る必要に迫られる時ほど、相場環境が良くないパターンが多いはずだから、平時に意図的に売りを考えさせるきっかけを作るのは、塩漬けして、資金効率を悪化させないためにも重要な気がする。
資産保全を自分事として考える。
そうして、個人バランスシートに計上する総資産額は、同世代と比較すると、桁が違うにも関わらず、そのほとんどがネット証券の口座で運用されており、銀行の預金残高や高級ブランド品を纏わない身なり、質素な暮らしぶりからは、お金持ちには見えない。
堅実な運用を淡々と継続して、ある程度の時間が経過すると、いつの間にか、となりの億万長者レベルになっていて、お金の心配をすることなく平穏に暮らせると信じて、これまで蓄財と運用に励んできた。
お金が必要になったときに、すぐ使えるように手元や銀行口座に取り置きたい心理はわからなくもないが、この状態は、誰かに盗まれ易くなるリスクが内包していることを意味する。その点では、証券口座が富を貯蔵するのに最も適していると考えられる。
今や株券は電子化されて、実態を伴わないため、証券会社が信用を失うような行為にでも走らない限り、傍目ではどれほどの資産を持っているのか把握できないため、自ら成金アピールでもしない限り、お金を狙う人たちに目のつけられようがない。
仮にアカウントを乗っ取れても、肝心の出金申請が本人名義の銀行口座に限定されているし、初期設定の限度額は1日につき100万円と制約があるため、資産家であればあるほど、全財産を強奪するまでに要するであろう期間は途方もなく、ちまちま出金している間に、何かしらのアクションを起こされるのが関の山だろう。
資本主義経済で貧富の差が拡大し続ける以上、強盗や詐欺はなくならないだろう。しかし、そういったずるいことをして、お金を得ようとする人たちの手法を知ることで、自衛手段を講ずることはできるはずだ。
そうした考えのもとで私は、銀行預金は向こう半年分の生活費が賄える程度しか入金していないし、財布はiPhoneケースと兼ねており、クレジットやキャッシュレス決済が基本。
現金は中学生と同等かそれ以下しか持ち合わせておらず、決済のメインとなっているiPhoneは遠隔でロックがかけられる。クレジットカードもカード会社に連絡すれば、利用停止できるため、盗みを働くリスクに見合うだけのリターンは恐らく得られない。昨今の連続強盗事件は、資産保全を自分事として考える良い機会なのかもしれない。