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ATM婚の話題を見るたび、思い出すコピペ


JPモルガンCEOの「お金持ちと結婚する方法」

 失われた30年という時代背景もあってか、男女ともに経済力を重要視したライフスタイルが定着するようになったと感じる。

 現に婚活市場では、女性は経済的メリットを得るために結婚したいが、男性は経済的メリットを維持するために独身のままで居たいと、お金に関して利益相反する構造となる形で、恋愛結婚は機能不全を起こしており、賃金水準が最も高い筈の東京都で、出生率0.99を叩き出したのは記憶に新しい。

 しばしば婚活市場において、男は金、女は若さ的な対比表現に行き着くが、煎じ詰めると結婚は、お金と美貌を交換する行為となり、これには重大な問題点があると諭すのが、定期的に消えては復活する、コピペ改竄でお馴染みJPモルガンCEOの「お金持ちと結婚する方法」である。

 端的に記せば、「お金」は時間経過と共に価値が増大する「資産」であるのに対して、「若さ」は時間経過と共に価値が減少する「減価償却資産」であり、これをトレードするのはフェアじゃないことを理解しているお金持ちほどレンタル、つまりは短期保有が合理的だと判断するわけだ。

 市場原理に晒されている、一介の投資家としても言い得て妙だと思ってしまうとともに、火に油を注ぐなら「お金」は、全ての男性に平等に与えられる性質のものではないのに対して、「若さ」は、全ての女性に平等に与えられる点で、やはりこの社会は弱者男性や、KKOもといキモくて金のないおっさんには悉く冷酷だとつくづく思う。

本当のお金持ちはスーツなんか着ていない

 熱心な読者の方はご存知の通り、私は20代ながら、フリーザ様完全体並みの戦闘経済力を有しているため、同世代の中では紛れもなくお金を持っている部類ではある。

 しかし、労働者として脂が乗り始める20代半ばで、身体を壊してドロップアウト。年収という名のお賃金はゼロの取るに足らない失業者。学歴も高卒で一度社会に出た後、働きながら通信制大学で学士を取得しているため、一般的な大卒とは異なる。

 某炎上系ゲーマー曰く人権のない身長であり、かつ長男。油断するとチー牛顔になる外見と、いわゆる婚活市場で夢見がちな「普通の男性」像には掠りもしない。

 むしろ、フリーザ様完全体に匹敵する経済力を意図的に伏せた状態で、端から見ると弱者男性のソレに準じたスペックのため、ATM婚を目論むハイエナがそもそも寄り付かない意味では理に適っている。

 何が言いたいか。単価の高いお店で接客経験のある方は、お分かりいただけると思うが、本当のお金持ちほど、そもそも堅苦しいスーツなんか着ていないから、一見するとお金持ちに見えない。

 つまり、桁外れな経済力の持ち主を、上辺だけで判断するのは不可能であり、往々にしてATM婚、もとい金目当てな人間がフィルターを駆使することで、その手のガチお金持ちを自ら排除してしまう構造は皮肉が効いている。

 逆説的に、篩にかけて残る人の経済力は、確かに中流以上ではあるのかも知れないが、資本主義社会を俯瞰したら、人並みよりちょっと上レベルであって、所得からイメージする富裕層像には程遠い。

鉄道員時代、男女間の賃金格差は都市伝説だと思ったワケ

 この手の話題を出すと、某界隈から男女の賃金格差ガーと袋叩きに遭うリスクもあるが、そもそも鉄道員の出自である私からすれば、なぜ男女間で賃金に差が出るのか不思議で仕方が無かった。

 コンプライアンスに煩くなったご時世、上場企業ほど社員の給与テーブルが厳格に定められていることが多い。私が勤めていた電鉄会社は、基本給を要素分解すると、年齢給+経年給+学歴給+職能給で構成されていた。

 ベースが十数万円で、4/1時点を基準に18歳ならいくら加算。入社1年目は加算なし。高卒ならいくら加算。社員の等級に応じていくら加算。といった具合だ。

 春闘によって給与テーブルそのものが改定されることはあるが、いずれにせよ、これが絶対であるため、来年の定期昇給がいくら、社内試験に合格して等級が上がると昇給がいくらと、記憶が正しければ、昇給額を予め10円単位で正確に見積もることができた。それ故に給与交渉の余地はなかった。

 基本給とは別で、22時〜5時は深夜業で基本給の25%の手当て。残業は基本給の125%の手当て。業務内容に応じた(危険)手当て等が支給される格好だった。

 この社会主義的な環境下で10代の最後から20代のおよそ半分を過ごしたからこそ、別に男性だろうが、女性だろうが、出産や育児に伴う休暇や短時間勤務でも行わない限り、賃金格差など生み出しようがなく、世間(というか一部の界隈?)で騒ぎ立てるほど、賃金で男女差別があるという主張が、ちょっと何言ってるか分からず、都市伝説のようなものだと思っていた。

 有り難いことに、最近になってハーバード大学のゴールディン氏の研究で、男女間の賃金格差は、子どもを産むことによる収入減と、女性は男性ほどシフト勤務や長時間労働を選ばない差異によって、大方の説明が付くことが明らかになった。

 そのため、シフト勤務や長時間労働を選ぶ女性社員達と、同一労働同一賃金していた私の、ちょっと何言ってるか分からない感覚は、概ね正しいことが証明された。

 働いた分だけ稼ぎが得られる意味で、男女平等な時代となりつつあるにも関わらず、未だに男は定職に就いて然るべき。フルタイムで働いて家族を養うべき。ただし離婚したら親権はない的な、控えめに言って資本主義の奴隷になれと、社会から強要されているようなもので、この状況で婚活市場から男性が離れていくのは自明の理だと思うが、いかがだろうか。


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