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南海トラフ地震臨時情報とは?知っておくべきポイントやよくある質問について解説

2024年8月に発表された南海トラフ地震臨時情報を見聞きして、初めてその存在を知った方も多いでしょう。

  • 南海トラフ地震臨時情報とは?

  • 南海トラフ地震臨時情報について知っておくべきポイントは?

南海トラフ地震臨時情報は、南海トラフを震源とする巨大地震が発生または発生する可能性が高いと判断された際に発表される情報です。
ひとたび情報が発信されると、国・自治体・企業・個人は発表内容に応じて、避難などの対応をとる必要があります。

この記事では、南海トラフ地震臨時情報の概要や要点とともに、よく聞く質問と回答について順に紹介します。
頻繁には発表されない南海トラフ地震臨時情報の基本的な内容を押さえ、次回以降に発表された際に的確な対応ができるよう備えましょう。

1.南海トラフ地震臨時情報のあらまし

南海トラフ地震臨時情報は、2019年に運用開始以後、2024年8月に初めて運用された地震リスクを国民に通知する情報です。歴史上、南海トラフでは100年単位の周期で巨大地震が発生しており、1000回に1回の確率で大規模地震が発生すると予測されています。

南海トラフ地震臨時情報に関連する基礎情報として、押さえておきたい内容は以下のとおりです。

  • 南海トラフ地震臨時情報とは?

  • 南海トラフとは?

  • 南海トラフ地震とは?

ニュースなどで見聞きする機会はあっても、理解がおぼろげな項目についてはリスク管理の観点から改めて把握しておきましょう。

1-1.南海トラフ地震臨時情報とは?

南海トラフ地震臨時情報とは、南海トラフ発生確率が高まった際に気象庁から国民に注意喚起を目的として発出される情報を指します。

内閣府は、南海トラフ地震臨時情報の運用を2019年5月から開始しており、内容について以下のとおり説明しています。

南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合や地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価された場合等に、気象庁から発表される情報です。情報名の後にキーワードが付記され「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」等の形で情報発表されます。

引用:内閣府「南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!」

なお、 地震が多い北海道根室沖から三陸沖で大規模地震の発生確率が高まった際には「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発出されます。南海トラフ地震臨時情報や北海道・三陸沖後発地震注意情報が出た際は、巨大地震が発生または発生しやすい状況と解釈しておきましょう。

1-2.南海トラフとは?

南海トラフとは、静岡県の駿河湾から宮崎県の沖合まで続いている海底に存在するくぼみの総称です。

日本列島周辺には4つのプレートが存在します。そのうち、日本列島があるユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる場所の一部が南海トラフと呼ばれています。

南海トラフは、プレート同士が密着しており、沈み込んだプレートが戻ろうとする挙動が原因で発生する地震が発生しにくいのが特徴です。そのため、南海トラフではプレートの沈み込みから戻ろうとする力が蓄積されやすくなっています。そして、あるタイミングに一気に解消、つまり巨大地震を起こす循環が歴史上100年から200年の間で繰り返されています。

1-3.南海トラフ地震とは?

南海トラフ地震とは、先述した南海トラフを震源域とする大規模地震を指します。政府の被害想定では、最大死者数は23.1万人、経済被害は213.7兆円に達します。
参照:内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定について (建物被害・人的被害)」「南海トラフ巨大地震の被害想定について (経済的な被害)

南海トラフでは、683年に発生した地震が遡れる最古の記録であり、それ以後100〜200年ごとに巨大地震が発生していました。直近だと1946年の昭和南海地震から70年以上、大規模地震が起きておらず、巨大地震の発生確率が高まっていると予測されています。また、南海トラフ地震は過去に発生した9回のうち6回では、隣接した地域で同時もしくは時間差で巨大地震が発生する特性があります。

そのため、次回の南海トラフ地震での被害は30以上の都府県に及ぶと政府は予測しており、政府が最も警戒している自然災害の1つです。

2.南海トラフ地震臨時情報のポイント

南海トラフ地震臨時情報は、これまで認知度が低い危機情報でした。

なぜなら、2019年に運用が開始されてから、2024年8月になるまで1度も発信されなかったためです。しかし、2024年8月に初めて情報が発信され、認知度は急激に上昇しています。

今後も発信が見込まれる南海トラフ地震臨時情報の要点として、把握しておくべきポイントは3つです。

  • 南海トラフ地震臨時情報の種類

  • 南海トラフ地震臨時情報の流れ

  • 情報が出たら対応が必要な地域

将来、南海トラフ地震臨時情報が発表されても驚かぬよう、平時に基本的な情報を押さえておきましょう。

2-1.南海トラフ地震臨時情報の種類

南海トラフ地震臨時情報が発表される際には、状況を示すキーワードが後ろに付記されます。キーワードを付記する理由は、発表内容に応じて、適切な対応を国民が取りやすくするためです。

付記されるキーワードは全部で4種類です。そのうち、巨大地震警戒が発表された場合は自主的な避難、巨大地震注意は地震への備えに関して再確認を促す目的があります。

参照:内閣府「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン【第1版】」

南海トラフ地震臨時情報が出た際には、後ろに付記されたキーワードから事態の深刻度を読み取りましょう。

2-2.南海トラフ地震臨時情報の流れ

南海トラフ地震臨時情報は発表されるタイミングや流れが大枠で決まっています。発表のきっかけになるのは、M6.8以上の地震や想定震源域付近のプレートにおける異常なすべりの発生です。

南海トラフ地震臨時情報の運用はケースによって異なり、代表的な3つのケースにおける地震発生後に流れる各種情報を整理しました。

参照:内閣府「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン【第1版】」

地震速報の発信以後、続発される情報から置かれている状況を冷静に判断し、身の安全を確保しましょう。

2-3.南海トラフ地震臨時情報が出たら対応が必要な地域

南海トラフ地震臨時情報が出た場合、防災対応の検討が必要な地域は29都府県707市町村です。上記地域は、南海トラフ特措法第3条に基づき、防災対策の推進が必要な地域として指定されています。

参照:内閣府「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン【第1版】」

防災検討が求められる地域には、太平洋に直接接していなかったり、内陸部にあったりする地域も含まれているのが特徴です。巨大地震発生時にも落ち着いて行動できるよう、自宅や職場が防災検討地域に該当するか事前にチェックすることが推奨されます。

3.南海トラフ地震臨時情報に関するよくある質問

南海トラフ地震臨時情報が発表されてから、冷静に行動するには、発表内容や状況を正しく理解しておくことが大切です。しかし、南海トラフ地震臨時情報は運用される機会がなく、基本的な情報について詳しく説明を受ける場面も限られます。

そこで、南海トラフ地震臨時情報に関して、よくある質問を3つ取り上げます。

  • 南海トラフ地震臨時情報が出ると巨大地震の発生確率はどう変わる?

  • 南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意呼びかけが1週間で終わったのはなぜ?

  • 南海トラフ地震臨時情報が出たら企業はどう対処する?

頻出の質問から、南海トラフ地震臨時情報に対する理解を深めましょう。

3-1.南海トラフ地震臨時情報が出ると巨大地震の発生確率はどう変わる?

南海トラフ地震臨時情報が出ると、M8以上の地震の発生確率は、平常時の数倍から100倍に上昇します。具体的な地震発生確率は以下のとおりです。

参照:内閣府「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン【第1版】」

世界全体で見ると、M8以上の地震発生から7日以内にM8以上が発生したのは、103件のうち7件でした。同様に、M7以上M8未満の地震発生から7日以内にM8以上が発生したのは、1,437件のうち6件でした。

巨大地震注意発表時は0.4%程度、巨大地震警戒発表時は7.0%程度まで、M8クラスの地震が発生する可能性が上昇します。

3-2.巨大地震注意が1週間で終わったのはなぜ?

南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意の呼びかけが1週間で終わった理由は、巨大地震が発生する確率が大きく低下するためです。

内閣府は、M8以上の地震(半割れケース)、M7以上8未満の地震(一部割れケース)が発生した後の巨大地震の発生確率を分析しています。公表データでは、M8以上の地震ケースだと1%未満であり、M7以上8未満の地震ケースだと0.1%未満です。

引用:内閣府「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン【第1版】」

そのため、巨大地震警戒発表から1週間経過後、巨大地震注意に移行する運用が取られています。
一方、巨大地震注意発表から1週間経過すると、平常時の発生確率にとどまるため、巨大地震注意発表は取りやめられます

3-3.南海トラフ地震臨時情報が出たら企業はどう対処する?

南海トラフ地震臨時情報が出た場合、付記されるキーワードに合わせて事業継続計画の発動などの検討が求められます。

多くの企業は地震発生後の対応を検討していますが、注目すべきは地震被害が発生していない地域で巨大地震警戒が発表されるケースです。
巨大地震警戒が発表されると、先述の防災検討地域のうち、津波被害が予測される地域では自主避難が促されます。
当該地域に社員がいると、1週間を目安に避難生活に入る可能性があり、業務対応できる社員が一時的に減少します。

そのため、企業は人員減少により業務対応力が一時的に縮退する場合の事業継続計画を発動できる備えが必要です。

企業が有事の際、ビジネスを継続するために求められる事業継続計画(BCP)について興味のある方は、こちらの記事も参考にしてください。
必見! 「事業継続計画」基本のキ 3選

南海トラフ地震臨時情報を正しく理解して、被災リスクを低減しましょう

この記事では、南海トラフ地震臨時情報の概要と知っておくべきポイントに加え、よくある質問と回答について解説しました。

南海トラフ地震臨時情報は、南海トラフを震源とする巨大地震が発生、ないしは、発生が見込まれる際に発表される情報です。2024年8月に初めて発表され、国民における当該情報に対する認知度が向上するとともに、南海トラフ地震の脅威が再認識されました。南海トラフ地震は100年に1回程度の周期で発生しており、前回の大地震から70年が経過しているため、発生確率が高まっています。

今後、南海トラフ地震臨時情報が発表されても慌てず、正しく状況を把握して、身の安全を確保しつつビジネス継続を図りましょう。

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