リア充化するこの世界に陰キャの居場所はあるのか?:ブルアカ自殺疑惑騒動を受けて考える
※当記事は事件および当事者に関する詮索・追求をするものではありません。
某透き通った世界観の学園ソシャゲの絵師界隈で自殺騒動が起きてしまったようですね。
まずは亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
当記事はこの事件をきっかけとして、オタク文化とその中でのリア充の存在について考察するものです。
なお、この記事での「オタク」は、アニメや漫画(特に美少女・萌え系のもの)の愛好者を指します。また「オタク」は陰キャ、「リア充」は陽キャというニュアンスを含んで言葉を使っています。
何が起きたのか
簡単に説明させていただくと、絵師として活動していた「へびでんち」氏と同じく絵師で既婚女性の「メロンぱん」氏の間に不貞行為が発覚、その数日後に「へびでんち」氏が自殺。というのがこの事件のあらましです。以下、関係者の方のツイートを引用させていただきます。
ブルアカは「陰キャ」のものか?
さて、ブルーアーカイブといえば、多数の美少女キャラが「先生」(プレイヤーキャラクター。アニメ版では男性)とイチャイチャするような、ソシャゲとしてはありがちな内容で、正直あまりリア充とは縁遠いといいますか、モテない陰キャオタクやいわゆる弱者男性が好みやすいタイプのゲームとされています。もちろん偏見ではありますが、少なくとも体育会系の陽キャ・リア充層が主たるターゲットではないのは明らかでしょう。
とはいえ、全ての先生が非モテ陰キャチー牛かというと、常識的に考えて当然そのようなことはなく、中には恋人持ちの人が居てもおかしくはありません。だからってそのようなゲームで浮気騒動とか出るか普通!?
でも、現に出てるんですよね。
私も以前ブルアカをプレイしていた先生の一人で、秋葉原で開催されたイベントにも参加経験があります(有料入場のイベントではなく、無料で入れる比較的小規模な展示会でした)。その会場でも陰キャチー牛風とは到底言えないリア充風の容姿をしている人はたくさん見かけましたし、中には男女ペアで来場している人もいました。もちろん男女ペアすなわちカップルというわけではないですが、たとえ友人同士でもこのようなイベントに男女で来る時点でどうなんでしょうかね。
またSNSにおける、ミームやキャラの扱いといったファンのノリ(たとえば、特定のキャラに特定の属性を見出し、それを何度も何度も擦る。特定のキャラに下品なあだ名をつけ、性的な視線を交えつつ露悪的なノリ・揶揄を楽しむ。といったもの)も、陰キャ・オタク的ではあるもののどこか陽キャのそれに通ずるような…いわば「陰キャの中の陽キャ」とでも呼ぶべき空気を感じていました。最もこのような流れはブルアカに限らず、近年のソシャゲに共通のものにはなっていたと思います。
私がブルアカを引退した理由は単純に飽きたからというのが大きいですが、ファンダムに広がるリア充的・陽キャ的空気に馴染めなかったというのもあると思います。しかし世間的には「弱者男性」の集まりだとみられているブルアカファンダム。私は陰キャチー牛でオタク寄りの人間でありながら、弱者男性の集まりにすら馴染めなかったのです。
この件を受けて私が思ったこと
さて、この件に関してあるTwitterユーザーのコメントを、スクリーンショットで恐縮ですが紹介させていただきます。
私としては、この書き込みに全面的に共感を覚えます。「なんでブルアカに既婚者がいるんだよ」まさにその通りです。もちろん既婚者がいてはダメというわけではないですが、なぜ既婚でありながらこのような界隈にいるのかは謎です。
とにかく今回の事件では、前述したように「ブルアカ=弱者男性向けのゲーム」という見方をされている一方で、ユーザーの中にはリア充も一定数存在するという事実が明らかになってしまいました。
このような事件は今回に始まったことではなく、ブルアカと同じく男性主人公で美少女キャラが多く登場するソシャゲであるプリコネにおいても、以前不倫騒動がありました。以下に参考記事を掲載します。
「オタク」は「リア充」になった?
筆者の主観ではありますが、概ねインターネットが一般市民に普及しマニアのものでなくなったあたりから、ネット社会と現実社会が地続きの関係になったように、オタクとリア充の垣根がなくなってきてしまったように感じます。加えてここ5年ほどの間にオタク的コンテンツを愛好する行為が広く普及し、「推し活」という言葉が市民権を得、いわば「リア充のオタク化」が進行しているのです(いや「オタクのリア充化」かもしれません)。それは極端な表現をすれば「リア充によるオタク・陰キャ世界への侵攻」とも呼べるものです。
「オタク」の定義すら揺らぐこの令和の時代で、もはやオタク=陰キャの図式は完全に古い時代の老害的な考えになってしまいました。それを喜ぶべきかどうかはわかりませんが…
具体的かつ客観的なオタク論を語りたいわけではないのでこの辺にしておきますが、以下の記事を参考文献として掲載します。
まとめ:陰キャの居場所はどこにあるのか?
ここまで長々と書き連ねてきましたが、要は「陰キャ向けのゲームだと思っていたら、普通にリア充もやってるゲームだった」というだけの話でしかありません。そもそもの話、世間的には普通に生きてれば普通に恋人ができるわけで、恋愛経験があるのは「普通」なことなんですよね。世間一般からすれば、むしろ恋愛経験のない方が異常なわけで。それはブルアカという「恋愛経験に乏しい陰キャ向け」を装ったゲームでも同じことなのです。
本来、「現実で居場所がないはずの陰キャ」がいるべきだった場所…オンライン上で言うと掲示板やSNS、ソーシャルゲームといった空間は、もはや陰キャの居場所ではなくなってしまいました。リア充がオタクになったからなのか、オタクがリア充になったからなのか、それとも元々そういうものだったのか。それはわかりませんが。
陰キャの居場所など、最初からどこにも無かったのです。