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panda_34:大根の恩返し
メンタル関係の何とも暗い記事ばかりなので、いい意味での脱線をしたいと思います。
徒然草から、私が最も好きな話(第68段:筑紫になにがしの押領使)を引用します。
筑紫に、なにがしの押領使などいふやうなるもののありけるが、土大根をよろづにいみじき薬とて、朝ごとに二つづつ焼きて食ひける事、年久しくなりぬ。
ある時、館の内に人もなかりけるひまをはかりて、敵襲ひ来たりて囲み攻めけるに、館の内に兵二人出で来て命を惜しまず戦ひて、皆追ひ返してんげり。
いと不思議に覚えて、「日ごろここにものし給ふとも見ぬ人々の、かく戦ひし給ふは、いかなる人ぞ」と問ひければ、「年ごろ頼みて朝な朝な召しつる土大根らにさふらふ」と言ひて失せにけり。
深く信をいたしぬれば、かかる徳もありけるにこそ。
<訳:古典文法に厳密な訳ではないので細かい点はご容赦ください>
九州の方に、なんとかの押領使などという人がいたが、彼は大根を万能の薬だといって、長年の間、毎朝2本ずつ焼いて食べることが習慣になっていた。
ある時、屋敷の中に人が少ないときを狙って、敵が襲ってきて屋敷を包囲した。すると、館の中に武士が2人現れて、命を惜しまずに戦って、敵をみんな追い返してしまった。
押領使はたいそう不思議に思って、「普段はここに住んでいらっしゃるともみえない方々が、このように命がけで戦ってくださったとは…。あなた方はいったい何者なのですか?」と尋ねた所、「あなた様が、長年信頼して、毎朝お召し上がりになっていた大根どもでございます」と言って消えてしまった。
深く信心を持っていたからこそ、このようなご利益もあったのだろう。
この話に最初に出会ったのは、中学時代で、入試問題演習をしているときに某県の過去問で発見したときでした。「何てステキな話なんだ…!!」と感動したのを覚えています。あまりにも好きだったので、切り抜いて保存していた記憶があります(笑)
この話の教訓をどのように捉えるかは人によって異なるようです。「信仰心は大事だ」というメッセージなのか「プロパガンダには注意せよ」という注意喚起なのか。。。私は「『信じる者は救われる』って本当にあるんだよ感動するよね、まあ作り話なんだけどさ(笑)」って程度だと思います。それくらいの方が物語の解釈としては面白いし、徒然草がそういう随筆だし。でも、中学時代は素直に感動しましたね、感性がピュアなんでしょう。
さて今回は、この作り話の大根さんたちの側に立ってみたい。長年の間、自分を信じてくれる人がいたら、その人がピンチの時には助けてあげたいって思うのは自然な感情だと思う。
長年、私と一緒に居てくれる人たちがピンチのときには、大根さんたちのように助太刀できる準備をしておこう。
逆に、辛いときや困ったときにはいつでも私を頼っておくれ…。