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クライアント様から「満足度や好意度ではなくてNPSを測定したい」とご要望いただいた時に気をつけるべきこと5選!!

こんにちは、リサーチャーの牛尾です。今日もリサーチリサーチ!!


★本記事のテーマ:クライアント様から「満足度や好意度ではなくてNPSを測定したい」とご要望いただいた時に気をつけるべきこと。


NPSに気をつけろ!


<1>

NPSってあるじゃないですか。<ネット・プロモーター・スコア>ってやつです。

あれ、いいですよね。便利です。分析だってしやすい。


……が、しかし!

この世の中には万能なものは存在しません。どんな指標にだって欠点はある。つまり、ネットリサーチやインタビュー調査でNPSを測定する時には注意すべきことがいくつかあるのです。


<2>

ところがですね、私、【クライアント様から「満足度や好意度ではなくてNPSを測定したいんだよね」とご要望いただいたリサーチャーやマーケターが、何も考えずに「はい、喜んで!!」とお応えしてしまった】という事例を複数見たことがあります。

……これ、かなりヤバイと思うんですよ!


<3>

もちろん、「そのクライアント様が普段からNPSを活用されている」とか、「NPSのメリットとデメリットを十分把握した上で、今後戦略的にNPSを活用していく方針である」ということならまったく問題ありません。


しかしもしそうでない時には、例えば「NPSにちょっと興味があるんですよねー」「一度試してみたいんですよー」なんておっしゃった時には、絶対に【NPSを測定する際の注意点をお伝えした上で、それでもNPSを測定するか改めてご相談させていただく必要】があると思います。

そう、絶対に!!

だって、後から「このデータ、ダメじゃん!」「シンプルに満足度を訊いておくべきだった……」なんてことになっても覆水盆に返らず、取り返しはつきませんからね。


<4>

以下、私がクライアント様にお伝えすることが多い注意点をリストアップしました。

ご参照くださいませー!


【1】NPSは調査参加者に理解してもらうのが比較的難しく、それなりに手間がかかります!


<1>

NPSを測定する時には調査参加者に対して、

・「あなた自身の満足度や好意度ではありませんよ。推奨意向を教えてくださいね!」

・「5段階評価ではありませんよ。0~10点の11段階で評価してくださいね!」

……といったことを十分に説明する必要があります。


何しろ、<推奨意向を11段階評価で回答せよ>というのはかなり独特ですからね。調査参加者が勘違いしたり、戸惑ったりする可能性は低くない


<2>

例えば、とあるモデレーターさんはインタビュー内でNPSを聴取する時には、

・STEP1:口頭の説明だけではわかりづらいため、まずは資料を呈示・配布する

・STEP2:その上で、十分時間をとってしっかり説明する

・STEP3:さらに、本当に理解してもらえたか確認する(「ややこしくてごめんなさいね。○○さん、『10』が何を意味しているかわかりました?」etc.)

……といった工夫をされています。


<3>

つまりNPSは、好意度や満足度を聴取する場合と比べて手間や時間がかかるのです。ゆえに<インタビュー時間に余裕がない><パパッと聴取したい>なんて時にはNPSは不向きです。


【2】NPSは社内外のステークホルダーに理解してもらうのが比較的難しく、使いづらい場合があります!


NPSは、社内外のステークホルダーにとっても理解しづらい懸念があります。


特に、普段リサーチ業務に携わっていない方にデータを共有する場合には十分注意を払う必要があるでしょう。

「レポートに注釈を付けるなどばっちり対策した上で社内共有したにも関わらず、満足度や好意度だと勘違いしてしまった人がいる」「『11段階!?うーむ、直観的に理解しづらいなぁ』と不満の声があがってしまった」なんて話も聞きます。


【3】NPSは、過去の調査結果や社外のデータと比較しづらい場合があります!


多くの企業では、過去に満足度や好意度を聴取したことがあるはずです。したがって満足度や好意度なら、「商品Pは、以前調査した商品Qよりも結果がいい。これはいけそうだ!」なんて風に比較できるわけですね。


ところが、NPSは満足度や好意度ほど調査結果がストックされていないことが多い。したがって比較が難しいのです。


【4】商材によっては、NPSを測定しづらい・まったく測定できない場合もあります!


NPSは推奨意向です。ゆえに、<そもそも他人に推奨したいとは思わない商材>には不適切な指標と言えるでしょう。


例えば、あなたが<洗濯用洗剤の推奨意向>を問われたとして、はて、どうお答えになりますか?

おそらくは「使用感には満足しているし、このブランドは好きだけど……えっ、推奨意向!?いやぁ、別に誰かに勧めたいとは思わないなぁ」ですよね。


【5】調査参加者の属性や性質によっては、NPSを測定しづらい・まったく測定できない場合もあります!


<1>

NPSを実際に測定してみると、

・1:若い女性や社交的な人は、スコアが高くなりがち

・2:中高年の男性や謙虚な人は、スコアが低くなりがち

……という結果になることが少なくありません。


こうした属性差・個人差は、満足度や好意度を聴取した場合にも見られるものですが、NPSは特に差が大きくなりやすい印象があります。


<2>

私の経験をご紹介しましょう。高齢男性にインタビュー調査を行った時のことです。

・STEP1:とある商品の満足度を問うと、非常に好意的な反応が返ってきた

・STEP2:ところがNPSを問うと……「いやぁ、私は他人にモノを勧めたいとは思いません。人それぞれです。他人様のことに口出しするなんておこがましい」

・STEP3:つまり満足度は最高なのに、NPSは最低!


このNPS、意味ありますかね……?

なおこの時はクライアント様とご相談して、「NPSを聴取しても有用とは思えない。次の調査からはNPSを訊くのは止めよう」ということになりました。

こうした可能性があることは、常に念頭に置いておくべきでしょう。



以上です。リサーチャーの皆さん、要注意ですよー!!


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※付記:私たちはクライアント様との守秘義務契約を遵守し、また、調査参加者のプライバシーに最大限配慮しています。本記事内でご紹介した事例はすべて①掲載の許可を得たものか、②実際の出来事を大幅に脚色したものです。

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