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大学院生の生活:独力で院にいけるか(支出編)

親から大学院進学を反対されていた僕がなんとか独力で大学院を修了したお話です。大学院進学で気になるのは、進学にかかるお金ですよね。学費がないことを理由に研究者への道を諦めないで欲しい...そう思っています。そこで今回は、大学院生活を送る上での金銭面の話について記事をまとめたいと思います。特に、親からの支援を得ずに自分の力で大学院に進学し生活していくことを考えている人は参考になる記事?かもしれません。

結論から先に…。

結論から言うと、親の支援なく自分の力だけで大学院にいくことは可能だと思います。僕自身、大学院進学は両親に反対されていました。このため、授業料や生活費は全額自己負担する!と宣言し、親の金銭的支援は一切受けず大学院を修了することになりました。確かに親の支援を得て生活している人よりは多少苦しい生活を送ることになりましたが...何とかなりました。以下の記事は僕のような貧乏大学院生の生活記として読んで頂ければと思います。収入編と支出編に記事を分けましたので、合わせてご覧下さい。今回は支出編です。

大学院進学にかかるお金

学費(授業料)

大学院でかかるお金は「授業料」と「生活費」そして「学会参加費」が大きな割合を占めると思います。まずは学費(授業料)について。大学院の学費は学部と同様に私立大学と国公立大学で大きな差があります。僕の通っていた某国立大学の大学院の学費は年間で約60万円でした。私立大学の大学院の学費はわかりませんが、私立大学より国立大学の方が格段に安いことは確かだと思います。大学にもよりますが私立大学は年間100万円程度が相場だと聞いたことがあります。

さらに、ありがたいことに僕の通っていた大学院では”授業料免除”の申請を行うことで最大全額、通常半額、少なくとも3分の1を免除してもらうことが可能でした。授業料免除は家計の困窮度合いによって適用の可否が判断されます。僕の場合は年収がアルバイトのみで100万円程度しかありませんでしたので、授業料は半額免除にしてもらうことができました。このため年間の授業料は60万円割る2で、約30万円程度で済んでいました。ただし、この授業料免除も申請したとしても通るかわからないので採用されなかった時は地獄です。

学費の支払いは前期と後期で年二回あります。毎年支払いの時期には銀行口座からごっそりお金がなくなるのでいつもヒヤヒヤでした。コツコツと貯金をしながら生活→春と秋に一気になくなる→貯金して生活というサイクルを繰り返す感じでした。


生活費

次に生活費です。僕の場合は、生活は裕福ではありませんでしたがそこまで切り詰めることなく毎日を送ることができていたと、振り返ってみると思います。身を削りながら生活しなくても良かった大きな理由としては、僕の通っていた大学院は地方にあったのでアパート代が安く済んだのが大きかったかもしれません。ちなみに、僕の住んでいた家は家賃2万5千円でしたが一般的な1Kの間取りで風呂トイレ別。十分生活することができました。

首都圏に住むとなるとそうはいきませんので、地方の国立大学は学費だけでなく生活費を減らすという点で金銭的に苦しい学生の味方になってくれるかもしれません。食費も普通にラーメンを食べに行ったり、飲み会に行ったりと生活することができていました。僕の場合は自炊が本当に苦手だったので月3万円は食費に当てていた気がします。今思えばもっと自炊して節約しておけばよかった。


学会参加費

意外と大学院生の懐にダメージを加えてくるのが学会参加費です。大学院生になると研究発表のために学会に参加することがあります。僕の場合は必ず年2回、所属する学会の学会大会に参加することが研究室の行事となっていました。

学会にもよると思いますが、僕の所属する学会は全国の大学が持ち回りで開催されていました。このため、学会があるごとに北は北海道、南は沖縄まで遠征費(交通費、ホテル代)がかかるのです。このため学会参加費、交通費や数日分の宿泊費、飲み会代(毎晩研究者が集まって飲みに行きます。指導教員や大学院生の友達と2、3軒はしごして交流します。笑)で一回の学会につき最低3万円〜5万円の出費は覚悟が必要した。

お金がないから学会にはいかない!という選択も取れると思いますが、学会は普段考えない様々なテーマについて考えたり、普段関わらない研究者や大学院生と交流する貴重な機会になります。参加しないのは大学院に行く意味を半減させるほど勿体無いことだと僕は思っています。特に研究者を目指す人は研究者としてのネットワークを広げる活動としても大事なので積極的に参加することが大切だと思っています。

僕を含め研究室の仲間は貧乏大学院生が多かったので、ホテルは格安ホテル(大阪に行く時は西成のホテルに泊まったり、4人部屋で予約したりしました)、移動は夜行バスで徹底的にコスト削減をしていました。某私立大学の院生がビジネスホテルに泊まり、飛行機や新幹線で移動しているのを見て「金持ちめ!」と羨んでいたのが懐かしいです。しかし、安いホテル、窮屈な夜行バスも研究室の仲間と楽めたのも青春?の思い出です。


年間の支出合計額

他にも研究のための書籍の購入やその他の支出がありますが、大まかな支出はこれまで述べた項目の通りです。諸々のお金をリストアップすると…。僕の場合はこんな感じでした。

授業料(半額免除時)30万円、生活費(家賃+食費+光熱水通信費)70万円、学会参加費10万円、研究関連費5万円、娯楽費5万円、その他雑費10万円程度

年間の支出総額は120-130万円くらい。僕は社会科学系の大学院だったのでアルバイトする時間があったこと、実験などで使う研究費かからなかったことも生活が可能だった一つの要素かもしれません。


独力で大学院進学を目指すには

大学院進学はどうしてもお金がかかります。進学したいけど親からの支援は得られない、という人もいるかもしれません。そんな人に勧めたいのは、とにかく国立大学の大学院に進学するということです。冒頭述べた通り、国立大学は私立大学に比べて学費が圧倒的に安いです。また地方であれば生活費をさらに抑えることができます(実家から通えばなお抑えられそうです)。

お金がないことを理由に研究への道を諦める人が少しでも減るよう、この記事が役に立てばいいなと思います。大学院はやる気さえあれば親の支援がなくても修了することはできる。個人の家庭環境は異なりますので無責任な発言にはなってしまいますが、そう僕は思っています。

もちろん僕自身も苦労した面も多々ありました。バイトをしなければならず「お金がある人はこの時間も研究できて羨ましいなあ」とか「アルバイトしなければもっと成果を上げられるのに」と悩み、辛いこともありました。しかし、それが僕にとってはかえって研究のモチベーションになっていました(時間がないから時間を大切にできる)。逆に言えば、親の支援を得て大学院に進学し、生活している人は、本当に幸せなことだと思います。

お金がないことで学べたことやありがたみを知れることもある。お金があることで得られる時間や経験がある。お金って難しいですね。


今日はこのあたりで。


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