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大学教員の職階:誰が偉いの?!

最近、コロナ関係でさまざまな有識者がメディアに出てくるようになりました。教授、名誉教授、客員教授、講師...。この中で一番偉いのは??今回は大学教員の呼び名(職階)について解説してみたいと思います。



大学教員の基本的な職階について

一般企業では社長、部長、課長・・・というように役職による序列があります。大学教員においても、このような職階があり「○○教授」「○○講師」というように職階を見ることでその人がどれくらい大学内で偉い人なのかを判断することができます。

大学では、基本的な序列は「教授」→「准教授」→「講師」→「助教」という順になっていることが多いと思います。「講師」は一見下っ端教員のように見えますが、実は助教が一番下になります。ちなみに僕は助教なので一番下っ端です。

年齢層でいうと、教授は50歳以上~、准教授〜講師は30代後半から50歳くらいまで。助教は20代後半〜30代前半といった所でしょうか。領域や大学によってまちまちですが、大体このようなイメージです。

ただ、教授だからといってすごい先生でもないというのがポイント。ほとんど業績を積んでいないのに教授になっている人もいれば、たくさんの論文を書き、外部資金も獲得しているのに助教の人もいます。教授=すごい先生!というのは、ステレオタイプなので注意が必要です。


イレギュラーなパターン①:名誉教授

テレビに出てくる先生の中には「名誉教授」という肩書きを持つ先生もいます。名誉教授は著名な功績を残した人やその大学に10年(15年?)以上など、長期にわたって務めた人に贈られる称号です。名誉教授は大学を退官(退職)した場合にも名乗ることができます。このため、名誉教授の先生が必ずしも現在その大学に務めているわけではありません。

現職の先生で名誉教授の人は少なく、退官後に長年の功績をたたえて名誉教授の称号をもらっている人が多い印象です。なので、名誉教授は比較的高齢の先生が多いです。名誉教授は称号を得た大学の名誉教授という形になりますので、現在B大学に勤めていてもA大学名誉教授、という肩書になります。現在無職の場合も同様にA大学の名誉教授という肩書になります。


イレギュラーなパターン②:客員教授

コロナ禍でテレビに出演している先生には「客員教授」という人もいます。こちらは簡単に言えば大学に非常勤で務めている先生です。大学の授業ではゲストスピーカーを招いて授業をしたり、年に数回の講演会が行われたりします。客員教授はこれらの授業や講演会にたまに来る先生、という感じです。

客員教授は基本的に大学の学務を行ないません。また、一般に教授になるためには「業績〇本以上」「博士の学位を持っている」といったように、これまでの研究成果の積み重ねが認められる必要がありますが、客員教授ではそれがなくても構わないとされています。このため、アスリートや有名人などを客員教授として迎え、授業に登壇してもらうといったこともあります。つまり、”教授”という名称はついていますがその実際はただの有名人という場合もあるので、肩書に惑わされないよう注意が必要です。


イレギュラーなパターン③:特任教授

最後に「特任」○○という肩書です。特任教授はあまり見かけないかもしれませんが、特任助教・特任講師あたりはこの業界ではよく見かけるところです。特任というと「特別に任用されている」ということで高度かつ専門的な肩書のように思えますが、その実は”任期付き教員”のことを特任○○呼ぶ場合が多いです。

大学では任期付き教員と任期なし(パーマネント)教員がいます。任期なし教員は読んで字のごとく、よほどのことがない限りは大学から首を切られることはありません。しかし、任期付き教員は3年や5年で契約更新という形になり、大学の経営状況や職務・業績の評価によってはいつ首を切られるかわかりません。

任期付き教員というプロセスは若手研究者は必ずと言っていいほど通る道かと思います。初めは非常勤教員として授業だけやりに行き、任期付き教員になり、任期なし教員になる…といったようにステップアップしていくわけです。教員のキャリアパスについてはまた別の記事でまとめたいと思います。


正しい情報を得るために

大学教員の肩書についてまとめてみましたが、最後に申し上げておきたいのは「肩書に惑わされない」ということです。最近では様々な人が大学教員になるようになってきました。これまでのように研究や教育を極めてきた人だけではなく、芸術家や評論家、アスリート、社会運動家など様々な人が何らかの形で「大学教員」という肩書を得てメディアに登場してきます。

しかし、本当に大切なのは「大学教員」「教授」という肩書ではなく、その人が信頼に値する人物であるかどうか、その道のプロフェッショナルであるかどうかであると思います。

「大学教員」「教授」という肩書を持っている人の発言であれば、なんとなくその人が言っていることは信頼できるように感じてしまいます。しかし、実際には、そうでない場合も少なくありません。門外漢の人物がさも専門家のように講釈を垂れる、そんな”エセ大学教員” ”エセ専門家”が存在するのも事実です。


特に、このような”エセ”の人たちはメディアに出たり、目立ち、力を発揮するのが好きな人が多いので、何も知らない人はその人が一流の人物であると勘違いしてしまいがちです。でも実際はそうではないのです。

肩書に惑わされず、正しいを情報を得ることが今の情報化社会、そして大学が乱立し、大学教員が量産される今の世の中には大切なことではないでしょうか。僕も”エセ”にならないように気を付けます。


今日はこんなところで。

追伸:コメント、スキはとても励みになります!少しでも役に立つ情報が発信できれば嬉しいです。


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