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大学院生の生活:独力で院にいけるか(収入編)

親から大学院進学を反対され「全て自分でやるから文句言うな!」と言われた僕。大学院進学を考えている学生に向けて金銭面の情報についてまとめた記事の第2弾です。今回は収入編です。

参考: 第1弾記事,支出編はこちら


収入源①:アルバイト

修士課程までのアルバイト:

僕は親に大学院進学を反対されていましたので、「大学院は自分のお金で行く」と説得(わざわざ資料を作成して親にプレゼン)して進学しました。よって大学院に関する全てのお金は自力で捻出せざるを得ない状況でした。大きな収入の柱になっていたのはアルバイトです。

僕の研究室(社会科学系)ではコアタイムが設定されていませんでした。コアタイムは「この時間は研究室にいなければならないと定められた時間帯」のことです。会社員で言えば9時-5時の仕事時間のようなものです。コアタイムはルールとして研究室で定められているところもあれば、僕のいた研究室のように完全自由にしているところもあります。

幸い、コアタイムのない研究室にいましたのでアルバイトは自由に行うことができました。修士の時には大手配送業者で荷物運びのアルバイトを夕方から1日3時間〜4時間程度、週3で行っていました。加えて大学でのアルバイトとしてTA(ティーチングアシスタント:先生のお手伝いのような感じです)も行っていました。アルバイトとTAの稼ぎは合計して月5万円くらいだったと記憶しています。修士課程では正直なところアルバイト収入だけでは生活が苦しく、貯金を切り崩しながら生活をしていました。


博士課程からのアルバイト:

博士課程に進学してからは、ありがたいことに大学と専門学校で非常勤の機会を得ることができました。このため、修士から続けていたアルバイトを辞め非常勤一本で収入を得るようなりました。肉体労働から晴れてホワイトカラーになることができたのです。非常勤で得られる収入は2つの大学を合わせて月7万円〜10万円程度でした。博士課程になると必然的に大学院卒で修士の学位を持っていることになります。このため、大学や研究機関での非常勤アルバイトができるようになったわけです。

非常勤のアルバイト代は大学によってもピンキリでした。僕の場合は1つは専門学校、1つは大学です。非常勤の場合、お給料はコマ単位で支出されます。このため1コマの単価×月の授業回数の合計が給料になります。専門学校では1日3コマ程度、大学では1日2コマ程度を担当していました。専門学校の単価はコマ1万円、大学はコマ2万円くらいだったと記憶しています。博士課程になると修士課程に比べ経済的にかなりゆとりが生まれました。


収入源②:奨学金

支出編でまとめたように僕の場合は年間120〜130万円程度の収入を得る必要がありました。バイトや非常勤で生活費を捻出していましたが生活はカツカツです。このため、僕は日本学生支援機構の奨学金(一種)を利用していました。

この奨学金は給付型(返還の必要のないもの)ではありません。が、一種の場合は無利子で借りることができます。大学院生の場合は確か月額7万円と12万円のどちらかから必要な金額を選択することができました。僕は月7万円を奨学金として借りていました。

生活する上ではアルバイトの稼ぎがあるので7万円をフルで使い切ることはまずありませんが、できる限りアルバイトの時間を減らし、研究の時間を取れるように活用していました。やはり、研究の時間がなくなるのが一番つらいですし、研究するために大学院にきていますから貰えるものは貰っておき、ヤバくなったら使う!というスタイルでした。

最近では奨学金の返済問題が取りざたされていますが、僕自身は「研究者になれば、奨学金くらいの借金は叩き返せる。」と妙な自信を持っていましたので返済に対する不安はそれほどありませんでした。返済のことを考えると、奨学金はできるだけ手を付けないようにしていたのが結果的に良かったのかもしれません。お金があることは心のゆとりにも繋がります。


自分の力で進学する場合に確認しておくべきこと

親からの支援無しに、自分の力だけで大学院に進学する上で確認しておくべきことは2点あります。一つは進学先の大学院でアルバイトをすることが可能かどうか、二つ目は大学院進学後の進路をどのように考えているかです。

確認ポイント1:アルバイトについて

上述の通り、僕の場合はコアタイムのない研究室でしたし、常に実験等を行わなければならない研究領域でもありませんでした。このため、比較的アルバイトを行う時間を確保することはできました。しかし、研究室や学問領域によってはそうではない場合も多々あると思います。知り合いの研究室ではコアタイムとして10時から17時までは必ず研究室に居なければならないとか、アルバイトは禁止だとか、そんな話を聞いたことがあります。

また、理系の研究室では拘束時間の長い実験が多く研究室に籠もりきりにならざるを得ないという話も聞いたこともあります。このため、大学院進学にあたっては、研究室訪問等でアルバイト等が可能であるかを確認しておく必要があるでしょう。アルバイトができると思って入学したら禁止されていた!など、困ったことになってしまう可能性があります。

確認ポイント2:進路について

2点目は、大学院修了後の進路です。親にお金を出してもらい進学できる幸せな人はこんなこと考えなくても良いかもしれませんが、僕のようにボンビーな人は大学院にいくことで費用対効果がきちんと得られるかを吟味しなければなりません。つまり、「有形無形の多大なコストを支払って大学院を修了すること自分自身に本当にプラスになるか」を考えねばならないということです。

何か自分にとってプラスになる・ならないで学問の道に進むかどうか決めるというのは、学問本来のあり方からいえば、良くないことだと思います。しかし、自力で大学院にいく場合には奨学金の借り入れも含め多くの金銭的コストを自分自身で負担しなければなりません。また、論文の作成などに多くの時間や労力も費やすことになります。

このため、果たして自分の人生設計としてそれらの多大なコストを払ってまで大学院にいってまでやりたいことがあるのか、大学院修了後に学位や大学院の経験を生かした仕事ができるかといったことをきちんと考えておかないと、入学後あるいは卒業後きっとつらい思いをすることになります。自力進学の場合には、モラトリアムのための大学院進学をする人とは様々なコスト(特に金銭面)が必要になりますので。そのあたりもきちんと考えておくことが必要だと感じています。


最後に

僕がこのような記事を書いているのは「熱意と才能があるにもかかわらず金銭的な負担を理由に大学院進学を諦めて欲しくない」という思いからです。根性論かもしれませんが、学問に打ち込みたい、この研究がしたい、大学教員になりたい...その熱意があれば金銭的な部分は何とかなると個人的には思っています。もちろん、上に示したケースはあくまで僕個人のケースですので万人に当てはまるとは思えませんし、軽はずみに「大学院いったらいいよ」なんて言えません。本当にお金に困窮している人もいるかと思います。しかし、「お金がないから無理だ」と頭ごなしに諦めてしまうのではなく、少しでも可能性を探しながら、大学院進学という深い学びの世界に足を踏み入れる人が増えてくれたら良いなと思っています。


今日はこのあたりで。

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