Vol.30 宮崎県のインバウンドについて
今日は、いつもの浜松市ではなく、先日、宮崎県の方とお会いする機会があったので、宮崎県のインバウンドについて、少し調べてみました。
なかなか自分が住んでいない地域を分析する時って、その地域の事情を知らないので、結構難しいですが、まずはデータから読み取れる客観的な事実を知ることも必要だと思いますので、そのような観点でお読みください。
<宮崎県への訪問外国人数(2019年)>
まずは、宮崎県への訪問外国人数について見てみましょう。
今回は、新型コロナウイルス発生前の2019年のデータで見ていきます。
「香港」「台湾」「韓国」の順になっており、4番目の「中国」とは、大きな開きがありますね。
いつも浜松を題材にしていますが、浜松ですと、「中国」が圧倒的に多くなっているので、インバウンド対策と言っても、やはり地域によって全然違うんでしょうね。
では、次に時系列で2018年~2019年の推移についても見てみたいと思います。
2019年の「韓国」からの訪日客数は、3番目ではあるものの、2018年~2019年にかけて大幅に減少傾向であり、2019年10-12月期は、2018年1-3月期の3分の1以下になっています。
逆に、総数こそ少ないものの2019年7-9月期から10-12月期にかけて「マレーシア」が急激に伸びています。
また、「シンガポール」に関しては、2018年、2019年とも10‐12月期に大きく伸びる傾向が読み取れます(特に2019年7-9期から2019年10-12月期は大幅に伸びている)
<宮崎県の国、地域別滞在者数の推移>
では、次に滞在者数について「昼間(10-18時)」と「夜間(2-5時)」での比較をしてみたいと思います。
さあ、これを見ると、どんなことが分かるでしょうか?
それぞれのデータは、昼間・夜間の滞在者数を示しているだけですが、これを比較することで、なんとなく宮崎県に訪問した外国人のうち、どのくらいの方々が宿泊をしているのか想像することができるのではないでしょうか?
ここから読み取れることは、「韓国」「中国」「米国」は、夜間滞在割合(対昼間滞在者数割合)が70%を超えていますが、「マレーシア」「シンガポール」に関しては、50%を割り込んでいます(2019年1月期の「シンガポール」は、70%を超えている)。
つまり、「マレーシア」「シンガポール」の方々は、「韓国」「中国」「米国」に比べて宿泊している方々が少ないのではないかという仮説が立てられます。
<宮崎県への訪問外国人の消費額について>
では、次に、宮崎県への訪問外国人の消費額について見てみたいと思います。
訪問者数が増えたとしても、お金を落としてもらえないと地域としては潤いませんので、この辺りの状況分析は、必須ですよね。
これを見ると面白い結果となります。
訪問外国人国別消費額は、「韓国」が一番多くなっていますが、一人当たり消費額を計算すると、訪問者数では7番目の「シンガポール」が、@40千円と他国よりも2~4倍程度となっています。
ちなみに、上記消費額では上位に位置していないので省略してしまっていますが、2019年7-9月期から10-12月期にかけて、急激に訪問者数が増えている「マレーシア」は、@11千円となっています。
では、一人当たり消費額が一番多い「シンガポール」の方々は、何にお金を使っているのでしょうか?
<外国人消費額の構成割合(2019年)>
これを見てみると、一人当たり消費額が一番多かった「シンガポール」の訪日客の消費としては「宿泊」「飲食」の消費額の構成割合が高くなっています。
ただ、「シンガポール」訪日客は、夜間滞在割合(対昼間滞在者数割合)が低かったこともあるため、「宿泊」や「飲食」に沢山お金を使う富裕層の方々が多いのではないかという仮説が導きだせるのではないでしょうか?
<まとめ>
今回は、宮崎県のインバウンドについて「訪問外国人数」「夜間滞在割合」「消費額」の観点から見てきました。
今回、私なりに気づいたポイントとしては、以下の点になります
宿泊者数は、少ないものの2019年7-9月期から2019年10-12月期に伸びていた「シンガポール」の方々は、一人当たりの消費額が他国に比べて圧倒的に高く、富裕層が多いことが想定される。これら富裕層への対策を取ることで、訪問客数を増やすとともに、特に消費額が多かった「宿泊」「飲食」においての対策強化をしてみたらどうか
2018年1-3月期から2019年10-12月期に大幅に訪問者数が減っている「韓国」ですが、一人当たり消費額については、@22千円と「シンガポール」に次いで多い国となっているので、減少要因を特定し、再度強化を図っていく
データ分析は、同じデータを見ていても、人それぞれ捉え方や、対策ポイントは変わってくると思います。
ですので、色々な方々と同じデータを見ながらディスカッションをし、あらゆる意見・考え方に触れながら、自分なりの仮説を立て、実証し、検証していくことが必要なんでしょうね。