ICT時代に言葉はキャッチボールになっているか
小森まなみさんお疲れ様でした
3月31日で、40年以上に渡ってラジオDJ、歌手、声優として活動した小森まなみさんが事実上のこれら活動の引退をすることとなりました。
彼女は元々父親同様に医者を志していたものの、受験勉強中に聞いていたラジオ番組の面白さに惹かれるようになり、両親の反対を押し切って翻意、日本大学芸術学部放送芸術学科を受験、合格しました。
在学中、ニッポン放送でアルバイト中にスカウトされ、せんだみつおの番組の1コーナーを担当することとなりラジオデビューを果たしました。
ちなみに同番組で秋元康が構成作家とデビューし、その後小森さんのデビュー曲の作詞を手がけることとなります。
その後、ラジオたんぱ(現:ラジオNIKKEI)の10代向けの番組、「ヤロメロジュニア出発進行!」「ヤロウどもメロウどもOh!」を担当してブレイク。アイドルDJとしての人気を確立させました。
そして大学卒業後もラジオDJ、そしてテレビ番組のアシスタントとして活動を続けていきました。
1984年に放送が開始した「mamiのRADIかるコミュニケーション」は、25年間放送され続け、代表的な番組となりました。
1985年頃からアニメやゲームで声優としての活動も行うようになり、出演作こそ少ないものの、印象の高い役を演じていました。
それらと並行する形で歌手としても活動を行いました。
特にアニメやゲーム、テレビCMの曲も担当しており、それをきっかけにラジオを聞き始めた人もいたようです。
2011年頃からのど(甲状腺)に腫瘍が発生して今まで通りの活動が難しくなったことで、翌年までにラジオのレギュラー番組を終わらせ、活動を休止しました。
外科手術を受けないといけないレベルと見込まれ、場合によっては声を失いかねないため、投薬などの治療で寛解できるかを試していたようですが、それも難しいとなり、今回手術を決断したと思われます。
ただ、彼女は作家としての活動もあるため、今後はその活動が主体となる可能性が高いでしょう。
かくいう小生も、彼女の番組のリスナーとしてファンになり、何度かお便りを送ったりしつつ、時には返事を頂くこともあって、本当に感謝しています。
多様化したコミュニケーション
さて、彼女が活躍した1980年代から1990年代前半と現代では、情報の伝達は大きく変わりました。
単純に放送だけに限定しても、視聴者が番組に意見などを送るのは、ハガキなどの郵便か、FAXがせいぜいでした。
勿論その方向は一方向で、番組側が視聴者、リスナーに返すことなど珍しいことでした。
その後インターネットが普及し、元々確立していたEメールでの受付が始まりました。
2010年代からSNS(Facebook、Twitter(現:X)、Instagram、LINEなど)が一般的になると、番組側が公式アカウントを作って情報を適宜発信したり、リプライを受け付けるように変わっていきました。
これによって、今迄は郵便だと意見を出しても届くのに1,2日という期間が必要だったのが、今はダイレクトに一瞬で届けられるようになりました。
そういう意味では、30年以上昔に比べて放送局、番組スタッフやキャストと、視聴者やリスナーとの距離が大きく縮まったように思えます。
距離が近い故の乱雑さ
しかしながら、距離が近くなったことによって、ちょっとしたことでもリスナーや視聴者からの文句、暴言などが横行するようになり、場合によっては番組自体をあらす結果にもなっています。
特に番組内で不適切なことを言ったときにはすぐに拡散され「炎上」と呼ばれる大騒動、大クレームが巻き起こることとなり、すぐさま謝罪をしたり、後々出演者を降板させたり等のトラブルにいたったりします。
それ以前においても同様のことは起きていても、インターネットという可視化された中でそれらもオープンになってしまったことで、顕著になったように見える、という意見もあるでしょう。
とはいうものの、あまりにも距離が近づきすぎたことによって、有名人や著名人など成功を収めたものに対する嫉妬心を持っていた人たちが、ダイレクトに攻撃するツールにもなっているのも現実ではないでしょうか。
コミュニケーションが「心と心のキャッチボール」であるように
番組という範疇ではなく、YouTubeで芸能人などがチャンネルを設けて独自に番組を提供したり、FacebookやXのアカウントを作って情報を発信することも珍しくなくなっていますが、それらにおいても粘着質なクレーマーが散見され、荒らしている様を見かけます。
それは一方的に攻撃的な言葉を投げつけるだけで、「心のドッジボール」をしているかのようです。
相手が倒れない限りに止めない様は、不毛で浅ましい限りです。
SNSが一般的になり、どんな地位の人でもフラットで手軽にコミュニケーションが出来る今だからこそ、「心と心のキャッチボール」をするように、相手が受け止められるよう配慮することが大事ではないでしょうか。
一個人も簡単に情報の発信者、放送局のようなことが出来る時代だからこそ、自分の発信する内容にも一定の責任と配慮を持つことも重要ではないでしょうか。
暴言を吐き続ける人間はどんどん信頼も落ち、人間性も否定されていくでしょう。
それこそ身近な人間だけではなく、世界中に発信されてしまうSNSというツールだということをもっと認識して、尚更発信内容を大切に扱うことを心がけるべきでしょう。
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