金融危機への展望
この記事では金融危機を予言するものではなく、金融危機が起きた場合に何が起こるか、過去を見返して確認したいと考えて記すものだ。
また、予言するものではないが無くもない話だと考えている。金融危機のトリガーは投資家に危機を感じさせるイベントであり、その最たるものは信用市場の縮小を意味する中央銀行の利上げであるが、日本銀行は利上げを志向している。
実際、公式サイトでインフレ目標を2%と述べているところ、
物価の前年比値上がり幅はこのところ2%を超えているままである。
そしてその主な原因を日本銀行で円安とみているところ、円安は止まっていない。150円で騒がれていた時期があったが今は155円である。
これは物価の安定の為に利上げをすると考えるのが妥当だろう。これから発行する国債の利払いが増えるだろうから国の財政にも大ダメージだが、今年利上げを断行した姿勢からは年内にも追加をしそうな雰囲気を感じている。
そして本題だが、金融危機で何が起こるか。米国の中央銀行で、更に2009年からは財務長官としてリーマンショックへの対応を担ったティモシー・ガイトナーの回顧録(「ガイトナー回顧録」)や当事者インタビューから、脅威や機会を見出す事ができる。
(金融市場)
・株価半減はよくある話だが、投資家は、たとえ公的資金で救済される会社に投資していたとしても損失をこうむる。公的資金と引き換えに株式を政府に渡すので持ち分が減り、資産価値としては大ダメージを受けるのである。
「シティグループの投資家が危機前に1%を持っていたとすると、救済の後は0.16%に薄められた」
・金融機関に救済がなされるが、そこでは経営陣の交代が起こる
「経営難で政府に大きな部分を所有してもらわなければならなかった会社(AIGなど)、もっと強い同業他社に吸収合併してもらうよう要求された会社(メリルリンチなど)のCEOはいずれも交代になった」
・ポジティブに考えれば、安値で買える資産が増える
(実態経済)
・事業投資も消費も減り、産業用・消費者用共々モノが売れなくなる
・ポジティブに考えれば、大企業の社員にとっては、抜本的な改革を進めるチャンスになる。長年黒字の中で動き出さなかった改革が赤字で動き出すというのは、産業内にある非効率を正す絶好の機会だろう。(仮に政府が補助金で黒字化を支えたら、危機感は薄れてしまうかもしれない)
つまり、多くの人にとって、金融危機を待つのに良い姿勢は、金融商品の購買余力を残し、勤める 企業の改革プラン、それも正しいのだが危機感の不足から合意が得られなかったようなプランを見返して磨いておくことだ。
ちなみに購買余力について、信用取引をしている方々は計算方法を再確認するのが良いだろう。例えば投資先の株価が20%下落したら、購買余力はそれ以上に急激に減る。
危機に備え、むしろピンチをチャンスに変えるような動きが個人としても社会としても出来ると良いと思う。