この記事では金融危機を予言するものではなく、金融危機が起きた場合に何が起こるか、過去を見返して確認したいと考えて記すものだ。 また、予言するものではないが無くもない話だと考えている。金融危機のトリガーは投資家に危機を感じさせるイベントであり、その最たるものは信用市場の縮小を意味する中央銀行の利上げであるが、日本銀行は利上げを志向している。 実際、公式サイトでインフレ目標を2%と述べているところ、 物価の前年比値上がり幅はこのところ2%を超えているままである。 そしてその主
日頃新聞を読んでいれば、或いは株式投資をしていれば、プライベート・エクイティファンド、すなわち「PEファンド」という名前を聞いたことがあるはずだ。 それは保険会社や年金基金などからお金を集め、主に上場していない会社を買い、コスト削減や採用や海外展開などを手伝って立派にしたうえで他の会社や投資家などに売却する、いわば金融取引と経営支援で稼ぐファンドのことである。 タイトルのヘンリー・クラビス氏は、そのような仕事をする業界を作り出した1人であり、私は野蛮な来訪者でその名を覚えてか
2024年のノーベル経済学賞を受賞したうちの2人、ダロン・アセモグル教授とジェイムズ・ロビンソン教授は、「国家はなぜ衰退するのか」という共著を持っている。 この書籍で繰り返し述べられるメッセージは、社会の繁栄にとって政治制度で人々の経済活動へのインセンティブを高めることが決定的に重要であるということだ。決定的にというのは、この仕組みが無ければ他の道具がそろっても社会の繁栄につながらないということだ。 読み解くところ、大原則は次の二点である。 ・政府が法による支配を公平に実
日本の株式市場(ここでは東京証券取引所)は、2024年9月に公表された証券業協会のデータによれば1500万人を超えたらしい。しかも過去10年ほど増加トレンドがほぼ継続できており、株式市場は活気づいていると言える。日本の株式市場には、合計で今や1000兆円ほどの値段がついている。下記と比較してもいかに巨大な影響力を持つか分かる。 【日本の経済指標】 ・日本のGDP:約600兆円(2023年) ・日本の銀行の貸出金総額:約600兆円(2024年6月末) ・日本の株式市場:約100
よく、失業率の上昇、経済活動全体の停滞による閉塞感で社会不安が高まる、より具体的には犯罪が増えたり戦争のリスクが高まる、ということが話される。読者個人の感覚としてもそのように感じているかもしれない。 私にとってこの仮説は、第二次世界大戦をふり返り、その理由をより深く理解しておきたくなる時に改めて確認したくなるポイントであった。 そして以前、過去の統計にあたって深めに検証した人を見つけたのでレポート含め紹介したい。 検証したのはRay Dalioという投資家で、世界最大のヘッ
「世の中の変化が速くなっているから企業はその対応を考えなければならない」と、多くの有識者が述べているのを本などで読み、技術革新のニュースが次々出てくる様子を眺めていて、人はどうなのだろうと考える。 これについては、企業内研修によるリスキリングでデジタルの知見を普及させるのだとか、新たなことを学習する人へ政府が補助金を出すだとか、様々な施策が実行されている。 学ばされる側の人からこれらの施策を見ると、会社に新たに導入する基幹系システムの使い方の企業研修であるとか、新たに普及しつ
リコーが子会社リコーテクノロジーズを承継会社として東芝の複合機部門を吸収分割させる報道が出ている。 企業戦略のプロダクト・ライフサイクルの考え方として、ある事業を成熟したマーケットであると認識したのであれば規模を求めコスト効率を追求するのが正解とされる。 ポストコロナの世界、人々のワークスタイルの変化を見て、リコーはおそらく今後も複合機事業を成長させることは困難と見きったのだろう。 同じような思考回路を辿り、ポストコロナの世界で成熟産業になったと考えられるリアルの産業はいくつ
レポートバンクは、現在Amazon Kindleの電子書籍の形式で10冊のレポートを出している。 これらは全て出所を明らかにした統計を基に組み立てられているほか、業界向けのレポートについては導き出されるメッセージも込めている。 (公表資料から検討しただけの、プロジェクトで言えば初期仮説といったレベルではあるが) これから関わる業界の基礎的な統計データ、主なプレイヤーの考えていること(公表しているレベルで)を知り、関わり方を考えるのに参考になっていたら嬉しいと思う。基礎的な統
「社会の発展には社会全体としての生産性を高めることが重要であり、その成否を分ける主要なカギは教育の充実である。」と、マクロ投資で世界最高レベルの成果を上げ続けている投資家のレイ・ダリオは述べる。 「社会のどこに優れた活躍をする人がいるか分からない。才覚を伸ばす機会を与え、その活躍を促す仕組みがあることは、社会が才能にアクセス出来ることにもなり、社会の強靭さを高めることになる」と述べ、アメリカン・ドリームが叶えられる社会基盤をもたらそうと奮闘しているのだ。 (例えばラリー・サマ
会社は従業員や役員等に対して、給与振込をする他に様々な形の報酬を支払っている。医療サービスを割安で受けられるようにしたり、オフィスでコーヒーを飲み放題にしたり、自社製品購入を割安価格にしたり、日々働いていればなんらかの利益を享受するものだ。そしてこの多様な報酬の中の一類型が、自社の株式を用いた報酬制度である。 報酬として渡す方法は「獲得条件の程度」と、「現物か新株予約権か」という区分で分けることができる。 獲得条件の程度は、平たく言えば株式を支給された者がいつから安心して
証券取引所に流れる適時開示情報をみていると、「譲渡制限株式報酬としての自己株式処分」というリリースが数多く見つかる。大型株式から小型株式まで、本当に数多い。 この内容は、一定の期間、取締役や役員といった職務を続けてくれたら自由に処分できるようになる株式を報酬として会社から支給する、というものだ。 そして「一定の期間」については、ごく稀に3年や5年というものもあるが、ほとんどが30年や「取締役会が正当と認める退任まで」と、転職を防ぐようなスキームになっている。 ここで、投資家の
東京証券取引所の公式サイト(下記)では、日々上場企業から出される情報(これを適時開示情報という)を閲覧することが出来る。 この情報は、上場企業が取引所に提出して取引所から開示されているものであるから、当然想定される読み手は投資家であり、投資家が「投資をするかどうか」の判断の元になる話をしているべきものである。 そして実際、経営陣の交代や抱える訴訟、収益力を左右する製品・サービスの提供時期延期、今後の業績予測など、投資判断の元に出来る(丸ごと信じるわけでなく元にする)情報は
はじめまして、レポートバンク管理人です。私は街を散歩したりテレビを観たりしてはその背景の会社の活動を思い浮かべるのが好きなのですが、この場ではそうした日常の考えを読みやすく面白くブログにしていこうと思います。 読むことでほんの少し日常生活で関わる店やサービスに詳しくなれる記事、という位置づけを目指します。 長めに調べるときはWordでレポートにしてアマゾンの電子書籍に仕上げるのですが(平均で、A4にして15ページ程度)、ここでは簡単なブログだけ書いていこうと思います。興味を