事業売買の適時開示

東京証券取引所の公式サイト(下記)では、日々上場企業から出される情報(これを適時開示情報という)を閲覧することが出来る。

この情報は、上場企業が取引所に提出して取引所から開示されているものであるから、当然想定される読み手は投資家であり、投資家が「投資をするかどうか」の判断の元になる話をしているべきものである。

そして実際、経営陣の交代や抱える訴訟、収益力を左右する製品・サービスの提供時期延期、今後の業績予測など、投資判断の元に出来る(丸ごと信じるわけでなく元にする)情報は多い。
※ウォーレン・バフェットなど、業績予測は有害でしかないという意見もある。(本当に予見できることなど少なく、むしろ達成困難になってしまった場合の粉飾誘発リスクなどがあるからだという。「株主からの手紙」第5版より)

しかし、そもそも投資判断の元にするにも今ひとつ情報量が足りない開示がある。それは売買代金を伏せた事業売買の適時開示だ。
当該事業内容を教えてくれたり、買い手側の経営者が今後のシナジーに期待していることを説明されるのは良いのだが、「その取得の為にいくら払うのか」を出さなければ、投資家は判断出来ないはずだ。
例えば新しい住宅を探している人がエージェントに「素敵な物件を見つけた」と言われ、確かに素敵なのだがその場で価格を教えてもらえない、としたらどうだろうか。良い買い物なのかどうか判断できないのではないだろうか?

適時開示するほどの買収であれば大きな買い物であるし(総資産の20%を越えたら会社法362条等により重要事項として取締役会で決議される。重要事項報告の為のルールである適時開示はこのレベルの売買と分かる)、もしかしたら家計に与える影響は住宅ではなく車程度かもしれないものの例え話はあながち外れていないのである。

さすがに後々(有価証券報告書の財務諸表などをみれば)価格がわかるような仕組みが金融市場ルールとして出来ているものの、適時開示でも何とかならないかと思う次第である。


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