吸収分割での事業再編

リコーが子会社リコーテクノロジーズを承継会社として東芝の複合機部門を吸収分割させる報道が出ている。
企業戦略のプロダクト・ライフサイクルの考え方として、ある事業を成熟したマーケットであると認識したのであれば規模を求めコスト効率を追求するのが正解とされる。
ポストコロナの世界、人々のワークスタイルの変化を見て、リコーはおそらく今後も複合機事業を成長させることは困難と見きったのだろう。
同じような思考回路を辿り、ポストコロナの世界で成熟産業になったと考えられるリアルの産業はいくつがあると思う。想いがあればオープンイノベーションで逆転を図ることはあり得るが、対面ならではのオフィス用具は全般が成熟産業化を加速したであろうから、オープンイノベーションを仕掛けて覆すか、成熟産業と見きってM&Aに動くか、いずれにせよ急激な外部環境の変化に伴う急激な企業戦略の変化がこれから押し寄せると思われる。それらは日本企業が世界で競争するにあたり強化の一歩となるはずだ。
(それにしてもリコー案件は東芝側の子会社が海外に及び見るからに大変そうなので、GWとか休めたんだろうかと気になってしまう)

M&Aの手法について、これは興味のある読者が急に減る話のような気もするが触れておくと、吸収分割は合併と共に上場企業のIRに頻出する手法になるだろう。
合併、分割、事業譲渡と大きく手法が分けられる中で、契約関係の見直しを伴う事業譲渡は上場企業の規模だと事務量に耐えられない。
契約ごと取り込む合併か分割が方法として取られることになり、それは対象が法人丸ごとなのか一部門かによるのでケースバイケースとなる。

ところでM&Aの増加が見込まれる環境下にあって関係する投資戦略をみると、ゴールドマン・サックスの服部暢達氏の著作にあるように、売り手企業の株主が直接的に利益を獲得することは一つのポイントになるだろう。これは、買い手の思い描くシナジー効果の見込みの一部をコントロール・プレミアムとして売り手が株価に上乗せし、即換金出来るという取引の慣行による。

日本企業の強化に連なる戦略の急激な変化を後押しすること、投資戦略で大きな利益を得ること。両方ともに楽しい取り組みだと思う。変化の多い時代を、楽しく考え続けて乗り越えていきたいものだ。

レポートバンク



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