〈答え合わせ編〉初100マイル挑戦: 第10回 仙元山100
今回のチャレンジである仙元山100の前提部分は予想の記事をご参照ください。
スタート〜1周目(結果)5:00-9:50
0km〜32km
森戸海岸沿いのホテルで波の音を聞きながらぐっすり6時間睡眠。目覚めのコーヒーを飲み、腰から下にPRローション、足指と金玉と肛門に天狗バームを塗り、1周目からLEKIのポールを使うので手のストラップが当たる部分にテーピングを貼った。荷物を持って夜明け前の森戸海岸に着くと多くのランナーやスタッフのヘッドライトの光が揺れていた。完走したらもらえるバックル代は受付にて先払いしたが、払い戻しされたくないと強く思った。ビーチは少し肌寒かったので椅子に座って寝袋をまといながらスタートを待った。
ほぼ最後尾からスタート。100マイル、全長160km、獲得標高約6,500mという自分にとって圧倒的に未知の領域が始まってしまった。仙元山で上着をしまい、その先の南郷公園でオーガナイザーのタクジさんたちに合流。大楠山に登る手前のファミマまで楽しくご一緒させてもらった。山頂ではナミネムさんファミリーとステラに癒された。海岸線に出たときにおマミさんにLINEで現在地を連絡。想定よりはやいペースで来てしまっていることに気付き、ペースを抑えながら進んだが森戸海岸に戻ったのは9時50分。行動時間は6時間想定のところ4時間50分となりオーバーペース。みんなから事前に言われていた「1周目は流れにのって速くなる」その通りの展開となった。
エイド〜2周目(結果)9:50-15:45
32km〜64km
私物を置いていたベースキャンプに戻るとおマミさん不在で狼狽えた。予想よりだいぶ早めに戻ってしまったことが原因。荷物もスタート時のままだったので必要なものを探すこと苦労しつつ、なんとか補給と水を入れ替えたところでスーパーに買い出しに行っていたおマミさんが登場。ようやく椅子に座り、おしぼりで身体を拭いてPRローションを塗り直し、慌ただしくコーヒーを飲み饅頭を食べて10時15分に2周目をスタートさせた。滞在合計25分となり最も長いエイド滞在となった。
ワイワイ走っていた1周目とは異なり、独りの時間が長くとにかく静かだった。ふとした瞬間に、いまより疲弊した状態がこれから24時間以上も続くことが頭をよぎり気が遠くなる。そのようなネガティブが出た時はラムネを3粒ほど食べて1周にフォーカスした。ガーミンのウォッチフェイスがガーミンコネクトIQのロゴだけになる謎の表示トラブルが発生。まったく直る気配がないため、やむ終えず一度停止、保存し再スタートさせたが中途半端な場所からの再スタートだったため距離感の把握に苦労した。1周目の反省をいかしLINEでおマミにベースキャンプでやりたいことを連絡したりもした。海岸線のロードに出てしばらくすると右足の親指が強烈に痛み、爪が剥がれたと思い込みテーピングの用意もお願いした。2周目の終盤は3周目で逆走する速いランナーたちとすれ違ったが、みんなサイボーグかと思うほどピンピンしていて本当にすごいと思った。ヒデキさんとか無限に笑顔だし。予想に反して海岸線で夕陽を眺めることもなく、森戸海岸に戻ったのは日没前の15時30分。行動時間は5時間30分となりまたしてもオーバーペース。あとで知ったがこのままいくと潰れてしまうので3周目と4周目はゆっくり進め、なるべく本来の時間に戻すとペーサーメンバー内で計画されたらしい。
エイド〜3周目(結果)15:45-23:00
64km〜96km
ペーサー JJさん
整ったベースキャンプにひと安心。JJさんもスタンバイしてくれていたし、セブンくんとアヤカちゃんも応援に来てくれて、かゆいところに手が届くサポートをしてくれた。長い夜パートに向けて身体をおしぼりで拭き、靴下を変えつつ天狗バームやPRローションをおマミさんに塗り込んでもらった。激痛があり爪が剥がれたと思っていた右足の親指は何ともなっていなくて錯覚だったということがわかった。いつもの豆で淹れたてのコーヒーを飲み、おいなりさんを食べ、シャインマスカットやポテチをつまんだ。最後まで食欲は衰えず、用意しておいた自分が好きなものを気分で選び、好きなだけ食べた。
15分ほど滞在し16:00にペーサーのJJさんと出発した。目標は7時間。逆走ルートはJJさんのナビ頼りだったが、スタート直後の登山口を素通りして面白かった。ウェスタンステイツ以降ランニングのモチベーションが枯渇しているJJさんはトレラン自体が久しぶり過ぎるとのことで、めちゃくちゃツラそうだった。そんなJJさんの後ろについていると自分にはまだ余裕があるのではと勘違いできた。大楠山のナミーエイドでは4周目をお願いするジローさん、サイちゃん、アキラさんに会えたし、あたたかい具なしみそ汁でひと息つけた。2周目が孤独すぎたので仲間と走れることがうれしかったし、僕が初めて高尾山を走るときに気持ちのいいルートをナビしてくれたはJJさんだった。そして今度は初めての100マイルをナビしてもらったのだ。そんなJJさんと森戸海岸に戻ってきたのは23時。行動時間は目標の7時間ジャスト。さすがっす。
エイド〜4周目(結果)23:00-6:35
96km〜128km
ペーサー ジローさん
JJさんとベースキャンプに戻るとみんなが傘をさしていて雨が降っていることにようやく気づく。しっかり飲んで仕上がっているはずのジローさんもレインを着てスタンバイしてくれている。夜中の4時頃まで雨が降るということで同じくレインを着た。おマミさんのサポートも回を重ねるごとにスムーズになって安心感があり助かった。雨のなかクルマ仲間のクリリンと偉織くんも来てくれたし、ユウカちゃんとスズちゃんも応援してくれた。予想していた行きたくなさは1ミリもなかった。
15分ほど滞在し23時15分に4周目スタート。ジローさんは片手にハンドボトル、もう一方は僕の補給食が入ったジップロックをそのまま持つワイルドなスタイル。深夜になり眠気はまったくなかったが膝に痛みが出ていて、下り全般がとても厳しかった。100マイル熟練のジローさんから痛みは移動する、人間の身体は同時に2つの痛みを感じられないという話をきいて、できれば行動に影響がない別の部位に移動してくれと切に願いながら進んだ。阿部倉温泉登山道の木段に差し掛かる前、脇道の少し平らになった真っ暗な場所に水色のパーカーのフードを目深にかぶり、明かりひとつ点けず棒立ちした女性の後ろ姿を発見。一瞬でヤバいやつだとわかる感じ。ジローさんも察して無言。ただ、恐怖心より好奇心がやや上回ってしまい通りすぎる時にチラッと顔を見てみると、陶器でできたような青白い肌に真っ赤な口紅、切れ長の目。その瞬間全身に鳥肌が立ち、逃げるように階段を駆け上がった。前後のランナーも同じ場所でこの女性を見ており、幻覚の類ではなくマジもんだったことが更に鳥肌だった。おかげで心拍数は上がってしまったがカフェインピルいらずの目覚ましとなって助かった。夜が明けて森戸神社に差し掛かったところで5周目を終えゴールする長尾さんクルーと合流。こちらはあと1周。戻ってきたのはあさ6時35分。行動時間は7時間20分。もちろん、ジローさんはビールを開けた。
エイド〜5周目(結果)6:35-14:26
128km〜160km
ペーサー おマミさん
ジローさんと戻るとまわりにたくさんの人がいた。予想通り季節外れの暑さになりそうだったので着替えて最終ラウンドに備えた。夜パートの2周を終えた安堵感とあと1周あるという事実へのマジで冗談きついよ感が入り混じる。最終ペーサーのおマミさんに補給食を持ってもらい、装備をできるだけ軽くさせてもらった。
いよいよ最終回。あさ6時55分スタートのモーニングラン。膝の痛みは足裏と甲の激痛に移動していた。この身体の感じだと8時間くらいと予想できたが果たして耐えられるのか。長尾さんクルーの岩垂さんが言っていたここからが100マイルが脳内に響く。ウィニングランと言うものの気を抜くと首を持ってかれると感じた。二子山を超えたあたりから眠気を感じ、これから入っていく畠山あたりの細道ややこしいゾーンはこのままだと危なそうだと判断し、オンガタの妖精シャウさんから茶封筒に入ったパケで送られてきたカフェインピルを飲んだ。最初はいよいよ終わりだなとおマミさんと話していたが、畠山の細道の終わらなさ、大楠山への林道の終わらなさなど各所の終わらなさに心身ともにやられ、今まで補給以外であまりなかったが完全に立ち止まったりもした。やめようとは思わなかったが終わらなすぎてビビった。絶望を楽しむ余裕なんて無し。終わらせないと、終わらない。海岸線のロードはおマミさんの肩に手を置いて走る謎の走法で前進し、葉山御用邸が近くなると予想記事の戻り時間である14時30分に近いことに気付き最後のプッシュ。森戸海岸のゴールテープを切ったのは昼下がりの14時22分。行動時間は7時間27分。合計33時間22分で初100マイルをフィニッシュ。予想より8分だけ巻いた。100miles 1time、Kentaro's セオリーは「終わらせないと、終わらない」。
謝辞
まず主催である仙元山100実行委員会の皆様、仙元山トレイルクラブの皆様、ボランティアの皆様、関係者の皆様、大変お世話になりました。素敵なセルフチャレンジ企画をありがとうござました。タクジさんからお誘いいただき少し悩んでからチャレンジを決めましたが、初挑戦が仙元山100で本当に良かったと思っています。雰囲気が良くて、しっかりキツくて、最高の思い出になりました。心から御礼申し上げます。
そして3周目、4周目のペーサーを引き受けてくださったJJさん、ジローさん、そしてサイちゃんも本当にありがとうございました。事前のミーティングから一緒に走り終えるまで、実際の経験に基づくアドバイスと判断がなければ完走できていなかったと強く思います。本当にありがとうございました!!
おマミ経由やDMでアドバイスをくださったJRさん、おっくん、ヒデキさん、ありがとうございました。おかげさまで完走できました!シャウさんも白い錠剤ありがとうございました。しっかり覚醒できました。本番前に最後の試走をご一緒させてもらったハセさん、ありがとうございました。試走しすぎて逆にモチベーションが下がり気味だったので笑 本当に助かりました。
一緒に走った参加ランナーの皆様、本当にお疲れ様でした。すれ違いざまの声かけや会話から元気をもらいました。ありがとうございました!
応援に来てくれたみんな、ありがとう!!まじで助かりました。
さいごに、チャレンジを決めた時点からゴールテープを切るまで絶えずサポートしてくれたおマミさん、本当にありがとう。おマミさんがいるから挑戦することができました。からだ回復したら、また走ろう✌️(了)