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複雑性を克服する

先週の6月20日にSFCにBCG(ボストン コンサルティング グループ)の栗原勝芳さんが講演に来てくださった。そこで栗原さんがこんなことをおっしゃっていた。

「BCGのパーパスに『複雑性を克服する』っていうのがあるんですけど、私はこれが好きなんですよね。

栗原勝芳

「複雑性を克服する」

何ともかっこいい響きである。

でも、そもそも「複雑性」ってなんだろうか?

辞書で調べてみた。

〘名〙 複雑な性質、性格。

精選版日本国語大辞典

システムがどのような振る舞いをするのかを理解したり,システムを修正したことによる振る舞いへの影響を予測したりすることがどれくらい難しいかを示す尺度。

ISディジタル辞典

わかったようなわからないような、、。

ここで、良いPDFを見つけた。それが、

「複雑性早わかり」

https://complexityexplained.github.io/ComplexityExplained[Japanese].pdf

である。

これによると、複雑性(複雑系)は以下のような特徴を持つ。

相互作用
複雑系は多数の構成要素から成り立ち、それらはお互いに、また環境とも、さまざまな形で相互作用する。
創発
複雑系の全体としての性質は、個々の構成要素の性質とは非常に異なり、しばしば予期しえないものとなる。
ダイナミクス
複雑系はその状態をダイナミックに変化させ、しばしば予測不可能な長期的振舞いを見せる。
自己組織化
複雑系は自己組織化し、自明でないパターンを設計図のないまま自発的に生み出しうる。
適応
複雑系は適応し進化しうる。
学際性
複雑性科学は多くの分野における多種多様なシステムを理解し取り扱うのに活用できる。

複雑性早わかり(Serafina Agnello)

上記PDFは複雑性科学に関するペーパーであり、科学的視点から複雑性について述べている。

では、経済や経営における複雑性は具体的にどのような事象で見られるのだろうか。以下の3つについて考えてみた。

社会

社会は我々人間の組織の集合体であり、まさに「複雑性」そのものと言える。社会の動きはしばしば予期せぬものになることもあるが、我々は上手くそれと付き合いながら生きている。「適応」の観点から言えば、社会は様々な外的要因(気候変動や地球資源の減少等)に適応し進化しうるが、「創発」や「ダイナミクス」の内的要因による自己の変化についてこれるのだろうか。つまり、社会は我々人間がもたらす変化によって自己消滅しえないだろうか。

意思決定

我々は日々何らかの意思決定を行なっており、その結果としての「明日」は自分が到底想像できないものになる。また、他人の意思決定が自分自身の意思決定や結果に影響を及ぼすことがあって予測困難である。経営においては、エグゼクティブの意思決定は様々な知識や情報を要求し、まさに学際的(総合的)である。会社の打ち手が良かったとしても、顧客の意思決定に何らかの問題が生じた場合、会社はその効果を期待できない。

マーケット

マーケットはしばしば我々が予測できない動きをする。いくら我々が予測モデルを構築したところで「複雑性」を持つマーケットを完全に予測することは不可能であろう。ミクロのトレンドを予測し、高い精度で仮説を立てて、デイトレードをすることは可能かもしれない。長期トレンドも自分なりの仮説を立てることは可能かもしれない。しかし、その仮説はあくまでも仮説であり、トレード等のある種の決断をする際には、皆ある程度の覚悟を決めているのだろう。

ここまで調べてみたり、言語化してみたりして大まかな「複雑性」の理解はできた。

そこで「複雑性を克服する」という言葉に立ち返ってみると、その意味は

「クライアントが置かれている現状とゴールまでの間にある複雑性を持つあらゆるものを洗い出し、明快なものにした上で、クライアントがゴールを達成できるようにその複雑性を解消していく」

というものになると思う。

そう考えると、コンサルが問題解決のプロと言われる理由が何となくわかった気がする。

自分も問題解決は好きな方なので、今後のキャリアの一つの選択肢として考えていきたい

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