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【2024年12月11日】引越し当日②

昨日のつづき。

当日の目玉イベントは、大家さんとの顔合わせ。こんなの初めてだ。
60,70代のおばちゃんらしい。不動産の担当者も会うのははじめてということで、我が家まで車で来て待機していた。私はもちろん、菓子折り(という名の賄賂)を用意して、やはりタバコを吸いながらソワソワ待っていた。

ところが、15分待っても30分待っても来ない。
ついに1時間が経過というところで、不動産屋が次の予定があると行って帰ってしまった。大家さんには電話をしても繋がらないのだそうだ。わざわざ入力中のメール画面まで見せてくれて、「この内容でお送りしますので」と言って担当者は帰った。内容は外に置く洗濯機用の電源が外にないこと、それをあたらしく付けてくれないかという提案と、あらためて今日の顔合わせの確認だった。なんて丁寧な不動産なのだろう。前回の都心部であぐらをかいていた悪徳不動産とは雲泥の差である。地元密着型の不動産、最高。

そんな人徳あふれる不動産の担当者が帰った15分ほど後に、ようやく大家さんが来た。
ドアを開けた第一声が「ごめんねぇ!もっと早く来る予定だったんだけど」だった。そう、予定の時間から遅れること1.5時間。その理由は明らかにしないまま、挨拶タイムがはじまった。なんだか忙しない、パワフルなおばちゃんだった。

「ごめんねぇ、エアコンが古いままで。このあと業者に寄ってすぐに変えるから!」

今のままでも十分使えていたが、入居時の約束として新しいものに取り替えてくれるらしい。待ち合わせにも遅れ、エアコン手配も遅れ……契約関係にある仲、しかも初対面でこの有様であればふつう、信頼を損ないかねない状況だ。なんだけれど、この大家さんは不思議と許してしまう何かがある。これを愛嬌というのだろうか。正直で、けっして不誠実なわけではないのだ。本当に忙しくて遅れてしまったのだろうな、と許せてしまう感じの。

「ちょっといい?部屋を少し見せてくれる。この部屋、どんな感じだったっけな」

と言い、玄関まで入ってきた。どんな部屋かも忘れるほど、他にも物件を持っているのだろうか。どんだけ金持ちやねん、と思っていたら、大家さんが矢継ぎ早に確認してきた。

「色々問題ないわね? 電気は使える? お湯は出る? 畳はきしんでなかった?」

食い気味に聞かれるので、こちらもなるべく早めに「はい!大丈夫です」と言う。畳のきしみを確認してくれたことが、嬉しかった。そんなことを気にしてくれる大家さんが、この世にいるんだ!と思って。

最後に収入源を聞いてきた。

「で、収入は、美術モデルなのよね?」

一瞬どきっとしたが、最近あちこち回るくらい忙しくしてます、最近はライティングもちょくちょくしてます、とアピールをしたらなんとかなった。

そして菓子折りを渡した。「まぁ〜! わたし、なにも用意してないわ。ごめんなさいね。ごちそうさま!」

食べる前から「ごちそうさま」と言った人ははじめてだ。やはり、この大家さんは良い人なんじゃないか。

「じゃあ、何かあったら連絡くださいね。お菓子、どうもありがとう。ごちそうさま!」

もう一度「ごちそうさま」と言い放って、大家さんは部屋を出た。

それから数十分して、見知らぬ番号から電話がかかってきた。電話をとると、大家さんだった。エアコンを取り替えるけど、いつなら家にいるの、という内容だった。本当に、顔合わせの足でそのまま業者に行ってくれたらしい。

この部屋に引っ越してから会う人・お世話になる人、みんなやさしくて感動する。それだけでもこの街に引っ越してよかったと思える。

そう思ったエピソードが今日もあった。明日書きたい。

新居、もちろん畳です!

日当たりサイコー



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差詰レオニー
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