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楽器を演奏すること

今朝、寝ぼけまなこで眺めていたTwitter。
そこで流れてきたピアノの演奏動画に、ひさしぶりに心を奪われた。

いい意味で音の芯やトゲのない、やわらかいタッチ。美しくも、どこかせつさを感じさせるアレンジのメロディ。

今日は移動時間も、なんならこれを書いている今もずっと、聴いている。なんといってもこの動画に流れている「気」のようなものがとても清らかで。永遠に聴いていたくなった。

こんなにおだやかで癒されるような演奏動画を本当にひさしぶりに観たような気がする。こういうのを見ると、「やっぱり楽器を演奏するっていいなあ」としみじみ思う。そして、やっぱり私もこちら側にまわりたい、こんな感動を自分も届けたい、とも思う。

あまり書いたことがないネタなのだが、私は楽器が弾ける。小学校でピアノを、中高でチェロを弾いてきて、今もじつは自室の片隅に青いチェロケースが置かれているというそれはそれは根っからの文化部なのだ。大学に入ってからチェロを弾く機会はずいぶん減ってしまったけれど、今でも1年に1回は古巣の広島に戻って演奏に参加している(最底辺の)アマチュア。それでも良い生演奏を聴くと今でも血が騒ぐし、チェロで参加したくなる。

幼稚園の頃から、だれかが演奏しているのを生で聴く時間がだいすきだった。それはもう、絵本を読み聞かせてもらっている時間と同じような濃さと集中力で。

生演奏って、なんであんなに心を奪われるのでしょうね。とくに、自分が知っている曲を目の前で演奏してもらった時の新鮮さ、うわ〜✨🥺となる心のきらめきが本当にすきで。
「いつか自分もこんな感動を届けられる人になりたい……!」と常に思っていた。今でも生演奏に対する耳の感度は高く、ストリートで演奏しているグループ(ギター以外)の音がかすかに聴こえてきた瞬間、思わず足を止めてしまう。

あたりまえだけど、何かを生み出す「クリエイター」でも文章を書くことと楽器を演奏することは全然ちがう。文章を書くのは基本的にひとりで、意外と型がきまっているものだ。でも音楽の場合は多くの場合、他の演奏者と一緒にステージにあがる共同作業のものであり、音程以外はすべて「あいまい」でゆるされる。演奏は極めて「なまもの」だと思う。

他の演奏者とステージに上がっている時、当然ながらみんなの口は塞がっている。その場で許されているコミュニケーションは音だけだ。
「音で会話するってどゆことやねん!」と思われるかもしれないが、これが意外とできるものなのだ。言葉を酷使している身からすれば、この一見矛盾しているかもしれない「言葉をつかわず会話をする」という体験自体が最高に新鮮で、たのしい。自分のためにも、ロジカルな世界から逃げるためにも、定期的に設けたくなる。

ふだん人間の会話は理性的・論理的であることを求められている。ビジネスだと特にそうですよね。結論ファーストとか、順序立てて説明するとか、根拠をかならず言わないといけないとか。しかし音楽の場ではそんなルール通用しません。

音を奏でるその空間だけは、どんな人間も感覚で対話が「できてしまう」のだ。

おもしろいでしょう、本来ならば感覚だけで対話をすることなどできない、ゆるされていないはずなのに。でも音にすれば言わずともわかるし、根拠や順番などそんな堅苦しいものいらない。なくとも伝わる。それがなくとも伝わるような普遍的なルールを、昔の偉大な作曲家はすでに発明してくれているし。

そう思うと、何かを「表現」しようとするとき、よりのびやかなのは言葉ではなく音楽なのかもしれない。
チェロをひいているとき、形にすらならない思い出や感情や誰かへの思いはすべて素直に音に昇華されていく感覚がある。私がチェロを弾くきっかけにもなった先輩は、チェロのことを「相棒」と呼んでいた。私の相棒はここ、noteなんだけれど、おそらくそういう自分を何も拒まない存在が先輩にとってはチェロだったのだろう。

演奏というのもまた面白い「なまもの」だ。

その場の空気がぐわーっとひとつの頂点へと登っていく瞬間や、指揮者が出す雰囲気や感情にその場にいるすべての演奏者たちが反応して音が変わっていく瞬間。それはまさに言葉にできない感覚でなんとも言えない一体感につつまれる。あれを一度でも経験するともうやめられないと思う。もはや中毒のように、とりこになってしまう。

だから言葉は不十分だ、という音楽家の言い分もよくわかる。言葉は音楽に勝てない瞬間が明確にあるし、人間は音でコミュニケーションをとることもできるから。

やーん!!!深夜テンションでこんなことを書いていたら、演奏したい気持ちがむくむくと起き上がってきた!!!

よし決めた、この週末はチェロを弾く。8月末には広島に帰ってとあるコンサートに参加する予定だ。曲目は大好きなマーラーの第5番。交響曲の中で唯一全部好きなヤツ。1楽章から5楽章まで、そんなに緩急つける??!というくらいに全部違う。だから全部好き。そろそろ練習しないとまずい。

ベルリンフィル×カラヤンの大好きな組み合わせ。このCD持ってます



ちなみに今朝見て感動したのはこちらの動画。サザンの真夏の真実。
この動画に流れている清らかな気よ。ひさしぶりに「清らか」っていう言葉を使ったわ。


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差詰レオニー
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