株式投資入門:キャッシュ・フロー計算書の読み方
株式投資を始めるにあたり、企業の真の健全性を把握することは非常に重要です。そのための鍵となるのが、理解しがちながらも極めて重要な財務文書、「キャッシュ・フロー計算書」の読み解き方について解説します。
キャッシュ・フローって何?
キャッシュ・フローとは、端的に「お金の流れ」を指します。キャッシュ・フロー計算書は、企業の一定期間(例えば1年間)にわたるお金の出入りを記録したレポートです。この文書を読むことで、実際に企業がどれだけの現金を得て、またどれだけを使ったのかが明らかになります。
重要ポイント:営業活動によるキャッシュ・フロー
特に注目すべきは、「営業活動によるキャッシュ・フロー(営業CF)」と、損益計算書(PL)の「営業利益」との関係です。なぜなら、会計上の利益(PL上の利益)と実際に企業の手元に入ってくる現金(キャッシュ・フロー)にはしばしば差異が生じるからです。「PLは意見、キャッシュは事実」という言葉が示す通り、キャッシュ・フローは企業の実際の金銭の動きを、PLは会計上の見解を示します。
実例を通して理解する
売上が期末に発生し、その代金が翌期に入ってくるような場合、PL上では利益が計上されても、その時点で実際のキャッシュは増えていません。このような場合、営業利益が良好であっても、営業CFがマイナスとなっている状況は、企業の健全性に疑問符を投げかけるものです。
投資判断に生かす
投資家としては、PLの営業利益だけを見て投資判断を下すのではなく、営業CFとの差異に注目し、その理由を探ることが重要です。営業利益と営業CFの大きな差異は、潜在的な問題を示唆している場合があります。実際に、過去には表面上は好調な企業が、キャッシュ・フローの分析を通じて危機的状況にあることが明らかにされた例もあります。
まとめ
財務報告書を読み解くことは難しく感じるかもしれませんが、キャッシュ・フロー計算書に注目することで、企業の実態をより深く理解し、より確かな投資判断を行うことが可能になります。投資初心者の方も、このポイントを押さえることで、株式投資の世界を一歩先に進むことができるでしょう。