為替市場の激しい変動とその背景を解説
今週も先週に引き続き、為替市場で大きな動きがありました。特に、日本円と米ドルの相場に注目し、何がこの変動を引き起こしたのかをわかりやすく解説します。9/30~10/4
1. 中東の緊張が「円高」を引き起こす
10月1日、中東でイランがイスラエルに向けてミサイルを発射したというニュースがありました。この状況を受けて、中東情勢が緊張し、安全資産とされる日本円が買われる動きになりました。このような状況を「リスク回避」と呼び、世界の投資家がリスクの少ない資産に資金を移す傾向があります。結果的に、ドルが売られて円が買われ、「ドル安円高」が進み、一時的にドル円相場は142円台に下がりました。
2. 日本の新首相と日銀総裁の発言が流れを変える
翌日の10月2日、新首相の石破茂氏と日本銀行の植田総裁が会談しました。その後の記者会見で、石破首相は「追加の利上げをする状況にはない」と述べ、市場に対して金利引き上げに慎重であることを示しました。また、経済再生担当大臣や財務大臣も利上げに前向きではないとの発言を行い、金利引き上げがしばらく行われないという見方が強まりました。
この発言により、「日本の金利が上がる可能性が低い」と判断され、結果的にドルが再び買われ、円が売られる「ドル高円安」の方向へと流れが変わりました。
3. 米国の利下げペースについての発言
一方で、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、「年内に2回の利下げが妥当」と発言しました。当初、市場では3回の利下げが予想されていたため、この発言により「利下げの期待が後退」しました。つまり、アメリカの金利が下がるペースが遅くなるとの見通しから、ドルが買われる流れが強まったのです。
4. 為替相場の変動と今後の見通し
こうした状況により、ドル円相場は10月3日に147円台に達し、週の中で「ドル安円高」から「ドル高円安」へと急激に動きました。また、一部では「新首相が株価を支えるために、ドル高円安を意図的に促したのではないか」という見方もあります。
今後、10月27日の衆議院議員選挙を控えているため、選挙前の政策発言によってドル円相場が変動する可能性があります。為替市場の動きは、政治や国際情勢、金融政策などさまざまな要因で変わることがあるため、注意が必要です。
為替市場の変動から学べること
今回の為替市場の動きは、中東情勢や日本とアメリカの金融政策の変化が影響を与えています。初心者の方は、「円が買われると円高、ドルが買われるとドル高」という基本的な関係を押さえておくと、こうした変動の理解がしやすくなります。変動する背景には様々な要因があるため、ニュースでどのような出来事が起きているのかにも目を向けると良いでしょう。