【指揮者メモ】ヘルベルト・ケーゲル
【ヘルベルト・ケーゲル】
この東ドイツの指揮者はN響などに客演していたので日本で比較的知名度があった。アメリカではあまり知られていない。オケだけでなく合唱指揮者としても凄まじい実力だった。
彼を知ったのはバッハ管弦楽組曲の有名なアリアの録音を聞いたときで、超越的な佇まいの音楽に衝撃だった。また、音程は耳が洗われるようだし、弦の旋律は音色が恐ろしいほど悲しく、統一されていた。
私の推測では、ハイポジションで極力同じ弦を使いながら、ビブラートまで合わせる努力をし、たまにスルタストを織り交ぜて、、といった処理をしているが、これは当時のドレスデン・フィルにおけるいぶし銀のような音色をもつ弦セクションといえども、しっかり自分のやりたい音楽をもっている凄腕指揮者がガチガチに締め上げないと出せないと思う。
社会主義崩壊と共に自殺したケーゲル。交響曲でも普通盛り上げるところで意図的に地味な音でやっていたりと、統合失調症だったことは音楽からも分かる。
どの録音も今では滅多にみられない種類のクオリティなので、ぜひ聴いてみて欲しい。
©伊藤玲阿奈 2024
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