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【NYレポート】ムスリム経営のコンビニでポッキーを毎日買った結果・・・

皆さん、こんにちは! 在米24年目、ニューヨーク在住の音楽家・文筆家、伊藤玲阿奈(れおな)です。

私は、NYの中心地・マンハッタンにあるハーレムという地区に住んでいます。長いあいだ黒人文化が栄えた地域として有名です。

ちなみに、ジャズの名曲『A列車で行こう(Take the A Train)』は、「(タイムズスクエアのような観光名所から)本場のジャズを聴くためにハーレムに行きたいなら、"A Line(A線)"と呼ばれる急行列車ならヒトッ飛びで着くぜ!オーイェーイ!」って曲です。実際、A Trainならタイムズスクエアから、たった2駅でハーレムに到着(普通なら10~12駅ほど)!

ですから黒人人口が多いのですが、それに負けず劣らずヒスパニック(南米)系がいてハーレム地区の2大人種となっています。次いで少数派の白人でしょうか。私のようなアジア人はほとんどいません。

ただ、通り沿いにあるお店を経営している人たちは見事に多人種。「人種のるつぼ」と呼ばれるNYを象徴しています。たとえば、私が毎日のように利用する、日本でいうコンビニ(こちらでは「デリ(Deli)」と呼びます)が3軒あるのですが、オーナーは3軒ともムスリム(イスラム教徒)です。

今回は、そのうちの1軒が、グリコのポッキーを仕入れはじめた昨年のお話。

それは定番のチョコレート味(上のサムネイル画像)でした。棚の一角にひっそりと置いてあるのを見つけた時はビックリ! 日本のお菓子につい嬉しくなって、それから毎日かって食べていました。

「おいおい、おやつくらい他にもあるだろう」と思われるかもしれませんね。

ですが、そうもいかないのです。アメリカ製のお菓子は甘すぎて美味しくないですし、かといって、日本の製品を買うには地下鉄に乗って専門店に行かなくてはなりません。コロナ禍で感染率や治安が大幅に悪化したNYにおいて、どうしても必要なケース以外で電車に乗るのは、ちょっと勇気がいるんです。

もともと粘着質で、毎日おなじものを食べても飽きない私(笑)。冗談ぬきに、毎日のようにそのコンビニで買っていました。中東はイエメンからの移民である店主も、私が来たら「オー、ポッキー」とニヤニヤする始末です(笑)。

さて、それから1ヶ月ほど経ったときだったでしょうか。私が店に入るや、店主のお爺さんは「お前のためにサプライズを用意したぞ」と声をかけてきました。

「え? サプライズ?」 キョトンとする私。

「ほれ、見てみろ」

言われるがまま、いつもの商品棚に目をやった瞬間、たっ、たしかにサプラァァーイズ!! 棚がこんなこと👇になっていたからです。

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あのポッキーが一国一城の主どころか、大大名になっているではないですか!(上は、その時に思わず撮影した写真です)

なんと嬉しい店主からのドッキリ・プレゼント! 私のほか、買う人はあまりいなかったはずなのに・・・。

ディス・イズ・フォール・ユー(これはお前のためだ)」

写真をとる私に、R音が強い巻き舌になるアラブなまりの英語で伝えてくれる店主。そのときの「どうだ、驚いたか!」という表情が忘れられません。これがアラブ的な陽気さ、親愛の情なのでしょうか。

なにはともあれ、この愉快なポッキー事件は、コロナのロックダウンでカラッからに乾いていた私の生活に、一瞬のうるおい(と甘いひととき)を与えてくれたのでした。

もしかして、こんなことに驚いて、嬉しがるのって私だけ!? 皆さんなら、どうでしょうか?

(関連記事「NY、ムスリム経営のコンビニとニャンコ」もどうぞ!)

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今日の店主 「かっこよく撮ってくれ」

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プロフィール:伊藤玲阿奈 Reona Ito
指揮者・文筆家。ジョージ・ワシントン大学国際関係学部を卒業後、指揮者になることを決意。ジュリアード音楽院・マネス音楽院の夜間課程にて学び、アーロン・コープランド音楽院(オーケストラ指揮科)修士課程卒業。ニューヨークを拠点に、カーネギーホールや国連協会後援による国際平和コンサートなど各地で活動。2014年「アメリカ賞」(プロオーケストラ指揮部門)受賞。武蔵野学院大学スペシャル・アカデミック・フェロー。2020年11月、光文社新書より初の著作『「宇宙の音楽」を聴く』を上梓。タトル・モリエイジェンシーのnoteで『ニューヨークの書斎から』を連載中。

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