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セイばあちゃんの保存食

 明日は新しい住人たちがやってくるわ。セイばあちゃんは、新しい住人たちにご飯を作るのだと、へそ大根や青豆を水にうるかし、おこわ用のもち米も研いでいる。一体、何人分のご飯を作る気なのかしら。料理上手なセイばあちゃんは食べてくれる人がいると張り切って作っちゃう。ハナも越冬させた大根や白菜などを洗いお手伝いしている。雪の下に宿っていた大根は刻まれ、3月にしては暑い日差しの下に干されている。お日様の力で干せばお金はかからないからと、青菜だろうが山菜だろうが、とにかく干して海苔缶などに保存している。秋には大量の野菜を塩漬けし、少しずつ塩抜きして使ったり、山菜やトマト・果物はジャムにして瓶詰とセイばあちゃんの小屋は保存食の見本市のよう。川で獲れた鮭の新切りは、集落皆で作る冬の風物詩らしい。だけど、私は寒くて独特の漬物臭のする小屋は入りたくないけど。
 昔の猫のご飯は、人様の残り物のご飯に味噌汁をかけた物だった。塩分やネギ類が猫にとって良くないのだということが分からなかった時代。猫の寿命はよくて8年。人間だって人生50年と言われていた。セイばあちゃんは自分の食料は昔ながらの方法で保存したものを食べている。が、私の餌にはお金をかけてくれている。有難いけど、ちょっと複雑な気分。セイばあちゃんは昔からの知恵を活かし、自分の生活を維持しているのに私たち猫だけ甘えていいのかしら。コホン、話が横道にそれてしまったわ。しっかりして私。せっかく大事にされているのだから、もう少しセイばあちゃんと一緒に暮らしたいわ。
 そうそう、保存食の話をしていたんだわ。明日、セイばあちゃんは納豆汁を作ろうとしているの。納豆は藁に蒸し大豆を入れ作った自家製。中に入れる具材の芋がらや茸もセイばあちゃんの保存食。味噌はもちろん、セイばあちゃんが育て、やっくんに作って貰ってる米の麹と自分の畑で作った大豆で作っている自家製味噌。本当に、セイばあちゃんは色々な物を作っているわね。なのになぜ、猫フードだけは買ってるのかしら?こんど聞いて見ようかしら。

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