【必見】レンタル事業の固定資産計上
現代では、ものを所有せず、「買う」から「所有しない」への転換が進んでいると言われています。「所有しないサービス」の代表となるものがレンタルビジネスです。
レンタル事業を始めたい場合、その際の課題の1つとなるのが会計処理です。
一般的な会計の教科書には、レンタル事業を対象とした会計処理の仕方は記載されていません。レンタル事業では、どのような処理が必要になるのでしょうか。
ポイントとなるのは、レンタル製品の固定資産計上と原価です。
本コラムでは、どんなものでも買わずにためせる家電のサブスク・レンタルサービス「レンティオ」の会計処理担当者が、実例に挙げながら、教科書には記載されていない、レンタル事業の会計処理について解説していきます。
レンタルビジネスの在庫と会計処理
レンタルは、ビジネスとしてはニッチな分野であるため、創業以来手探りで進めてきたものも多くあり、会計処理もその一つとなります。
ビジネスには会計処理が伴いますが、レンタル事業を行うにあたっては特有の問題が生じます。
一般的なものの販売では、商材を仕入れたら棚卸資産として計上、販売された場合売上原価となります。
それに対してレンタル事業は、ものの所有権をお客様に移転させずに、売上と売上原価を計上する必要があります。
会計処理では、次の2点がポイントです。
①所有権が移転しない以上、レンタル品は資産計上しておく必要がある
②売上に対する原価を計上する必要がある
上記の問題に対し、レンティオでは以下のように処理しています。
①レンタル品は固定資産に計上(棚卸資産ではない)
②固定資産の減価償却費を売上原価として計上
レンティオでは、レンタル品を棚卸資産ではなく固定資産として計上し、減価償却費を売上に対する売上原価としています。
これは通常の会計処理の観点からはなかなかイメージできないことではないでしょうか。
次項からは、レンタル品の固定資産計上時の会計処理の考え方をまとめていきます。
レンタル在庫の固定資産処理の論点
ビジネスモデルの検討
会計処理の仕方を決める際には、商材とレンタルプランが重要になります。
それによって会計処理が変わる可能性があるためです。
商材
何をレンタル製品とするか
製品は何年使用するか
市場価値がどれくらいの期間で下がるか
レンタルプラン
月額制のレンタル
短期間のレンタル
所有権の移転があるかができるようにするか
途中解約ができるようにするか
上記をもとに、レンタル製品を費用処理するか、資産計上するか、資産計上するとしたら固定資産なのか棚卸資産なのかを決めていきます。
あらかじめレンタルのモデルを分析しておくことで、後述する耐用年数検討、税務処理の検討もしやすくなります。
レンティオの場合、メイン商材は家電とし、短期間のレンタル(ワンタイムプランと言います)と月額制のレンタル(月額制プランと言います)を数年に渡りレンタル展開しています。
所有権移転をする場合はほとんどの場合、仕入から1年以上を経過しての所有権移転となります。
上記をもとに、各レンタル品を固定資産計上し減価償却費を原価として計上する処理としています。
耐用年数の決定
レンタル製品を資産計上するとした場合、耐用年数をどう見積もるかも問題になります。
どのくらいの年数をレンタル品として使用するのか
その年数とする理由は何か。市場価値として耐えられるのか(経済的耐用年数)
レンタル製品が物理的にもつのか(物理的耐用年数)
レンタル製品ごとにグループ分けして耐用年数を設定するか、どうグループ分けするか
これらを検討し、耐用年数を決めていきます。
耐用年数によってレンタル事業の利益率が根本的に変わるので、この決定は慎重に、かつビジネスに対する意思をもって行う必要があります。
レンティオの場合、家電をカメラやキッチン家電、生活家電などにジャンル分けし、ジャンルごとに3年~4年で耐用年数を設定しています。
耐用年数はジャンルごとの過去の使用実績から設定しています。
ただ、ビジネスモデルによって当然耐用年数は変わるため、前提としてのビジネスモデルの検討が重要になります。
会計と税務のズレ
レンタル製品を固定資産として扱う場合、会計上の耐用年数と税務上の耐用年数とのズレの問題も発生します。
ただし、取得価額が20万円未満のものについては税務上一括償却資産として扱うことも可能です。
レンティオでも20万円未満のレンタル製品は会計上は固定資産計上し、耐用年数3~4年で償却、税務上は一括償却資産として償却しています。
一方、20万円以上のものは会計上は同じく固定資産計上し、耐用年数3~4年、税務上は、固定資産計上し、レンタル製品ごとの法定耐用年数に基づいて償却しています。
商材の特性、想定使用年数も考慮し、会社にとって有利な処理方法を選択できることが望ましいです。
その他の影響
レンタルの仕方によっては、レンタル製品をお客様に所有権移転する可能性もあります。
所有権移転をサービスの一環として使うことはレンタルビジネスの魅力の一つとできますが、所有権移転時の原価計上も検討しておく必要があります。
レンティオでも所有権移転ありのレンタルを行っていますが、所有権移転時は、所有権移転したレンタル製品の残存簿価すべてを売上原価として計上しています。
その他にも、棚卸への影響、固定資産処理の社内フローへの影響、なども検討する必要があります。
レンティオでも棚卸は年2回行っています。また、固定資産システム内ではレンタル製品だけでなく、通常の固定資産(備品など)の処理も合わせて行っています。
レンティオでできるサポート
委託契約・Rentify
現在レンティオでは、メーカー様からお預かりした製品を、レンティオでレンタルできる製品の1つとして掲載する委託契約の他、メーカー様のドメインでレンタル事業の立ち上げができる「Rentify(レンティファイ)」を提供しております。
レンタルサービスを行うにあたり、今回のコラムの中心となった固定資産処理の他にも、会計処理の問題は多くあると思います。
売上の計上タイミング
棚卸はどうするか
開示資料への影響
etc
レンティオでは創業以来、レンタル事業に伴う会計処理のノウハウも蓄積してきました。
レンタルビジネスに興味があるが、会計処理には疑問がある。そのような場合でも、どうかお気軽にお問い合わせください。
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