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認知症の利用者のせん妄の状況に関するメモ 2019/05/07

#認知症`#介護技術# #ユマニチュード#

不穏、せん妄の原因を見立てる。改善可能なことはなにか

認知症の改善可能な状態としての「せん妄」のトリガー要因を踏まえて、アセスメントすることが大事!

* 水分補給→
* 排便コントロール→
* 栄養状態→ビタミンB2B12
* 睡眠状態→導眠剤はやめの服用(20時)により、6時間ぐらいの薬効で2時、3時にめざめる。起きる時間を固定することが大事(認知症見立て塾)とすれば、服薬の時間をずらすこともかんがえられる。
* 骨折のコルセットによる拘束→
* 骨折による痛み→ロキソニンは中止
* 場所にたいする見当識障害 の精神症状への変化→
* 人にたいする見当識障害が「強く握ってはなさない」「45度の角度からきた人を振り払う」暴力的行為につながってないか→
* 多剤投与がせん妄の原因となっていないか→
* 急性な憎悪であるか、ゆるやかな変化であるか→
* 入院という環境の変化が引き金となっていないか→
* 職員の対応が引き金となっていないか→
* 記憶障害、見当識障害、認知障害の全体的レベルを見立てる

職員の対応について
* 基本原則 「ダメ」「危ない」など抑制の用語はつかわない
* 声かけは静かな声で。興奮をひきだすような声かけはおこわない
* 対応は全体の流れ、変化をわかるようにする。
* 不穏になったときは、大人数で関わらない
* 2人対応の場合、「対話」と「黒子」の区別をすることも有効
* 2人同時はさける。
* 45度の角度からの2人対応は避ける→正面から対面する
* 「拒否」がある場合は、その場は無理強いせず諦める。時間をおいて再度アプローチ。

状況の把握
* 週の変化、1日の変化、時間の変化をよく見る
* 4月1日入院圧迫骨折、4日退院、10日せん妄
* トレンドとして、変動の中で上向きか下向きかをよくみる
* 職員のモチベーション維持のために、「よくなっている」というところを見つける

数値的データーの把握
* 睡眠量の把握/日
* 水分摂取量の確保/日
* 排便量の把握/日

投薬内容の確認 効果の検証
11錠 4月11日現在

* ベルソムラ 睡眠剤
* コントミン 12・5 抗精神薬
* セニラン 1mm 抗不安薬 デパス
* ラキソベロン 便秘
* グルコサン カリウム補給
* ロキソニン 鎮痛剤
* エディロール 0・75 カルシウム吸収 骨粗鬆
* カルブロック 8mg 血圧 カルシウム拮抗剤 血管拡張
* プレタール 50mg 抗血小板薬 血栓形成予防
* ラシックス 利尿剤 高血圧浮腫
* チアプリド  ドパミン抑制 興奮、攻撃性の改善→血圧注意


<支援経過記録>
4月1日
骨折入院 近くの総合病院
**さん、昨晩転倒し骨折、入院されました。
4月4日
退院
4月7日
**さんが転倒。
立ってる状態から転んだのかずり落ちたのかベッド前で座り込む。
**病院に電話して、朝の様子でと言う指示。
4月10日
せん妄が始まる。
4月11日
精神科の先生が往診
もう、せん妄が30時間くらい続く。
4月13日
**さん、排便なく、腰の痛み強い。
スタッフ呼び続ける時間もありますが途中でややうとうとも。
ひどいと思った日よりも前の表情が戻ってきた。
4月14日
22時 泊まりのスタッフから電話で、**さんが興奮状態なので頓服の薬を飲ませたいと。5時間あけての指示で5時間あいているが、判断がむずかしい。
4月16日
10時から中不穏。なんとか暴れない範囲で収める。声は大きくなってない。
10時に薬を勧めた時、一時的に2人の対応になってしまったことから軽く不穏、いまは尿意か便意。
4月20日
3時から5時間寝てたあと、「あさ、私は何もしきらんごとなってしまった。手をとってしまって。ごめんね」
「**(長男)が来たもんね」
一昨日夕方の出来事。
何日か前ぐっすり眠られた朝も、
「私の体は何でこげんなったやろうか」
骨折したと説明すると「治る?」と質問が返ってくるっていう、骨折以前にもなかったくらいの普通の会話。
4月20日
変更 精神科分
朝コントミン 0,5錠(きいろ)割ってある
夕マメリー20mg(しろ) 1錠
コントミン1錠(きいろ)
眠前 20時 ベルソムラ
   21時 ゾピクロン 眠剤
セニラン(1回2錠)はドクターに相談した上でえ使用に変更

かかりつけ薬剤師の必要性
4月21日
入眠(21:00)。夕食後とても落ち着きない。

4月26日
昨夜は2時を過ぎて覚醒。今までにないくらいの興奮状態。
今日、精神科医に薬のことを相談。眠剤のゾピクロンと日中のコントミンが増量。朝のコントミンは本人の状態見た上で飲んだりぬいたりしてくれとのこと。メマリーの副作用のことききました。この増量を3~4日やって、様子が変わらなければメマリーを一週間抜いてみようということになりました。先生の患者さんで1人だけ、メマリー中止でスーッと落ち着いた人が確かにいると話されました。ロキソニンは現場の話し合いで、一日中抜くことにしました。痛みは湿布対応します。
本当に難しくなってきました。落ち着きやすくはなられたものの、どの対応がちゃんと功を奏しているのか、同じことをしてもいい時と悪い時があります。まだこれから、収集すべき情報があります。
4月28日
**病院受診。
5月1日 服薬指示
朝 コントミン 0.5
夕 コントミン ベルソムラ
19:30  ゾピクロン 10mg
ロキソニン中止
5月1日よりメマリー中止

5月2日
再び水分とお通じの問題。体重の減少も。
今朝起きた時、**さん「先生、もう私は死にたい。死んでもいいよ。」って言って、スタッフが「どうして?」と聞いたら「みんな疲れたでしょう」って言ってた。
5月6日
朝、コントミン半錠飲み、午後からの深い睡眠
左半身の脱力、左半側無視があり、搬送・検査。夕食後薬・眠剤は事業所判断で中止。
5月7日
夕方、精神科医の判断で処方の薬は抑肝散以外全部中止。

<結語>
・自分史の中から、「大切な思い出」、「大切な場所」、「大切な人」、「大切だった仕事」を見つけ、キーワードとする。
・せん妄はほぼ完全な減薬をすることでおさまった。
・圧迫骨折の痛みとコルセットの拘束感が引き金のようにおもわれた。
・長く続いたせん妄は体力消耗が激しく、経口での食事摂取ができなくなっていた。刻み、好みなどあらゆる工夫をしても食べられなくなっていた。
・ある日、息子さんが病院受診の待合室に来られ、紙でつつんだ揚げ物を出された。「ほれ、お袋、コロッケ」と手渡されるとバクバクと食べられた。
・あっけにとられる職員を前に、息子さんが「おふくろは大世帯で仕事をするので、いそがしく、よく近所の市場からこれを買ってみんなに食べさせた。これが家族の味よね」と言われた。
・大切な思い出、大切な場所、大切な人、大切な仕事、そんな当たり前のことが、生きるエネルギーなのだと学んだ。

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