自動車業界人からみた宇宙ビジネス。PlayStationを添えてー
皆さんは、「SONY」と聞くと何を思い浮かべるだろうか。
SONYはウォークマンやPlayStationといった製品を生み出した日本を代表する企業であるが、近年では「VISION-S」の研究開発やHONDAとの戦略的提携など、モビリティ業界へのアプローチが盛んだ。
現在の自動車業界は、脱炭素化(カーボンニュートラル)や環境課題への意識の高まりによるニーズの変化、半導体不足に起因する生産調整など、激動の時代を迎えている。
特に「CASE」という考え方が急速に広まり、その対応が活発化している。
CASEとは、
・Connected・・・・・コネクテッド(インターネットへの常時接続)
・Autonomous・・・・自動運転
・Shared & Services・・シェアリングとサービス-カーシェアリング
・Electric・・・・・・・電動化
を指す英語の頭文字からとられており、自動車の次なるカタチを指している。
さて、この「CASE」において「情報通信」が非常に重要だということにお気づきだろうか。
簡単に説明すると、個々のモビリティの状況を遠隔地でも正確に把握し、効率良く利用するために常にインターネット上で情報のやり取りを行うのである。
さて、それらの情報を私たちが見たり活用したりするときには、スマートフォンを利用するだろう。
このスマートフォンで聞きなじみのある5Gは無線通信システムを指しているが、次世代の方式として期待されているのが6Gだ。6Gとは、第6世代移動通信システム(6th Generation Mobile Communication System)の事を指し、その特徴を「超高速・大容量」「衛星を介した海、空、宇宙での通信」としている。
つまり、手元のデバイスが直接人工衛星と情報通信をするということだ。
ここで使用される人工衛星は「衛星コンステレーション」を構築しているが、この人工衛星同士の通信を光によって行おうと取り組んでいるのがSONYなのだ。
衛星コンステレーションとは、多数の人工衛星を軌道に投入して協調した動作を行わせ、システムとしての目的を果たすというものであり、GPSやインターネットアクセスなどで使用されるシステムである。
コンステレーションという言葉は星座を意味し、人工衛星の配置の様子をさながら星座に例えてそう呼ばれる。
2020年4月23日のJAXAのプレスリリースによると、
とある。
JAXAとSONYは、2016年より、JAXA宇宙探査イノベーションハブの研究提案の枠組みを利用して、将来の衛星間や地上との大容量リアルタイムデータ通信の実現を目指し、共同研究を行ってきた。光通信部にはSONYが長年培ってきた光ディスク技術が使用されている。
光には電波と比べて高速大容量の通信を可能とする特長があるため、今後の宇宙空間における地球周回軌道を始めとした衛星間や地上との超高速(低遅延)データ通信や、大容量リアルタイムデータ通信の実現や汎用化などが期待される。
PlayStationの技術が宇宙空間で活かされていると想像すると、なんだか感慨深い。
ゲーム業界ではeスポーツなどが盛り上がりをみせているが、そこで問題となる「レイテンシ」と呼ばれる通信の「遅延」の解消も期待される。
まさに、車もゲームも宇宙なしには語れない時代になった。
SONYは近々「STAR SPHERE」というサービスもローンチする計画だ。
これは、2022年の打ち上げを目指す人工衛星を利用して「宇宙写真や動画」を撮れるというものだが、一番の特徴は、その人工衛星をユーザー自身が操作できるという世界初のサービスである点だ。
としている。
「STAR SPHERE」公式サイト
かつてウォークマンを開発し、「音楽を持ち歩く」というイノベーションを生み出したSONYの次なる活躍に注目だ。
※この記事では「ソニーグループ」を指して「SONY」としています。
また、いかなる企業や団体の活動や実績を保証するものではありません。
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