今日の出勤
目が覚めた瞬間、6時台だと思った。
まだ薄ぼんやりとした空を見上げながらスマホに手を伸ばす。
電源は付かない。そういえば寝るまでスピアー一匹でソウルシルバークリアの動画を見てたっけ。
そんなことを考えながら、近くの机においた腕時計に手を伸ばす。見たら始業15分前だった。
その瞬間、時間が加速する音を聞いた。反射的に立ち上がり目の前にかけてある制服を手に取る。淀むことのないスムーズな動きで身に付け、その上から 上着を羽織る。 他には何を考えずにカバンを手に取り 家を出た。この間約2分間。
それから俺は階段を駆け下り自転車で飛び乗った。いつものルートを無我夢中でかける。
いつもすれ違う車と、いつもの場所よりもずっと手前ですれ違う。それをまだ完全に開かない目で追いつつ、とにかく漕ぐ。
それから全く休むことなく10分少々、信号機を一切通らないルートを選択したおかげもあるが、なんとか会社の門をくぐる事に成功した。駐輪場へ向かう途中、朝のラジオ体操をする集団を横切る。熱烈な視線を感じながら自転車を止め、そこそこ長い階段を2段飛ばしで降りた。途中で一度、着地の際に力が抜け体勢を崩すもすぐに持ち直しまたダッシュ。
ついに建屋に入り、ピッてするやつに社員証を叩きつける。始業2分前だった。
ここまでが今朝の出来事である。
スマホが切れてアラームがなかったにも関わらず、奇跡的に起きられたことについては、さすがに神に感謝する他ないが、油断していると普通に裏切ってくるので信心はない。
そして約3.5kmの道のりをこの時間で駆け抜けた自分の実力にも感謝したい。リングフィットのおかげである。あれ、前にもリングフィットに感謝してた気がする。
運と実力の双方が噛み合った結果起きた、素晴らしくドラマチックな出勤の話でした。