棚経中に…。
栃木でのお経回りが今日、無事に終わりました。
今年は雨や曇りの棚経となりましたが、最終日には雨に降られることなく、回らせて頂くことが出来ました。
お手伝いのお坊さんは私を含めて2人。
近くに宿を取って頂き、朝8時半にはお寺に着くように移動するのですが、
お寺に着いて、その日に回るお宅の住所一覧を頂き、9時頃から回りはじめます。
その中でも今日は、一軒ちょっと難しいというか、訳あり、というか…、
以前そのお宅に伺ったお坊さんが、言い合いのようになって、遺恨を残すような出来事があったところのようで、
そのお宅に初めて自分がお邪魔することになりました。
具体的に何があった、ということでもないようですが、『ちょっと変わっている』と言われてしまうような言動を取る方らしく、
そこまで言われると、
『どんなこと言われるんだろう?』と思って、
そのお宅に行くのが楽しみになってきました。
順番に回りはじめ、2軒目では時間的に余裕もあることから、お経を上げた後、結構話し込んで楽しい時間を過ごしました。
また一軒、次の一軒…と順調に回り進み、いよいよ最後に残った、松谷さん(仮名)のお宅の番となりました。
チャイムを鳴らし、声をかけると、
普通に松谷さんの奥さんが出てこられ、仏壇まで通して下さいました。
ここまではいつもと同じでしたが、いざ、お勤めを始めようと準備をし始めだすと、
「毎回、違うんだ」(多分、お経をあげに来るお坊さんのことだと思う)など、小さな声で独り言を話すようになり始めました。
順番にお経を唱える前に唱える言葉などを唱えながら、後ろに座るその方の様子を見ると、まだ何かブツブツと話していて、こちらがお経をあげ始めだすと、右の耳辺りに手を持ってきて、聞きたくなさそうに下を見て俯いている姿が目に入ってきて、
その方に入り込んでしまい、留まっている存在を感じたので、
お経をあげながら、その方に纏わっている存在に対して、心が穏やかになって、恨みや嫉みなどの気持ちを手放して、光の世界へと進んで行くことを祈りながら、お勤めをさせて頂きました。
例年に比べて、気温はそれほど高くないのですが、気合を入れて声に力を込めてお唱えしたので、終わった後は汗ビッショリでしたが、
お経が終わった後のその方の様子は、とても自然で、こちらに対しても特に何か言われることもなく、あっけないほど本当に何事もなく終わりました。
お昼にお寺に戻り、昼食休憩の時に松谷さん(仮名)の話になり、全く何もなかった事を皆さんに伝えると、皆一様に、拍子抜けしてました。
でも、今回のことで、心を込めて相手の幸せを願い、祈ることの大切さを知ることが出来ました。
自分に仇を成すから悪いもの、と決めつけることなく、
そうなってしまった理由を、出来れば明らかにして、反省をし、お詫びの気持ちを相手に伝えることは、実に大切なことだと、体験することが出来て良かったです。
これからの自分のご供養への気持ちも、変わっていくことになると思いました。