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ほぼ一点で待ちが読めるトイトイの読み

今回はトイトイの鳴き読みについて取り上げます。
役も待ちも手牌構成も、全て丸裸に近いレベルまで相手の手を読むことが出来ます。
ここまで詳細に読めることはめったにないですが、どんな読みになっているか、ちょっと見ていきましょう。

今回は某天鳳九段の方の牌譜をお借りしています。
いつものように読みの練習をするために天鳳鳳凰卓の牌譜を漁っていたからたまたま取り上げただけであって、打ち手の詳細については触れません。

南2局6巡目南家が7sポン

南家の仕掛けを見ていきましょう。
まずドラの7sをポンしてきました。

南2局6巡目南家のポン出し4s

その後のポン出しは4sです。
その前に5sも切っていることから45sの両面ターツを嫌っていることが分かります。
この点は1つ目の重要なチェックポイントになります。

両面ターツを嫌うときっていうのは主に2つ理由があって、1つ目は手牌が両面ターツで埋まっていて、良形ターツが足りているから要らなくなった場合と、もう1つは変則手を狙っている場合です。
これは面前の場合でも同じことが言えますが、今回は副露手なので、狙いは限られてくると思います。
例えば面前の場合だと、チートイツとか三色とかイッツーとかチャンタとかいろいろと他の手役を狙ってる可能性が考えられるのですが、今回は副露手なのが分かってますから、変則手ならトイトイくらいしか考えられません。
索子のホンイツだとすると索子のターツを嫌っているので、同じ色でターツを揃えるには明らかに牌の数が足りてなさそうですし、チャンタの場合だったら7の牌は暗刻では使えないのでそれもないです。

もう1つの可能性である良形ターツ充足形の可能性を考えると、タンヤオの場合は2~8で手牌を揃えなくてはならないので明らかにターツが足りてません。
23とか78とかのターツはフリテンになりますし、タンヤオが確定する45のターツを嫌ってまで残すのは不自然です。
今回は役牌も白發中南と全て枯れており、役牌バックや役牌暗刻の可能性も消えています。
ということは良形ターツ充足形の可能性は消えます。
めちゃくちゃ中張牌を抱えていて、余るほど持っていたってこともたまにあるのですが、今回はもう1つ重要な情報があって、それは上家の6sを鳴いてないってことです。
親が6sを切った時点で45sのターツを持っていたのは河の切り順からしても確実ですから、鳴ける形になっているのに鳴かなかったってことです。
ということはタンヤオではなかったってことです。
ドラ2枚持っていて手牌がタンヤオだったら6sをチーしないなんてことはありえません。
めちゃくちゃ打点志向強い打ち手ならタンヤオトイトイ狙いでスルーとかもありえるかもしれないですが、ラス目の親番流すのは大事ですし、とてもじゃないですがそんな余裕はないでしょう。
6sは鳴きたくても鳴けなかったということです。

つまりこの仕掛けはトイトイで間違いないです。
それ以外の可能性はないです。
ほんとにそうなの?と思うかもしれないですが、今回はよくよく考えてみてもトイトイ以外はありえないですね。
超絶レアケースで7の三色同刻の可能性も考えてみたんですが、だとしても6sチーしないのはおかしいというか、どう考えても辻褄が合わないんですよね。
これは100%トイトイで間違いないです。

手役がはっきりしたところで次は南家の手牌構成を推理してみましょう。
今のところまだテンパイしてるかどうかは分からないですが、2sのトイツを持っているのはほぼ確実です。
45sのターツ落としをする場合は4s→5sの順で切っていくのが基本ですから、5s→4sの順で切っているのは不自然です。
ドラが1枚出て行くことになりますが、5sから切るとカン6sの受け入れをなくすことになりますし、赤5s引いたときも5sがないと受けられません。
ですからこれは単に要らないからターツを嫌ったっていうわけじゃないんです。
ターツの切り順には何か意味があって、狙いがあるということです。
普通とは違うターツの切り順になっていることに気付くことが大事になってきますね。
もっともそういう普通の切り順とか常識を打ち手が知らなかったり、うっかり切り順を間違えたとか、逆手に取ってあえて逆のことをしているとかもなくはないですが、それはそれとして置いといて、今回は2sが自分から一枚も見えてないですから、普通に考えたら南家が2sのトイツを持っているのは間違いないと思いますね。
他に5s→4sの順に切る理由がちょっと思い浮かばないです。
トイトイなので暗刻から1枚切るはずはないですし、自分で4sは1枚持っているので槓子から1枚外したわけでもないでしょうし、先に5sを切っているので24sで持っていて2s単騎になっているとかでもないですね。
もしトイツ落としだったらおそらくチートイで既にテンパイしているはずです。

ということで2sがトイツなのは間違いないですから、今ここでテンパイしていたとしたら2sが当たり牌になります。
もっともテンパイしているかどうか自体はよく分かりません。
はっきり言えるのはもしテンパイしていたら2sが当たるということです。
あるいはテンパイしていなかったらとしたら2sがポンされるということになります。
この時点で読めるのは大体そんなところです。
もうしばらく様子を見てみましょう。

南2局12巡目南家が2sポン

親がうっかり2sを切ってしまったようです。
これは当然ポンされます。
テンパイはしていなかったようですが、やはり2sはトイツでした。

南2局12巡目南家のポン出し發

ポン出しは2枚切れの發です。
安牌で持っていたようなかんじです。
この時点で全貌はほぼ明らかになりました。
大体ここでテンパイしているのは間違いないでしょうし、いろいろと考えてみたのですが、南家の待ちは西と北のシャンポン待ちの可能性がもっとも高いです。
確定ではないですが、ほぼ間違いないと言ってもいいです。

例えばこんな形のテンパイだったとしましょう。
これは親が6sを切った時点で鳴いてないとおかしいですし、8mトイツ落とししてホンイツに向かうはずです。
ためしに3巡目まで遡ってみましょう。

鳴いた牌から逆算して3巡目に戻った牌姿がこれです。
これは6sチーして8mのトイツ落としの一択ですね。
スルーはありえないです。

他にはこういうケースも想定してみましょう。
これは6pが当たり牌になりますが、これもありえないです。
ためしに3巡目まで遡ってみましょう。

鳴いた牌から逆算して3巡目に戻った牌姿がこれです。
これは6sチーして西のトイツ落としでしょうね。
さすがに満貫は確定じゃないですが、クイタンの方が速いですし、スルーはないでしょう。

こんな形も想定してみましょう。
8mと6pのシャンポン待ちです。
3巡目まで遡ってみます。

鳴いた牌から逆算して3巡目に戻った牌姿がこれです。
この形なら6sをスルーしてもおかしくはないでしょう。
ただ6sをチーして西の暗刻落としでクイタンに向かうのもおかしな話じゃありません。
チーした方が少し速そうに思えますが、スルーしてトイトイ狙いもいいし、どっちもあるでしょうね。
このように理論上は6pや8mが当たりになっていることもありえます。
7pや7mなどもションパイですし、同じことが言えるでしょう。

最後に単騎待ちのケースを想定してみます。
このように数牌が単騎待ちとして残っているケースです。
これは4巡目まで遡ってみます。
南家が最終手出しの發をツモって5s切りとしたところです。

鳴いた牌から逆算して4巡目まで遡った牌姿がこれです。
ここから最終手出しの發をツモって打5sとしたことになります。
明らかに不自然ですね。
イーシャンテンなので打5sとしますとリャンシャンテンに戻ってしまいます。
ここは打6pか打發としなければいけないところです。
ということは筒子や萬子のよくわからない単騎待ちのケースというのはありえないです。

南2局12巡目南家の手

実際の形はこうでしたが、西北待ちで確定だと言えるわけではありません。
しかしトイトイなのは100%確定と言ってもよく、西北以外が待ちのケースもかなり限定されています。
いろいろとシミュレーションした結果では、西もしくは北が暗刻のケース以外はないですね。
中張牌どうしでシャンポン待ちのケースですが、西もしくは北が相方のケースはありません。
かなり限定的と言ってもよく、その場合も6sチーしてクイタンに向かうことが多いと思われるので、ほぼほぼ西北待ちで一点読みと言っても良いかと思われます。

南2局3巡目南家の手

3巡目の南家の形はこうでした。
この形から6sを鳴いていないというのが1つのポイントになりました。
鳴かなかったのではなく、鳴けなかったのですね。
6sを鳴けない牌姿を想像すると、このように西北がダブルトイツで筒子か萬子の暗刻持ちという形くらいしかありえないんです。
筒子か萬子で暗刻持ちという状況なら暗刻落とししてまでなかなか染め手には行けませんし、西北ダブルトイツなら両方落としてクイタンにも行けないということで辻褄が合ってます。

この仕掛けのポイントは主に6つです。

  1. 両面ターツを嫌っている

  2. 両面ターツを逆切りしている(5→4の順で切っている)

  3. 上家の6sをチーしていない

  4. 役牌が全て枯れている

  5. 晒した牌が全てタンヤオ(2~8)の牌

  6. 晒した牌と嫌った両面ターツが全て索子の牌

今回のように仕掛けの待ちがほぼ一点で読めるケースも存在します。
西北待ちで確定とまではいきませんが、この場面の西北はたとえ満貫以上の両面待ちテンパイとかでも止めるべき牌と言えるでしょう。
逆に西北以外ならシャンテンからでも押しても問題はありません。
実際は親の仕掛けもあるのでそうはいかないかもしれないですが。

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