2020→2021

一年前の今日を覚えている。

団地の最上階から見た景色を。今年最後の夕日が西の空と富士山を赤く染めながら静かに確実に当たり前のように沈んでいった瞬間を。

ありがとう。

思わず呟いた。何に対してのありがとうなのか正確にはわからない。
その日は北風がとても寒くて太陽の温もりに安心していたのは覚えている。

太陽さんありがとう。今年も大変お世話になりました。

いつも側にいるのが当たり前になっていたけれど、あたかも当たり前のように今日も顔出してくれてありがとう。たかだか46億年の付き合いだけど、これからもよろしくね。

そんな想いが込み上げてきたんだと思う。

2020年12月31日。

今日も太陽はいつものように顔を出している。

いや、顔を出してやっているのはこっちの方では。

だって地球がどうなったって太陽には関係ないでしょ。

でも太陽がどうにかなっちゃったら地球もただじゃ済まない。

地球は太陽に生かされているんだよ!ただの奴隷に過ぎない。

そんな叫びが聞こえる。

それでも私は、今日もこうやって太陽と出逢えたことに感謝している。

もちろんいつの日か太陽が地球を飲み込んでしまうことも知っている。

人間に寿命があるように、地球にも寿命がある。ただそれだけのことだ。

始まりがあれば終わりがある。終わりがあるから美しい。

儚さ。

今、この瞬間があることは確かで、一瞬一瞬を生きること。

みんな今を生きようとしているから美しい。

地球は青く、儚い。

そんな地球に生まれた人間も、青く儚い生き物ではないか。

2020年も残り数時間。
毎年残るのは一年振り返ると色々あったけどあっという間だったなという感覚。

2021年まであと少し。
太陽が当たり前のように365回顔を出すと2021年という新たな刹那が生まれる。

青く儚く潔く。

生きるだけでいいから。

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