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眠りを供養

 布団に潜って、電気を消す。スマホを触って、そっちも世界も投げ出したら、ほんとうにまっくら。ほんとうに独り。目の裏の傷が痛くて、瞼を閉じれない。しばらく、目玉をぐるぐる回していると、今度は体がぴりぴりする。足元に底のない沼が見えて、ため息がでる。今夜も僕は眠れない。底のない沼は黒くて、ゴムみたいに伸びる。僕の体を包んだまま、重力に従って落ちていく。今日は、肺と心臓が並んでいる場所に、筏をつけている。いつもより早く、落ちていく。右目の傷が痛い。