キャピタルアロケーション ー どんな会社、どんな業種のオーナーなのか? #24 と 投信概況 第168回
このマガジン は株価指数に連動するETFのポートフォリオを定点観測することで、その種のポートフォリオを保有することは、どんな会社、どんな業種の「オーナー」になることなのか、を眺めてみる試みです。
投資信託協会 の月次発表資料からざっくり数字を拾う「投信概況」もこちらに書いています。
投信概況のバックナンバーです。
1. TOPIX
このETFのデータを基にして作成した表です。
実は、このデータは2020年6月末、2021年6月末、2022年6月末も持っています。2023年6月末のトップ30のうち、黄色で塗った1社が上記の3つの時点で一度もトップ30に入ったことがなかった会社です。それ以外は最低1回、トップ30に登場していました。2023年6月末含めて4つの時点全てでトップ30に入っていたのは24社です(前回は25社)。
前月末との比較では1社入れ替わりがありました。
業種別はこちらのETFのデータから。
1年前との比較では、この他に銀行業と化学、機械と医薬品の入れ替わりがありました。
2. 日経株価指数
2020年6月末、2021年6月末、2022年6月末、3つの時点で一度もトップ30入りが無かったのが黄色で塗った HOYA さん、SMCさんです。2023年6月末含めて、4つの時点でトップ30に居続けているのが30社のうち23社です(前回は23社)。
前月末との比較では入れ替わりはありません。
業種別はこちらのETFのデータ からです。
1年前との比較では、小売業と情報・通信業、医薬品と化学、輸送用機器とサービス業の順位が入れ替わりました。卸売業がトップ10に。
3. Russell/NOMURA Small Cap Coreインデックス
このETFは3月に上場廃止になりました。
https://nextfunds.jp/data/2023/td_230310a.pdf
4. JPX 日経中小型株指数
黄色で塗った11社が2021年6月末、2022年6月末、2023年6月末ともにトップ30入りしている会社です。前回は9社が3時点全てでトップ30に入っていました。
前月末との比較では2社が入れ替わっています。
業種別です。
前年と比べると、建設業が順位を下げてています。
5. S&P 500
黄色で塗った2社 は 2020年6月末、2021年6月末、2022年6月末の全ての時点で一度もトップ30に入っていなかった会社です。2020年6月末、2021年6月末、2022年6月末、2023年6月末の4時点ともにトップ30入りしているのは17社です(前回は18社)。
前月末との比較では1社、入れ替わりました。
業種別は こちらのETF で。
前年と見比べると、電気通信サービスと資本財・サービスの順位が入れ替わりました。
6. MSCI ACWI Index
2021年6月末、2022年6月末の両方の時点でトップ30に入っていなかったのが、黄色で塗った3社です。2021年6月末、2022年6月末、2023年6月末、この3時点全てでトップ30入りしているのは20社です(前回は22社)。
前月末との比較では1社入れ替わっています。
業種別は 日本を除いたポートフォリオになっているこのETFからです。
7. NASDAQ 100
黄色で塗った3社は2022年6月末はトップ30に入っていませんでした。
業種別はこちらのETFからです。
上位10社、上位20社、上位30社への集中度の推移
上のデータを作成した6つのETFについて、上位10社、上位20社、上位30社のウエイトがどうなっているのか、どんな風に変化してきたのか、を見たのが下表です。
上位10社
上位20社
上位30社
この上位投資先への集中度には特に関心を持っています。
こんな仮説を持っています。
パッシブ運用の割合が高まれば高まるほど、インデックスファンドの上位投資先への集中度が高まる。
パッシブ運用は通常、時価総額の大きな会社から順に「買収」していくことになると考えられます。ですから、パッシブ運用が相対的に増えると、時価総額の大きな会社への集中度が高まっていく。こう考えたのです。
上表を見る限り、多くの株価指数で上位の会社への集中度がじわじわと高まっているように感じられます。こうした状況をどう考えるのか、どう捉えるのか。これこそが僕がこの定点観測で抱いている「問い」です。
じっくりと観察を続けていきたいと考えています。
投信概況 2023年6月末
noteに引っ越して5回目です。
データはこちらからです。
株式投信の残高が170兆円超え。これまでで最も大きな値です。
6月は設定額>解約額となりました。3ヶ月ぶりです。9.8兆円の運用増が170兆円超えを後押ししました。
個人的に注目の投信会社です。
次回をお楽しみに。