ポートフォリオの特性って知りたいよねっ! #月次レポート研究所
月次レポート研究所です。
月次レポートに載せてほしいなぁ、月次じゃ難しかったら四半期に一回でもいい、それも無理なら運用報告書(全体版)で示してほしいよねえ。
そんな願いを込めた記事をつくりました。
月次レポートに載せてもらいたい、と熱望している項目についてもう一つ書いてみたいと思います。
それが「ポートフォリオの特性」です。
必須項目は PER と PBR です。
ファンドのポートフォリオ全体で見た際、(予想)利益をベースに、あるいは、株主資本をベースに、市場はどんな評価を与えているのか、を捕まえておきたい、ということです。
米国S&P500に連動を目指すETF、 IVV のページのスクショです。
ここで示されているPERは直近12ヶ月の実績値が分母になっていると説明されています。10月26日のPERは18.80倍。
S&P500のポートフォリオはその利益の18.8倍で市場に評価されているわけです。PERの逆数は益利回りになりますから、5.3%。米国の長期金利が3.922%のようなのでその差は1.4ポイントくらい?これをどう見るか、、、
PBR もあると、ROEも計算できるんですよね。
↓の記事を読んでください。
IVV の10月26日のPBRは3.6倍となっています。
ROE=PBR ➗ PER で計算されます。
ですから、3.6(PBR) ➗ 18.8(PER)= 19.1% (ROE)となります。
ROE が 19.1% ってどうなん?
そこで比較対象として 全世界の会社の株価指数とも言えるMSCI All Country World Indexへの連動を目指す ACWI も確認してみましょう。
PERは 15.44倍、PBRは 2.47倍です。したがって、ROEは 16.0% と計算されます。株主から投下されている資本をどれだけ上手に活用しているか、という面でS&P500のポートフォリオの方が上手いことやってる、と見ることができるかもしれません。もちろん、この数字は変わってきます。
これを月次で追いかけてみたのがこのグラフです。
グレーが IVVです。S&P500に連動するポートフォリオです。このポートフォリオがACWIのROEを引っ張り上げているのが見て取れます。オレンジのEWJ がACWIを一番押し下げています。このEWJがMSCI JAPAN株価指数に連動するポートフォリオ、つまり、日本の会社群ということになります。
ROE、大事。投資家ならもっともっともっと注目しよう!
ROEは株主が投下した資本をどれだけ上手いこと収益化しているかを示していると同時に、それが持続的に維持、アップしていくことで株主資本の「複利」効果を後押しします。
ROE ってスゴく大事です(ただ、これだけを見ていれば良いというものでもないのですが)。株式を組み入れたファンドを保有するってことは、Eのところを買うってことですからね。そのEが上手いこと活用されているか、が市場の評価に影響するのはごくごく当たり前のことでしょう。
投資信託を一つの会社として見ることができる
上記の通り、IVVやACWIといったファンド(ETF)でもそのPER, PBRが出ていれば、ROEまで計算できます。
またアクティブファンドであれば、ベンチマークや参考指数等のポートフォリオとどのくらい中身が違っているのか、も分かります。
「グロース」ファンドと銘打っているのに、なんでPERがこんなのなの?とか、「バリュー」ファンドと銘打っているのに、なんでPBRがこんなのなの?とか、そういうことだって感じ取れます。
しかし、です。
日本国内のファンドで、このポートフォリオの特性値を示している事例はめちゃくちゃ少ない。ほとんど見られない。これが実状です。
ポートフォリオの特性値を示しているファンド
今、僕がパッと思い出せるのは以下のファンドです。
農林中金<パートナーズ>おおぶねJAPAN(日本選抜)
農林中金<パートナーズ>おおぶねグローバル(長期厳選)
https://www.nvic.co.jp/data/fund/obune_global/id401002_report1_221018.pdf
世界インパクト投資ファンド
他にもあったとは記憶しているのですが、パッと出てきません。
そこでお願いがあります。
ポートフォリオの特性値(PER、PBR)を毎月、月次レポートで報告しているファンドの情報をお寄せください。
お寄せくださった情報、このページに書き足していきます。
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