キャピタルアロケーション ー どんな会社、どんな業種のオーナーなのか? #20 と 投信概況 第164回
このマガジン は株価指数に連動するETFのポートフォリオを定点観測することで、その種のポートフォリオを保有することは、どんな会社、どんな業種の「オーナー」になることなのか、を眺めてみる試みです。
今回から 投資信託協会 の月次発表資料からざっくり数字を拾う「投信概況」もこちらに書きます。
投信概況のバックナンバーです。
1. TOPIX
このETFのデータを基にして作成した表です。
実は、このデータは2020年2月末、2021年2月末、2022年2月末も持っています。2023年2月末のトップ30社のうち、この4つの時点で1度しかトップ30に入ったことのない会社はゼロでした。2023年2月末含めて4つの時点全てでトップ30に入っていたのは25社です(前回は23社)。
前月末との比較では1社入れ替わりがありました。
業種別はこちらのETFのデータから。
1年前と比べると、銀行業のウエイトが増えているのが目立ちます。
2. 日経株価指数
2020年2月末、2021年2月末、2022年2月末、3つの時点で一度もトップ30入りが無かったのが黄色で塗った SMCさん、HOYA さんです。2023年2月末含めて、4つの時点でトップ30に居続けているのが30社のうち23社です(前回は24社)。
前月末との比較では、トップ30のメンバーは3社入れ替わっています。
業種別はこちらのETFのデータ からです。
1年前と比べると、小売業と情報・通信業の順位、医薬品と化学の順位が入れ替わりました。機械も順位を上げています。
3. Russell/NOMURA Small Cap Coreインデックス
このETFは3月に上場廃止になりました。
https://nextfunds.jp/data/2023/td_230310a.pdf
4. JPX 日経中小型株指数
黄色で塗った9社が2021年2月末、2022年2月末、2023年2月末ともにトップ30入りしている会社です。前回も9社が3時点全てでトップ30に入っていました。
前月末との比較では3社が入れ替わっています。
業種別です。
1年前と比べると建設業のウエイトが大きく減っています。
5. S&P 500
黄色で塗った2社 は 2020年2月末、2021年2月末、2022年23月末の全ての時点で一度もトップ30に入っていなかった会社です。2020年2月末、2021年2月末、2022年2月末、2023年2月末の4時点ともにトップ30入りしているのは18社です(前回は16社)。
前月末との比較では入れ替わりはありません。
業種別は こちらのETF で。
前月末から順位に変動ありません。
6. MSCI ACWI Index
2021年2月末、2022年2月末の両方の時点でトップ30に入っていなかったのが、黄色で塗った4社です。2021年2月末、2022年2月末、2023年2月末、この3時点全てでトップ30入りしているのは21社です(前回は21社)。
前月末との比較では2社、入れ替わっています。
業種別は 日本を除いたポートフォリオになっているこのETFからです。
7. NASDAQ 100
黄色で塗った4社は2022年2月末はトップ30に入っていませんでした。
業種別はこちらのETFからです。
1年前との比較では、生活必需品とヘルスケアの順位が入れ替わっています。
上位10社、上位20社、上位30社への集中度の推移
上のデータを作成した6つのETFについて、上位10社、上位20社、上位30社のウエイトがどうなっているのか、どんな風に変化してきたのか、を見たのが下表です。
上位10社
上位20社
上位30社
この上位投資先への集中度には特に関心を持っています。
こんな仮説を持っています。
パッシブ運用の割合が高まれば高まるほど、インデックスファンドの上位投資先への集中度が高まる。
パッシブ運用は通常、時価総額の大きな会社から順に「買収」していくことになると考えられます。ですから、パッシブ運用が相対的に増えると、時価総額の大きな会社への集中度が高まっていく。こう考えたのです。
上記の表を見る限り、上位の会社への集中度がじわじわと高まっているように感じられます。こうした状況をどう考えるのか、どう捉えるのか。
これこそが僕がこの定点観測で抱いている「問い」です。
じっくりと観察を続けていきたいと考えています。
投信概況 2023年2月末
noteに引っ越して2回目です。
データはこちらからです。
株式投信の残高が150兆円超え。2021年12月末以来、14ヶ月ぶりです。
個人的に注目の投信会社です。
次回をお楽しみに。