キャピタルアロケーション ー どんな会社、どんな業種のオーナーなのか? #25 と 投信概況 第169回
このマガジン は株価指数に連動するETFのポートフォリオを定点観測することで、その種のポートフォリオを保有することは、どんな会社、どんな業種の「オーナー」になることなのか、を眺めてみる試みです。
投資信託協会 の月次発表資料からざっくり数字を拾う「投信概況」もこちらに書いています。
投信概況のバックナンバーです。
1. TOPIX
このETFのデータを基にして作成した表です。
実は、このデータは2020年7月末、2021年7月末、2022年7月末も持っています。2023年7月末のトップ30の全てが上記の3つの時点で一度はトップ30に入ったことがあった会社です。2023年7月末含めて4つの時点全てでトップ30に入っていたのは24社です(前回は24社)。
前月末との比較では1社入れ替わりはゼロでした。
業種別はこちらのETFのデータから。
1年前との比較では、この他に銀行業と化学、機械と医薬品の入れ替わりがありました。
2. 日経株価指数
2020年7月末、2021年7月末、2022年7月末、3つの時点で一度もトップ30入りが無かったのが黄色で塗った 豊田通商さん、HOYA さんです。2023年7月末含めて、4つの時点でトップ30に居続けているのが30社のうち21社です(前回は23社)。
前月末との比較では2社、入れ替わっています。
業種別はこちらのETFのデータ からです。
1年前との比較では、小売業と情報・通信業、サービス業と機械、輸送用機器、医薬品と化学の順位が入れ替わりました。卸売業がトップ10に。
3. Russell/NOMURA Small Cap Coreインデックス
このETFは3月に上場廃止になりました。
https://nextfunds.jp/data/2023/td_230310a.pdf
4. JPX 日経中小型株指数
黄色で塗った8社が2021年7月末、2022年7月末、2023年7月末ともにトップ30入りしている会社です。前回は11社が3時点全てでトップ30に入っていました。
前月末との比較では6社が入れ替わっています。
業種別です。
前年と比べると、サービス業と情報・通信業、小売業と機械、不動産業と電気機器の順位が入れ替わっています。建設業は3位から6位へと順位を下げています。
5. S&P 500
30社全て 2020年7月末、2021年7月末、2022年7月末の時点で一度はトップ30に入っていました。2020年7月末、2021年7月末、2022年7月末、2023年7月末の4時点ともにトップ30入りしているのは18社です(前回は18社)。
前月末との比較では2社、入れ替わりました。
業種別は こちらのETF で。
前年と見比べると、金融と一般消費財・サービス、素材と不動産の順位が入れ替わりました。
6. MSCI ACWI Index
2021年7月末、2022年7月末の両方の時点でトップ30に入っていなかったのが、黄色で塗った4社です。2021年7月末、2022年7月末、2023年7月末、この3時点全てでトップ30入りしているのは18社です(前回は20社)。
前月末との比較では1社入れ替わっています。
業種別は 日本を除いたポートフォリオになっているこのETFからです。
7. NASDAQ 100
黄色で塗った1社は2022年7月末はトップ30に入っていませんでした。
業種別はこちらのETFからです。
上位10社、上位20社、上位30社への集中度の推移
上のデータを作成した6つのETFについて、上位10社、上位20社、上位30社のウエイトがどうなっているのか、どんな風に変化してきたのか、を見たのが下表です。
上位10社
上位20社
上位30社
この上位投資先への集中度には特に関心を持っています。
こんな仮説を持っています。
パッシブ運用の割合が高まれば高まるほど、インデックスファンドの上位投資先への集中度が高まる。
パッシブ運用は通常、時価総額の大きな会社から順に「買収」していくことになると考えられます。ですから、パッシブ運用が相対的に増えると、時価総額の大きな会社への集中度が高まっていく。こう考えたのです。
上表を見る限り、多くの株価指数で上位の会社への集中度がじわじわと高まっているように感じられます。こうした状況をどう考えるのか、どう捉えるのか。これこそが僕がこの定点観測で抱いている「問い」です。
じっくりと観察を続けていきたいと考えています。
投信概況 2023年7月末
noteに引っ越して6回目です。
データはこちらからです。
株式投信の残高が2ヶ月連続で170兆円超え。これまでで最も大きな値です。
7月は設定額>解約額となりました。2ヶ月連続です。収益分配が1.45兆円。純資産総額の大きいETFの分配の影響ですかね。
個人的に注目の投信会社です。
次回をお楽しみに。