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アセットアロケーションよりも先に #キャピタルアロケーション に出会いたかった
私は、経営者の機能を①キャピタルアロケーション(=どの事業に資源を配分するのか)と②ビジネスマネジメント(=選択した事業を適切に運営する)に分けることができると考えている。どちらも重要であることはいうまでもないことだが、現在のように変化のスピードが速い経営環境において、長期的な企業の姿を決定づけるのは、キャピタルアロケーションではないだろうか。ウォーレン・バフェット氏の言葉を借りるなら「どれだけ効率的に舟を漕げるかという点よりも、どの舟に乗り込むかという点が根本的に重要だ」ということである。
長期的な企業の姿を決定づけるのは、キャピタルアロケーション
「京都企業が世界を変える 企業価値と株式投資(2015年)」の”第8章 長期投資の意義と実践”で #NVIC 奥野一成さんが述べられています。
アロケーションというと、アセットアロケーションという言葉もよく聞かれます。例えば・・・
アセットアロケーションとは、運用する資金を国内外の株や債券などにどのような割合で投資するのかを決めることをいいます。
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/a/J0121.html
ググったら最初に出てきたのが上の説明です。
キャピタルアロケーション、アセットアロケーション。似た言葉ですが、まるっきり別の概念だと僕は考えています。
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キャピタルアロケーションは右側の資本(負債も含めて考えるケースもあるでしょう)をどう扱うか、調達した資源、事業活動を通じて得た資源をどのように使うか、投資するか、判断することだと考えられます。
一方、アセットアロケーションは左側の資産のお話。キャピタルアロケーションの過程で決断された投資の内容をどのように管理していくか、ということだと考えています。
苦労して(あるいは期せずして、ということもありますが)手にしたお金・資源を、富を、どの分野に投資すれば良いか、それを考えて、調べて、判断する。
これがキャピタルアロケーションです。資「本」配分です。
投資家がどういう役割を果たすべきなのかを考えてみますと、一つは、成長性や収益性が期待できない 企業からお金を回収して、新しく価値創造できるグループや成長できるグループにお金をアロケーションするのが投資家の役割です。
”資本配分”でググっていて、見つけたのが一橋大学の加賀谷哲之さんの講演録でした。
「企業価値向上と『資本コスト』~経営への活用に向けた基礎と実践~」
日本企業の安定的な株主還元は、株主への配分を抑制させ、多角化方針は有利子負債の調達能力を引き上げる他、単一事業で運営されている場合と比べると資金制約に直面しにくいなど企業の継続能力やリ スクや危機に対するレジリエンスを高めてい ることが推測される。一方でそうした取り組みそのものは、資本市場が従来行っている、 より収益性が高く、成長性が高い企業に資本を優先的に配分し、経済全体の付加価値創造を効果的に実践するといった機能を弱体化させ、国富そのものを毀損させることに結び付く。
同じく加賀谷さんの論文からです。
加賀谷さんの論文は企業の投資、キャピタルアロケーションを対象にしていますが、個人投資家としてどう考えるか、ということがあると思っています。
例えば、上場企業が事業活動を通じて得た利益、資金の使い途として何を選ぶか、そこでインデックスファンドを選ぶ、そんなことは通常、あり得ないと思います。株主から託された資金、資本を元手にした事業活動を通じて得た利益、資金を、その株主たちが自分でも難なく手に入れることのできる資産を取得することですものね。
個人投資家がインデックスファンドを買う。これは自分で稼いだお金をどこに投資するか、というお話ですから、別に株主のことなんて気にすることはありません。あえて言えば、自分株式会社の資本配分、株主は自分自身なのですから。
先日、こんな記事を見つけました。
株式投資でパッシブ運用が増えることを「弊害」と表現、その「弊害」の一つとしてフォーカスされていたのは「市場の価格発見機能」でした。
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