中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」劇場版
昨年末、映画館で「中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」劇場版」を観た。当初、同じ館で上映の「「氷艶 hyoen 2024 -十字星のキセキ-」年末スペシャルビューイング」を観ようと思っていたが、上映時間が悪すぎた。3時間で11時から14時。ご飯を食べるなということか。別の映画館なら上演予定は違っていたかもしれないが、それを調べる前に、「歌会」の上演を見つけた。これなら上演時間は約2時間だし終了後ランチにも行きやすい時間だったので、氷艶には悪いが、歌会を観ることに急遽変更した。
観に行った回は午前であったが、思いの外お客様は多かった。シニア世代前後の、要は同世代の方が多めであったが、中には若い男女連れに小学生低学年の子供2名という家族のような集団もあった。シニア世代は夫婦と思われる男女2人連れの人もあれば1人の人もあり、様々であった。
映画の予告編の時に目を閉じながら、ぼんやりと過去の中島みゆきさんのコンサートに行った時のこと、曲のこと、などあれこれ思い出していた。今から見る歌会のセトリは予習していなかった。みゆきさんの楽曲をじっくり聴くのはとても久しぶりであった。昔は「なみふく」に入っていて、CDは必ず買い、コンサートも申し込んだものだが、コンサートにあまりにも落選するので「なみふく」をやめてしまって20年以上経つ。その間に客層も変わり、曲調も変わり、ファンも増え、老若男女が支持する中島みゆきさんとなった。コンサートの映画館上映って、客は黙って聴いているのだろうか、拍手はしていいのか、など考えているうちにやっと本編が始まった。
結論から言うと、客は拍手もせず、黙って聴いていた。2020年のコロナ禍でコンサートツアー途中中断して、その4年後のコンサートとのことだった。「歌会」というだけあって、みっちり歌を聴かせる密度の濃い物であった。リアルのコンサートではどうだったのかは知らないが、MCのシーンは殆どなかった。みゆきさんの歌唱も健在であった。ハリのある声、突き刺さる歌唱は若い時と変わっておられない。年齢を計算したら72歳だった。こんなかっこいい72歳があってよいのか。健在といえば、コーラスのかずちゃん(杉本和世さん)のお姿もあり、嬉しかった。高校生の時、友人と主旋律とコーラスのパートでハモる遊びを、学校の帰り道でしたことを思い出した。私はハモリが苦手だったので、いつかかずちゃんのパートを歌いたいと闇練したこともあった。この新年その友人とLINEでそんな話をすると「やまねこ、だったかな。懐かしい。」と返信が来て、目の中でその光景を思い出して懐かしんだ。
セットリストは新旧おりまぜて、アンコール含めて19曲。約2時間、良い椅子で良い音で、集中して聴いて、堪能した。初めて聴くのに印象に残った「倶(とも)に」と「心音(しんおん)」は、後から復習すると「倶(とも)に」はドラマで、「心音(しんおん)」はアニメ作品で、使われたものと知った。第二部(?)の「ミラージュ・ホテル」の長いキーホルダーは今の若者にはわからないのではないか、とか無用なことを思った。また、第二部は曲ごとに衣装が変わるのは見応えがあった。そしてアンコールの最後の最後「地上の星」は圧巻で空に吸い込まれていきそうになるほどであった。
上映の冒頭で「終わった後にも映像があるので、最後まで見てくださいね。」といった意味のメッセージがあったので固唾を吞んで待っていると、コンサートのメイキング映像で、みゆきさんが打ち合わせしているところや当日の舞台裏、そして、出待ちのファンに車の中から手を振って去っていかれるところまでが収められており、自然と表情が緩んだ。出待ちの人に手を振ってくれるなら私も待ってみたい。
ところで私の観た映画館は館の入口にDolbyと書いてあった。ドルビーシネマ採用ということらしいが、映画館に入る時それを観て思い出したことがあった。昔、ライブCDで「歌暦」が発売になった頃(多分1986年か1987年)、みゆきさんが深夜放送の中で「ドルビーサラウンド」という、多分当時では画期的な技術が使われていることを紹介し「ドルビー皿うどんっ!」などと冗談を言っていたと思う。当時はCDプレイヤーが出始めたばかりで、CDは買ったけどCDプレイヤーがないので飾っています、だの、CDに耳を当てています、だの、買ったのに聴いていないといったお便りもあったと思うが「皿うどんっ!」と言っていたみゆきさんを思い出しながら、今や映画館で聴けるとは、と、嬉しくなった次第である。