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【恵まれていると、どこか苦しくなる時がある】

海外の大学院となると、色んなバックグラウンドを持つ人と話す機会があります。僕がいるプログラムでは特に国際色が強く、デンマークにいるのにデンマーク人の学生が1人もいないといった調子です。


これについては、プログラムがデンマーク人向けに作られていないからこれが起こります。


ソーシャルワークなどを扱うプログラムということもあって、クラスメイトはアジアやアフリカ出身の学生が多い。クラスメイトの出身国をあげると、

日本🇯🇵
中国🇨🇳
タイ🇹🇭
ネパール🇳🇵
バングラディシュ🇧🇩
パキスタン🇵🇰
イラン🇮🇷
カメルーン🇨🇲
ケニア🇰🇪
ガーナ🇬🇭
ジンバブエ🇿🇼
カナダ🇨🇦
ギリシャ🇬🇷
イギリス🇬🇧
アルメニア🇦🇲


ドロップしてしまったけど、ナイジェリア🇳🇬、オーストラリア🇦🇺、台湾🇹🇼の人もいました。


とまあご覧の通り、多国籍も多国籍でこんな環境にいると日本がどういう国であるかがよくわかるんです。その中でもやっぱり感じるのが、日本の裕福さ、いかに恵まれているか。


これは日本の経済はまだ世界的に見て大丈夫だということではなくて、こうした環境にいると嫌でもそう感じるのです。「裕福だ」と感じるのは、もちろん「点」で見た時であって、未来へ続く「線」で見るとマイナス成長を辿っていることは百も承知です。


日本の経済は失われた20年、30年だとか言われておりますが、それでもやっぱりまだまだ日本は裕福です。もちろん、たかが20数名の中でのサンプルしかありませんがそう感じることは多いです。物価(税金)が高い北欧にいると尚更それを感じます。



例えば、髪を切るとき。

デンマークやノルウェーで安く済ませようと思ったら2000円くらいで済みます(こういうところは大体髭モサモサの中東系の人がやっています)。なんならもっと安いところがあるかもしれません。ただ、どうやら相場は6000〜7000円です。


そんなわけで、僕もそれなりのお金をかけて切っているわけですが(日本では3000円くらいの美容院に行っていました)、値段をいうとびっくりされます。カメルーンやガーナ出身の友達に、です。


正確な値段は忘れましたが、僕の一回分が彼らにとっての一年分にでもなるくらいです。「あ、やっぱ日本は豊かなんだ」その時感じました。


それからつい数日前のこと。

タイ出身の女の子の誕生日会に誘われて、お祝いに行きました。日本だとバースデーの人はお金を基本的に払わないのが普通だと思います。ですが、おそらく多くの国ではその逆で、自らお金を払ってみんなに祝ってもらうというのが一般的なよう。


今回のタイの女の子も、美味しいグリーンカレーを振る舞ってくれましたし、何年か前イタリア人の友達のバースデーに誘われて行ってみると、彼にビールをご馳走になりました。


あ、今日の内容では誕生日の祝い方は関係なかったですね。一応僕が知る限り、比較的多くの国では日本とは若干誕生日の捉え方が違うのかも、というお話でした。


それで話を戻して、タイの女の子のバースデー。一通りご飯も食べ終わって色んな話をしたのですが、その流れで「明日どこにでも行けるならどの国に行く?」と聞かれました。すると、僕はパッと頭に浮かんだ「アメリカの西海岸に行ってみたい」と答えました(もちろん日本も過ぎったよ)。


すると、それを聞いたタイとケニアの女の子は「あーわたし達はいけないね」とどこか残念そう。パスポートの関係、ビザの関係で気軽にいけないんですね。


日本人が旅行でアメリカに行く際、ビザは必要ないにしろエスタの申請が必要になりますが、それでも他の国よりもアメリカへの心理的距離は近いです。


今年の年明け。ロンドンに遊びに行ったのですが、その話をすると「え、ビザ取ったの?」とよく聞かれます。日本人であればイギリスに入国するのにビザは必要ありません。


やっぱりどうやら日本は世界的に見て、かなり恵まれています。日本のパスポートは世界最強とよく言われますがまさにそうで、基本的にどこに旅行に行くにもビザの取得は必要ないですよね。それでもそれは世界の常識からはだいぶ外れていて、そうではない人が多数派です。


今こうしてデンマークにいてアジアやアフリカの友達と一緒にいて感じる、日本の裕福さ。この表現は好きではないのですが、やっぱり日本は経済的には「先進国」であり、今僕の周りにいる多くの友達は俗にいう「途上国」「後発国」です。

これを受けて、僕は優越感に浸るかというと、とんでもありません。むしろ逆の感情が込み上げて来ます。優越感ではありませんが、強いていうなら、デンマークの在留資格の申請の際、同じタイミングで申請したのに僕の方が返事が速かったりすると、「日本人だから?」と思ってしまう自分は確かにいます。

でも、それくらいです。


なぜ僕は裕福なのかを疑問に思います。血を吐くほどの努力をして来て成り上がったのであればそれは筋が通っています。が、僕は生まれながらにして裕福で恵まれている。

同じ人間であるのに、生まれながらにしてスタートラインが公平ではないということにはやっぱり引っかかってもどかしいのが本音です。

せっかく巡り合えたアフリカの友達。これまでアフリカの友達なんていませんでした。仲良くなる手段はもちろん沢山ありますが、例えば金曜日の夜パーっと飲みに行こうとしても、どうも誘いにくいです。気にするべきなのかさえわからないのですが、誘わない方がお互いハッピーなのかも、と思えてしまいます。だから遊ぶとしたらお金のかからない学生寮であることが多くて、スーパーで買った安いビールを片手に沢山笑います。

こういう時間は今しかできないだろうから、すごく楽しいです。

でも、旅行となると?それこそ年明けのロンドン旅行は誰にも声を掛けずに1人で行きました。勉強のリフレッシュに、というのが一番の目的だったので1人で行くことに躊躇いはなかったのですが、あの人たちと一緒にロンドンの街を歩けたらなと想像すると、叶いそうにない妄想に途中で虚しくなります。


マレーシアで教育活動をしていた時も同じでした。学部時代、不法でマレーシアに滞在している子供達に対して教育の場を一緒に作るという活動をしていたのですが、もし彼らを日本に連れてこれたら?現地学生とも一緒に活動していたのですが、彼らに東京の街を案内出来たら?そう思うことはよくありました。

子供達に関してはいわゆる無国籍”Stateless”な身分ですから、出国するどころか警察に見つかってしまっては身に危険が降りかかります。


こうした経験を人一倍して来たからこそ、僕たち日本人の経済的裕福さは常々感じるところであって、同時に社会の不条理にもどかしさを感じるところです。

何者でもない僕が、今こそ彼らに何も出来ないですが、もし出来る事があるのであれば、こうした不条理を理解し、誰かに伝え、それでいて僕自身それを常に心の片隅に留めておく事だと思います。

少しでも多くの人に届きますよう。



*ちなみにですが、ケニアの友達なんかはiPhoneもAirPodsも持っています。全員が全員そうではないですが、ケニアという国ひとつとっても僕たちがパッと頭に浮かべるような生活を今もしているかというとそれはNoです。

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まつきれん
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