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僕とS.T.A.L.K.E.R.とS.T.A.L.K.E.R.2
僕とS.T.A.L.K.E.R.
初めてsteamで買ったゲームがS.T.A.L.K.E.R:SoCなんですよね。感慨深いですよ pic.twitter.com/eYjI9T6F39
— 連句多 (@henktrenkt) November 20, 2024
15年前の自分が「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」を何がきっかけで購入したのかはあまり覚えていない。直前に出たFallout3の影響は多分あるだろう。ニコニコ動画の実況プレイを見たのはこの後か。当時フリーゲームを探して見ていた2ちゃんねるのPCゲーム板では目立つタイトルだったし、Steamのセールは記録的な円高のさなかportalを5ドルで売ったりと(今は感覚が狂ってしまったが普通のゲームを500円くらいで買えるのは凄いことだった)今以上に話題性があった。それでも親からの小遣いでやりくりしていた自分が20ドル出して得体のしれないPCゲームを買うのはなかなか冒険だったと思う。
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ファンすらついていないATIのペラペラなバルク品ビデオカードを通して映るZONEの世界は衝撃だった。自分がそれまで遊んできたゲームはレベルがあり、スキルがあり、出てくる敵もアイテムも何かしらのルールがあった。S.T.A.L.K.E.R.にはそれがない。どこまで安全でどこから危険なのか本来あるべきルールが無く、敵も味方も弾が当たれば問答無用で死ぬという明確なルールが支配する。ここまでリアルで無法なシューターは他になく、ただ生き延びるために前へ前へと進ませる魅力があった。外伝作品であるCall of PripyatもMODのSFPSやLost Alphaももちろん堪能した。そういえば動画も作ったが、これはいいか。
その後で期待するのは当然S.T.A.L.K.E.R.2であったが、開発元であるウクライナのGSC Game Worldは2011年に閉鎖。その後はS.T.A.L.K.E.R.の開発スタッフが関わる精神的続編がいくつか発表されたがいずれも評判はよろしくなく、MMOシューターを謳ったSurvariumはF2Pの対戦FPSに終わったし、Arealはクラファン詐欺、Fear The Wolvesはバトロワ。それらの失敗にまつわるゴシップはS.T.A.L.K.E.R.の続きを失望させるには十分だった。
だから正直、復活したGSC Game Worldが2018年にS.T.A.L.K.E.R.2を再発表した時は何も期待はしていなかった。新生GSCの開発実績はRTSのCossacks3(その内容は実質Cossacks1のリマスターである)だけだったし、公開されるのはイメージ映像的なPVだけで、果てにはNPCになれる権利をNFTにして競売にかけるという炎上が起きたことでああこれは結局いつもの、資金集めのためにS.T.A.L.K.E.Rの名前を使っているやつだなと自分の中で結論付けた。その後しばらくして戦争が始まり、すべてが終わるのだろうと思った。
そうではなかった。GSCは拠点をチェコに移して開発を継続し、マイクロソフトはS.T.A.L.K.E.R.2をXbox Game PassのDay1タイトルとして発表した(その時点では天下のマイクロソフトもこんな分かりやすい詐欺に騙されるのかと呆れていた)。インゲームの映像も公開され始め2023年のgamescomではプレイアブルデモも出展し、さすがに自分も誤りを認め開発者達の耐え難い苦労を茶化したことを恥じるに至る。
ゲームに政治信条を持ち込むなといくら声高らかに宣言したところでウクライナを舞台とし、ウクライナで開発されていたS.T.A.L.K.E.R.を現実で起こっている戦争と切り離して楽しむのは難しい。実際、S.T.A.L.K.E.R.2の売上の一部はウクライナ軍に寄付され、ロシアでは販売が停止されている(Steamのフォーラムはめちゃくちゃ荒れてる)。
自分はもちろん戦争は望むところではないので、この施策が戦争を終結に導くかは別として概ね賛同的ではある。が、これをもって「S.T.A.L.K.E.R.2を買ってウクライナを応援しよう!」とはなれない。それは原神に課金すると巡り巡ってロシア軍の自爆ドローンになるみたいな話と地続きだ。あくまでこの状況にあってS.T.A.L.K.E.R.2を完成させたGSC Game Worldを称え、そのストーリーというメタをもって本作を楽しむ、に留めたい。今のところは。
僕とS.T.A.L.K.E.R.2
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そんなこんなで難産だったS.T.A.L.K.E.R.2はまぎれもなくS.T.A.L.K.E.Rの2だった。
S.T.A.L.K.E.R.の魅力としては雰囲気や廃墟などのビジュアルがよく挙がるが、個人的にはゲーム面をもっと評価すべきだと思う。自分は本作を「出発と帰還のゲーム」と見ている。
S.T.A.L.K.E.R.2に自由な旅はない。何を目的としてどのルートを通るかきちんと計画を立てて出発し、どこかのタイミングで見切りを付けて拠点に戻り、荷物を整理して次の出発の準備をする。このサイクルはゲーム的にわかりやすい普遍的な面白さがあり、作中のストーカーらしい生き方でもある。
本作の批判点として敵が固い上に戦利品が渋いことが挙げられるがそれは仕方ない。仮に敵を倒すのに消耗が少なく戦利品が潤沢であれば深追いすることが常に正解となり、儲けは多少の出費を許せてしまう。武器がすぐ消耗して修理代が高いのもインベントリの制限が厳しいのもすべては計画と収支の判断の楽しさのためであり、10時間ほど遊んだ時点では調整不足どころか絶妙すぎるバランスを保っていると感じられる。それが狙ったものかは置いといて。
徹底的にシビアなだけのゲームではない。各エリアの拠点では中身が共通のアイテムボックスがあり、ほぼ無料で回復してくれる医師がいる。拠点同士はお金を払えばファストトラベルも可能だ。こういった拠点内のだけの親切さを見てもやはり本作は行きと帰りを重視したゲームなのだと思うが、プレイが自ずとそうなるだけでゲームシステム上で表現されている訳ではないため、人によっては雑で地味なゲームに見えてしまうかもしれない。
こういったハードコアな内容に耐えられない人は当然いるだろう。それは「以下のような人はこのゲームに向いてません!①俺TUEEEが好き」みたいなsteamのカスのスカスカカスタマーレビューの話をしたいのではなく、そもそもS.T.A.L.K.E.R.はこういうものだという先入観が無ければ割り切れない人もいるだろう、という話。別にS.T.A.L.K.E.R.に限らず、例えばフロムソフトウェア作品があの難易度で許されているのはゲーム内容以上にそれを許される評価を築き上げてきたからだろうし、どのゲームやジャンルにもそういったものがあると思っている。
他によく聞く批判としてバグが多いらしいが、自分の環境では今のところ発生していない。クエストで必要なアイテムが他のアイテムと見分けが付かないので捨てると進行不可になるみたいないじわるはあったが、バグではない。最適過不足で重いとかA-Lifeが全然機能してないとかは・・・戦争を憎もう。