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2024年面白かったゲームトップ10とあえてやらなかったゲーム

部門別に挙げる方が政治的に正しいとは思いますが、面倒なのでランキング形式のストロングスタイルで。
選出の基準としては昨年12月に発売された作品も含まれる、日本語版が出た日付を発売日として数える、いわゆるバルダーズゲート3ルールとなります。




10位:ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー

Steamのレビューもそうだけどnoteでめちゃくちゃ叩かれていて自分の周りのFF14プレイヤーも全然ログインしなくなっちゃって・・・みたいな世間の評価なんだけど個人的には全然悪くは無かった。一度完結した作品の物語の続きとしてもはや達観したような主人公の成り行きには魅力を感じていくし、中近世アメリカ大陸のFF的描き方も印象深い。今後の新コンテンツのお布施みたいなものでもあるし。

なのでそんなに文句を言うほどだろうか、他の拡張と比べてわざわざ逆鱗に触れるほど強い変化もないのでは・・・と思うものの、やはり10年やってるのに変化がないのはもうそれだけで厳しいよなとも思う。
本作が失敗しているとしたらそれはゲーム中のストーリーというよりゲーム外で構築してきたストーリーの崩壊で、今まで上手いこと築いてきた「皆さんの意見を取り入れて真摯にやっています感」と、それに乗っかってやろうというプレイヤーの気概もさすがに10年続けられたら通用しなくなってきている(でも長年続いてる他作品の運営の叩かれ方に比べたら全然健闘している方だ)。まあ、個人的には良かったです。


9位:Elin(早期アクセス)

全体的にとっつきづらいものの段取りが分かってくると加速度的に世界が広がり、何時間プレイしても生産やらハウジングやら膨大な要素の1%も味わえていないように感じる。それでいて何度も最初からやり直したくなるから大変だ。自由度は高いが効率の良いプレイは限られており、それがむしろリプレイ時の気持ちよさを提供してくれる。アップデート頻度も異常。

ゲーム内容自体も良いのだけれどなんといっても本作の魅力は作家性であり、本来表に出てはいけない表現にノンストップなことだ。セリフが「ざこ」だけで喋るメスガキとか女性用下着を武器にしたりとかの終わったオタクのユーモアとか、犬を殺したり人肉を食べたりといった死んでる倫理観とか、その一方でグラフィックやセリフ回しは優しさに包まれていたりと、そういった狂気と安心感でこの重厚なゲームを取り繕っているアンバランスさが良い。企業や海外からは絶対に出てこない、日本のフリーゲーム文化が産んだ作品である。


8位:Baldur's Gate 3

上の記事の通りなので割愛。
終盤の惰性感がどうしても評価を落としてしまったが、もう「終わらせるために終わらせる」という状況になったらゲームクリアでいいのかもしれない。老人の感想。


7位:Mechabellum

これも上記の記事の通りなので割愛。
一戦一戦に学びがあり、上達までの過程がきちんと見える対戦ゲームとして久々に競技性を楽しめた。英語の攻略記事なんかも読み漁ってゲーム外でも努力を続けたが、やはり1試合の疲労が半端なくて長続きしないのが難点。


6位:S.T.A.L.K.E.R.2

改めて唯一無二の作品だと思う。オープンワールドFPSと言えば類似作もあるように思えるが、FalloutやボーダーランズはRPGに寄りすぎだし、FarCryはFPS(というか一人称アクション)に寄りすぎている。インベントリを整理し武器を吟味し、きちんとヘッドショットを狙って弾を節約するようなじっとりとしたプレイ感は本作にしかない。Escape from Tarkovは自分が下手すぎてカウント外。

面白いのは間違いないんだけど、アホみたいに固いボスとか道すがら巻き込まれるアノマリーとかアプデの度に120GBのダウンロードとインストールがあるとか、これは法律上許されているのか?ってタイミングはある。Steamの「非常に好評」は良くも悪くも政治だ。


5位:アストロボット

いやはや、楽しいで構成されすぎていて特に語ることがない。PS5のコントローラの各機能を使いこなした体験はゲームセンターの新筐体のようだし、ステージ毎に新しい体験があり(It Takes Twoライクと呼ぶべきだ)、刺激だらけで飽きることが無い。

難易度ははっきりいって難しいので子供はクリアできずコントローラ投げちゃいそうだが、トライ&エラーによる上達の実感がわかりやすく、誰にでもクリアの道筋は示されている。むしろ子供からすれば「オタクはクリアできずにSNSで批判してそう」みたいな感想かもしれない。いや、そもそも登場するモチーフに「ジャンピングフラッシュ」や「とんでもクライシス!」とかが出てくるゲームを子供は遊ばないのかもしれないが。子供時代をプレイステーションで過ごしたかつてのゲームキッズ向けの作品だ。


4位:メタファー:リファンタジオ

新規IPを喧伝しつつもプレイ感の軸はあからさまにペルソナなのだけど、やっぱりこの要領よくタスクを消化していく楽しさはペルソナでしか味わえないのだから、それが増えるに越したことはない。
一本筋の通ったシナリオのテーマやビジュアルはその潔さに心が洗われるし、BGMはどれも良すぎて今もspotifyで聞いている。内外の美しさでいえば今年一番かもしれない。

ジョブやスキルの入れ替えの豊富さやマップの移動に日数がかかったりする点などはJRPGにしては洋RPG感があって珍しいな、と当初は思ったが、効率を考えると結局あまり選択肢は無いあたりがやはり良くも悪くもJRPGである。しかし主人公のパラメータを割り振れるのは「どうせJRPGだし後から振り直しの救済措置あるんだろ?」と思ったら無かったので、和洋折衷だ。


3位:The Rise of Golden Idol

傑作の続編はやはり傑作だった。途方もない状況から情報を潰していくと正解が浮かんでくる爽快感、ステージを跨いだ大きな物語の全貌が見えてくる興奮、この点と線の相乗効果でしか刺激できない体の器官があると思う。

特に第四章のアパートはかなりお気に入りのエピソードだ。事件に直接関わる情報は少なく、大量の登場人物による何気ない日常があるだけだが、その全てがたった一つのすれ違いを指し示す。トリックやアリバイではなく「何が起きたか」を推理する、本作の面目躍如といえるステージだった。

翻訳に難があり、最後の最後で正解にならない時に「これは俺が間違っているのではなく翻訳がおかしいのだ」という心理になってしまったのが残念。でも今は修正されているので全然残念じゃなくなった。

2位:Deadlock(プレイテスト)

よくあるMOBAとTPSの組み合わせなのだから革新性はない。カジュアルさやモダン操作も無い。本作にあるのは重さだけだ。1プレイは長く、勝利のためには知識と準備が必要で、負けた時ははっきりと戦犯が浮き彫りになる。そんな旧態依然とした面白さをValveは研ぎ澄ませてきたのである。この煉獄にあまりに入れ込みすぎてしまい、一緒に遊んでいたフレンド達とは喧嘩になりかけたほどだ。

我々資本主義社会に生きる人間は自由競争こそが是であり、ソビエト連邦は独占により崩壊したと教育されてきた。しかし実際には競争に身を投じた数多のゲームメーカーは射幸心や報酬系で大衆をハックする商品に特化するばかりであり、一方でSteamという既得権益を独占するValveがこのようなマネタイズから程遠いヘビーゲーマー向け作品を提供できている。Deadlockは共産主義者の刺客だ。


1位:ユニコーンオーバーロード

ニンテンドーダイレクトで発表されてからずっと心を奪われ続けていた作品がきちんと想定通りの素晴らしい作品として手元に来てくれた。
シミュレーションRPGであり、オウガバトルであり、戦記物であり、自分で最強を見つける過程があり、魅力的なキャラクターが沢山あり、あまりに自分に都合の良さすぎる一作。未だに続編の妄想をしては眠れない夜もある。

難易度の幅も広くパーティ編成もやりたい人だけやればいいという塩梅で、シミュレーションRPG入門者から歴戦のストラテジーオタクまで幅広い層が楽しめる内容になっていると思う(上の記事の通り勿体ないことになる懸念はあるが)。だから個人的な感性ではなく、全人類に向けて今年最高のゲームだと言い張れる気持ちの良い作品だ。

それだけに何故SteamでPC版を出さないのか、何故これだけの傑作が1億万本売れていないのか今も怒り狂っている。自分が面白いと思うものをやっていない人に対して怒る感情は死ぬまで大事にしていきたい。


2024年 あえてやらなかったゲーム

Balatro

面白いのは間違いないんだけど・・・やらなかった。時間を消費していくゲームを最近避けている気がするんですよね。死期を悟っているのかもしれない。一つのルーチンワークで遊び続けるのはパワプロのペナントやウイニングポストにハマった自分に合うんだろうけど、もうそれらの作品を遊ぶことにも恐怖を覚えているし。

まあ、実際遊んだら上のトップ10の感想にあるような理屈をこねくり回して人生の糧になるような経験だったとか言ってそうですけれど。

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