桜桃忌
6月の読書会のお題は太宰治
そういえば教科書に載っていた走れメロスくらいしか知らない
せっかくなのでいくつか読んでみようと思いました
そもそもなぜこのお題か?というと
主催者さんが太宰の大ファンで彼が亡くなった6月はこのテーマにするとずっと前から決めていたそう
1948年6月13日に無理心中で亡くなった太宰と富榮は
19日に発見されました
奇しくもその日は彼の誕生日
その後彼が亡くなる直前に発表した作品から
桜桃忌と呼ぶようになったそうです
さて数十年ぶりに読む小説はというと始めの印象としては
「グダグダな人やな」
主人公に突っ込みどころが満載で現代の感覚からするとダメ男感がすごい
それがなぜか太宰本人を見ているようで
なぜこんな男にたくさんのファンがいるんだろう?と首をかしげてしまいました
ところが短編集をいくつか読み進めるうちにそんな印象も変化してとにかく優しい人だったんだなというふうに思えてきました
相手の先の先まで見えてしまう
だからこそグダグダと悩んでしまう
そんな優男です
走れメロスでもダメっぷりが垣間見えます
友達を人質にしておきながら宴会にでて酔っ払って寝てしまう
いやいや、はよ帰りいな!みたいな
夜中の大雨で橋が流され激流を泳いで渡るはめになり帰る時間がギリギリになってしまう
最後はなんとかボロボロになりながらも間に合って感動的な場面になっていたけれどメロスもなかなかのグダグダ具合ですでもまぁ逃げずにちゃんと約束は果たすあたりが憎めないところですね
読書会当日は十数人ほど集まった人たちがそれぞれ太宰治と作品への熱い思いを語ってくれました
小説の技法を研究している方もいて違う切り口での発表もおもしろかったです
物語の主人公はどれも太宰に似ているように見えるけれど
実際には絶妙にアレンジされているらしいのです
本人像が投影されていると思ってしまったわたしはまんまとその技法にハマってしまったというわけでした
何十年経ってもこうして人を魅了している太宰はやっぱり優しくて可愛らしい人だったんだろうな
太宰ファンからおすすめされた人間失格と女生徒を今度読んでみようと思います
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