洋服記録2_ジレの苦味
今年もジレが着られそうだ。
昨年、カッチリとしたジレを手に入れたいと思い、まあまあ奮発してブラックのロングジレを購入した。
ただこのジレ、実は昨年1年間で3回くらいしか着用していなかったのは気のせいだろうか。いや、事実である。
まずデビューさせたのは昨年秋。
ホワイトの細身パンツ+FABIO RUSCONのエナメル調ローファーに合わせたところ、思った以上にカッチリしてしまった。いやもともとそれが狙いだからカッチリして良いのだが、なんだかやけに作り込んだカッチリになってしまって、
どうしようかと悩んでいるうちに冬到来。戦力外通告。
そして次のチャンスは春。
初秋の反省を活かし春らしいプリント柄のワイドパンツとあわせてみると、少しカッチリ感が和らいだ気がした。これはいいぞとTOMORROWLANDで柄もののワイドパンツを2本買い足した。
そして記念すべき3回目の着用日。
その日は新幹線での移動を予定していた。
ジレが良い感じに着こなせて浮かれ気味の私は、出発駅でスタバのキャラメルマキアート・グランデを購入。ゆったりのんびり目的地へ向かおうと悠々と新幹線に乗り込んだ。
が、席に着こうとした瞬間、一口も飲んでいない茶色い液体を床にぶちまけたのである。
よりによってグランデ。満タンのグランデ。
しかも新幹線って進むの速いんですよね。
進行方向と逆側に、私がぶちまけた液体が座席の下を通してアメーバみたいに流れていく。私にはスローモーションに見えたけど、実際はスイスイ流れていく。
後ろの方々本当にごめんなさい。
浮かれてスタバなんて買って本当にごめんなさい。
調子乗ってパンツ2本も買い足して本当にごめんなさい。
そのあとはもうてんやわんやで、車掌さんと一緒に床を掃除したり後ろの人達に謝ったり、地獄のような30分を過ごしたわけだが、その間にずっと頭の片隅にあったのは、あーこぼした飛沫がジレにも飛んでるんだろうなということ。
本当は今すぐジレを脱いで、ハンカチ濡らして裾をたたき洗いしたい。
でも迷惑をお掛けしている立場上、こぼした張本人が自分の服のことを優先するなど言語道断。
あーなぜこんな時に裾の長いものを召しているのか。よりによってなぜブラックなのか。
結果として思ったより飛沫は飛んでおらず、その後の出張にも無事カッチリした格好で行けたわけだが、確実に苦味は味わった。
私も、ジレも。
そんなジレを今年も着られて、なんだか感無量。
今年は白スカートやニット帽とあわせてよりマイルドに着ていこう。苦味は充分味わったので、今年はキャラメルフラペチーノの甘さを目指そう。
そしてもう二度と、新幹線に蓋のない飲み物は持ち込まないと誓った。
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