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咲ける場所に居ること。#樺恋課題図書

365日後にフリーライターになる女子大生の鈴木樺恋です。オバラミツフミさんのご指導のもと、良い文章を書けるようになるため、修行の日々を送っています。

今回の課題図書は『「ダメな自分」でも武器になる』です。私の師匠でもあるライターのオバラミツフミさんと、編集者の秋山純一郎さん、VAZ創設者である森泰輝さんがタッグを組んだ一冊。

人が誰しも抱える「ダメな自分」、それを「武器になる」と言い切っているチャレンジジャーな題名ですが、内容としては「武器になる自分を見つける思考法」といった内容だと感じました。

できない自分ばかり目について先が見えない、進めない。そんな方におすすめしたい一冊です。

森泰輝さんは、YouTubeを見る人なら一度は聞いたことのあるプロダクション「VAZ」の創設者。この文面だけでは、森さんは凄腕経営者のように見えますね。

ですが、大学時代のコンビニバイトを1ヶ月でクビになるほど、マルチタスクは苦手だったそう。大学でもあまり馴染めず、入学から半年で引きこもり生活が始まります。

では、そんな森さんがどのようにしてVAZの創業者となるまでに至ったのか。森さんの半生を描いた第1章を追っていきます。

引きこもり生活を何ヶ月も送っていた森さん。自分でも「現状を打開しなければ」という意識はありつつ、理想と現実のギャップに思い悩んでいました。

そんな日々のなかで出会ったのは、何気ないSNSのタイムラインに流れてきた「配られたカードで勝負するしかない」というスヌーピーの言葉。

偶然目にした言葉でしたが、ハッとしました。
友人はいないし、バイトは2つもクビになった。でも、その原因をつくっているダメな自分も含めて自分自身なんだ、と。

P.31

そこから、森さんは一念発起。朝から晩まで本を読み、学生団体のイベントにも出席するようになります。本の教えや出会った人たちの交流から、一つの考えに辿り着きました。

なれもしない他人に憧れるのでなく「本来の自分を活かす」という行動指針を持つ

P.34

その後、営業代行マンやはじめての起業での失敗経験を経て、「人をその気にさせるプレゼン力」という自分にしかない「武器」を発見し、その他の分野はそれぞれの「武器」を持つ人に任せることで本格的にVAZをスタートさせました。

「本来の自分を活かす」。その指針は功を奏し、みるみるうちにVAZは拡大。一時は年商14億もの企業に成長します。

しかし、その人気も絶頂のとき、VAZは不祥事や景気の悪化により転落。追い詰められた森さんは本来の自分にできないことにまで取り組んでしまい、当然それが成功することはありませんでした。

自分が本来抱えている「持ち味」は、使い方次第で足枷にもなるし武器にもなる

P.73

これは、大学生活と2回の起業で学んだ森さんの最大の教訓の教訓だそう。2章からは、そんな半生を過ごした森さんが体感した、人生の教訓の数々です。

教訓の内容は大きく分けて二つ。

  1. 「苦手なこと」は克服しない

  2. ひたすら「得意なこと」で戦う

一つ目の「苦手なことを克服しない」は、ただ嫌なことから逃げろということではありません。「できないこと」ばかり見て、自分の価値を自分で下げてはもったいないよね、という話です。

苦手なこととは、今までしてきた失敗の積み重ねによるイメージのことですが、その失敗にも「ムダな失敗」と「正しい失敗」があるそうです。

ムダな失敗は、その原因を突き止めず、ボンヤリした状態のまま同じ過ちを繰り返す失敗です。対して正しい失敗とは、失敗の原因を突きとめ、そのうえで「自分に変えられることは何か?」「ほかに何かやり方はなかったのですか?」と考える材料です。

P.96

つまり、「正しい失敗」とは停滞する失敗ではなく、次に進める失敗ということ。そして、同じ失敗を繰り返さないためには、「自分にとって、もっと得意な方法で勝負すること」が求められます。

失敗の果てに行き着くところは、「苦手を克服する」ことではなく、「どう得意なことに変換するか」なのですね。

第3章と第4章では、VAZ成功の秘訣ともなった「得意なこと」に目を向けていきます。森さんがVAZを成長させていけたのは、各々が得意なことをするというスタンスがあったから。

では、私たちの「得意なこと」はどうやって見つければいいのでしょうか。得意なことと言われると、なんだか並外れた技能が必要になってくる気がします。

しかし、森さんが定義する「得意なこと」は違いました。

得意なこととは、「無理なく続けられて、やりながら自分が成長できること」です。

P.101

今、すごくできることでなくても良いんです。自分の意思で続けられると胸を張って言えることがあれば、それは「得意なこと」と言えるのです。

技能に限った話ではなく、毎日ニュースを見る習慣だとか、そういった日常的なことでも構いません。

そうした自分の習慣が社会のどこで活かせるか。この発想の転換が、自分のポジション探しにおいて、大きな意味を持つのです。

これからの時代に必要な努力とは「自分を知る努力」「自分が活きる場所を探す努力」。置かれた場所で咲くことが美徳とされますが、そもそも植物だって、太陽光と水が豊かな、咲けそうな場所を選んでいますよね。それは人も同じ。

咲くことができる場所を探す努力こそ、働く上で自分の力を発揮するために、豊かな人生を生きるために必要な努力なのでした。

「他人は変えられない。自分も変えられない。だから付き合う他人を変える」

P.143

私はこの言葉に、この本の全てが詰まっていると感じました。

他人も自分も、否定するべきところなんてないはずです。自分の「できること」と「できないこと」をきちんと把握し、パズルのピースのように合う相手や環境を探すことができれば、花開く自分は作れるのです。

『「ダメな自分」でも武器になる』は、言い換えれば「ダメな自分ごと好きになる」ことを説く本でした。

自分を好きでいれば、どんな逆境でも、また芽吹こうとする意思が持てます。逆に自分を好きになれなかったら、どんな成功もなんだか味気ないものになってしまいそうですよね。

華々しい成功を得るためではなく、自分らしい豊かな人生を送るために。今一度大切なことを思い出せるような、そんな本でした。




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