夕顔の果実から「かんぴょう」をつくる
収穫したユウガオの果実から、干瓢(かんぴょう)をつくってみた。
今年の6月にスイカの台木として使われていたユウガオを育て始めた。8月上旬に初めて花が咲き、下旬にはひとつ実がなったが、雨続きの悪天候でせっかく大きく実った果実を腐らせてしまった。花の数も少なくなり、今年の収穫は半分諦めていたのだが、9月になって涼しく天候の穏やかな日が続いたためか、突然ユウガオが元気にツルを伸ばし始め、毎日たくさんの花をつけるようになり、9月の中頃には別方向に延びていた2本のツルにそれぞれ実がつき、なんと2つの立派な果実がなっていた!ユウガオは一本のツルに同時に実を2つ以上つけることはできないのか、他にも小さな果実ができていたが、最も生育のよかった実を残してあとは枯れてしまった。
10月上旬、ついにユウガオの果実を収穫した!!家の中で見ると異様な迫力がある。私の顔よりも大きい、30cmほどの大きな実を収穫した。重さも計っておけばよかったのだが、残念ながら収穫直後は興奮していてそこまで気が回らなかった。
せっかく収穫したユウガオを腐らせないために、早速干瓢づくりの作業を始める。事前にインターネットでユウガオから干瓢をつくる方法を調べていたのだが、長細い形の果実や丸くて大きい果実の情報が多く、私が栽培していた洋ナシ形の果実から干瓢をつくる情報は得られなかった。しかし、とにかくユウガオの果実を薄く長くかつらむきにして天日干しすればいいようなので、とりあえずやってみることにした。
ユウガオを輪切りにするために、果実の真ん中に包丁を入れた。まだ若い果実だったためか、思ったよりも固くなく、メロンよりも簡単に包丁が入り、真っ二つになった。中の実は美しい純白で、真ん中に種とわたが入っていた。計ってみると直径17cmほどあった。大きいので苦労したが、なんとか厚さ3cmくらいの輪切りにすることができた。
輪切りにしたユウガオを、リンゴの皮を剥く時のようにかつらむきにしていく。調子のいいときは50cm程の長さに向けるが、調子が悪いと10cmくらいでちぎれてしまって、様々な長さの帯状のユウガオができた。
帯状に剥いたユウガオを麻紐に吊るした。天気が良かったので天日干しにしたらなかなか郷愁を感じる風景になった。夜は室内に取り込んで、念のため二日ほど天日干ししてから、一週間くらい室内干しで乾燥させた。階段の手すりの部分に干していたら家族から邪魔だと苦情が出た。
完成した干瓢は、カラカラに乾いており長期保存が可能である。ジップロックに入れて冷蔵庫の野菜室で2週間ほど眠らせていたのだが、今年初めてのおでんの日、ついに餅巾着をつくるために自家製干瓢の出番がやってきた。まず、水に3分くらいつけた後に塩もみして干瓢を戻す。半分に切って油抜きした油揚げに小さく切った餅を入れて、入り口をふやかした干瓢で結ぶ。水で戻した干瓢は巾着を結ぶのに丁度よい固さになっていた。
なんとも可愛らしい餅巾着が完成した。
おでんの具材と一緒に煮込むと干瓢も柔らかくなって食べやすい。
まだ干瓢が残っているので、もう何回かおでんの度に餅巾着をつくることができそうだ。花を観賞するために育て始めたユウガオだったが、最後まで楽しみつくすことができて満足した。干瓢をつくっていて乾物の楽しさに気付いてしまったので切り干し大根とかにも挑戦してみたいが、山陰の冬は湿度が高いので乾物に向かないのかもしれない。
生のユウガオもきんぴらにして食べてみた。食感がふにゃっとしていて、不味くもないが美味しくもないという微妙な味だった。食料のないときなら、大きな果実で保存も可能なユウガオは喜んで栽培されたかもしれないが、飽食の現代にユウガオが大衆から忘れられてしまったもの仕方がないかなと思ってしまうような味だった。私の調理の仕方が良くなかったのかもしれない。
最後に、スイカの台木に使われるユウガオには、ククルビタシンというヒョウタンに含まれる毒素が含まれているものがまれにあり、腹痛、嘔吐、下痢などの食中毒を引き起こす可能性があるので摂食は控えた方がいいということが厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」に掲載されている。朝日新聞デジタルにもユウガオによる食中毒の記事があり、苦みを感じる場合は危険だと書いてあった。今回は苦みを全く感じなかったため食用にしたが、スイカの台木に使われるユウガオを食べる際には注意が必要である。