誕生日
74歳を迎えることなく 逝ってしまった、大好きな、大好きな父の誕生日
直接「おめでとう」と 伝えることのできない 初めての誕生日
ウィスキーとタバコをこよなく愛し
でも、お酒は少し前から欲しいと思わなくなり
最後の最後まで欲しがったのはタバコ
亡くなる一カ月前に、母の入院があったから、二人で過ごした四日間
ノンアル片手に、一緒にタバコを吸いながら、たくさんドライブした
20年近くタバコをやめていたけれど、一緒の気分を味わいたくて
父が残したタバコを、朝晩供える感じで吸い始めて
四十九日を過ぎたら辞めようと思っていたけど
なんだか胸の空洞を埋めたくて、吸い続けている私がいる
子供達がいるから、タバコの匂いや吸ってるところは見せないように
「供養だよ」と言いながら庭に出てひっそりと吸う
私の一番の理解者
私の一番の相談相手
私の一番の尊敬する人
そんな、大好きな父が この世にもういない
だけど私は、まだ声を上げて泣けない
空を見上げて、涙を堪える