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急速決闘セクシーショット/ひづみ[爆発オチなんてサイテー!!]

 今をときめく男性アイドル道三郎(通称みっくん)はストーカーの被害に遭っていた。ファン同士で叩き合うスレと化した交流サイトで、そのストーカーであるりぁめろはみっくん信者のゆあたゃに決闘を挑まれた。
「さあ、その手袋を拾いたまへ!」
「いや古風すぎない?」
 みっくんの事務所は不祥事を避けるためにスレを監視していた。当然この件は把握していたが、この事務所は良く言えば自由な会社だったため、「なんか面白いことやってんじゃん?」と決闘場所にテレビスタッフを連れて行くことにした。

 決闘場所の公園には、りぁめろ、ゆあたゃ、みっくん、スタッフたち、大勢のみっくんファンが集まった。
「それでは俺についての決闘……始め!」
 みっくんの合図で決闘が始まり、ギャラリーが沸き立つ。
「りぁめろ、あんたみっくんのためなら何でもできるんだよね?」
「もち」
 まずはりぁめろの前髪がちょんまげみたく結ばれた。
「めろの海苔みたいに揃えた綺麗な前髪が!」
 次に厚底の靴を脱がされ、ぺったんこ靴を履かされた。
「何この靴……歩きやすい靴なんか靴じゃないし」
 そしてカラコンを外すように言われた。
「めろ、裸眼むり……」
 ファンの中にはゆあたゃが行うあまりにも酷い仕打ちに目を背ける者もいた。
「ふん、りぁめろのくせになかなかやるじゃん」
「くっ……まだ全然平気だけど!?」
 ここでみっくんからアナウンスが入る。
「次の試練に耐えられれば、両者には特別賞を贈呈いたします」
 推しからのありがたきお言葉に二人は秒で返事をした。
「ではこちらにお並びください」
 二人が並んで立ち、他の人たちは離れたところに誘導された。
「りぁめろさん、最後の試練です。ゆあたゃさんも準備はよろしいですか?」
「や〜んみっくんかっこい〜」
「え、なんでゆあも?」
 女子たちが何か言っているがみっくんは構わず続ける。
「では参ります。このボタン二人で持ってね。俺がせーのって言うから、二人で押してね。そしたら俺のサービスショット見れるよ、せーの」

どかーーーん!(爆発音)

「爆発オチってサイテー!」
「ね、俺のサービスショットでしょ?」
 そう言ったみっくんの服は爆発で吹き飛び、大層セクシーな姿になっていたという。

10人の作家による爆発オチ小説を10篇収録


《収録作品》
1.「渺茫の星園」 鳩
2.「言わぬが花」 二歩
3.「急速決闘セクシーショット」 ひづみ
4.「つがい」 カルノタウルス
5.「僕が潰しました」 ムヒ
6.「パクチート・グミガスキーの復讐」 パクチート・グミガスキー
7.「glitch」 葬式
8.「休日」 静流
9.「コーポ花園の憂鬱」 茉莉花ちゃん
10.「埖夫」 元澤一樹
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◆10篇の爆発オチ小説を収録 全44P
◆商品サイズ 中綴じ製本(A5)
◆2021年発行

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【SNS】
文芸詩「煉瓦」[Twitter / Instagram]@renga_bungaku
二歩 [Twitter]tomatomato1121
ひづみ   [Twitter]@_1_3_1_1 [Instagram]@1_3_1_1_
葬式 [Twitter/Instagram]@sou_sai4
茉莉花ちゃん [Twitter]@notmatsurika
元澤一樹 [Twitter]@sawa_sawa64

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