発電に使えるダムは日本に沢山ある!
先日、砂防ダムを訪れた際に改めて小水力発電のポテンシャルはまだまだあると感じました。ダムには発電用のダム以外にも、
・治水ダム
・砂防ダム
・農業用ダム
などがあります。(呼び方は色々あると思います)
どのダムにも一定の落差と水量がありますので、水力発電の基本式
P=9.8QH
・P:出力 [kW]
・Q:流量 [m3/s]
・H:落差 [m]
で、ある一定量が確保できれば小水力発電は可能です。
山へ行くと至る所にダムがあり水が滝のように流れている風景を見ると思います。今回見た砂防ダムも水量、落差は十分にあり、導水管ルートや発電所設置場所も容易に確保できる立地条件でした。
数年前ですが私も小水力発電の開発地点調査で全国を色々周りダムを見てきました。水量、落差、立地的条件として開発可能なダムは沢山あります。ただ、水力発電には様々な特殊な難しさがあり私の会社では実現には至りませんでした。
主なものは
・許可水利権の取得
・慣行水利権者の同意
・建設費、発電機器が高コスト
・災害リスク
ですが、特に水は皆のものであり、今でこそ水での争い事というのはありませんが、昔は田畑の水を巡り血が流れた争いがあったことが結構あります。その為必ずと言って良いほどダムには、田畑の水用に取水口がありそこから水路が引かれています。ですので水力発電をやる為にはこの水(慣行水利権といいます)に影響がない量を取得しないといけません。そこで田畑を営む方々の生活に影響しない様に対話しながらの同意が必要となります。
この同意がないと発電事業をやる為の許可水利権を貰う事ができません。なので太陽光や風力のように同意がなくても無理やり進めて行くような不届き者の事業者には決してできません。そういう意味で開発ハードルが高いので太陽光や風力のように小水力が増えてこないのです。
もう一つ大きな問題が建設コストが高いことです。特に小水力の水車が問題です。日本メーカーで水車を供給できるのは電力会社に供給している東芝、日立、三菱の重電会社ですが水車サイズが小さく見向きもしてくれません。対応したとしても数年待ちの割に法外に高い値段です。そうすると海外製しか選択肢はなく、日本メーカーよりは安いですが、それなりのお値段になります。
地元同意は事業者の義務ですが、コストの問題は政策的な対策がないと普及は難しいと思いました。日本は急峻な土地と水が豊富ですので、この日本特有の資源を有効に活用する事が再エネ政策では重要なのではと思っています。